2026-01-09
Q1.0住宅宇都宮三番町の家 SI-house(宇都宮市 三番町)
土地・地盤
建材・住宅設備・便利グッズ
私事・社会的な事

【洪水被害を受けやすい、浸水想定区域で新築予定の方へ】貴方の家が床断熱住宅なら、「アルミ製浸水対策水切り」の採用を検討してください!

イラスト出典

近年、台風や線状降水帯による豪雨が増え、床下浸水や床上浸水の被害を受ける住宅が全国的に増えています。


当社も、2019年10月12日の台風19号の際、社屋兼住宅が床上浸水する被害を受けました。私の町内の住宅は、すべてが床上浸水、もしくは床下浸水の被害を受けました。

台風19号時の事務所内部の様子。床上浸水して、事務所前の道路は川になりました

https://yoshidacraft.net/blog/19148/

しかし町内で1軒だけ、被害が極めて軽微だった住宅があります。それが、当社で設計・施工したQ1.0住宅 宇都宮三番町の家(当社東前)です。

台風19号の後、Q1.0住宅 宇都宮三番町の家の床下に潜って確認したところ、浸水箇所は床下エアコン配管部の1か所のみで、床下への浸水量はハンカチ1枚分程度でした。

この住宅だけ浸水しなかった理由は、基礎断熱だったからです。基礎断熱住宅は、床下に通気する「基礎パッキン(通気パッキン)」ではなく、床下に通気をさせない「気密パッキン」を採用する為、床下に浸水しずらい構造です。

Q1.0住宅宇都宮三番町の家周りの浸水高さは、基礎上の土台くらいの高さだったので、基礎断熱特有の土台下の気密パッキンにより、床下に浸水しないように止水されました。

床断熱の住宅(基礎パッキン)でも、床下浸水しにくい「アルミ製浸水対策水切り」が発売になった

そして本日(2026/1/9)、床断熱の住宅(通気パッキン)でも、床下浸水しにくい「アルミ製浸水対策水切り」が発売になりました。

これは、床断熱用の「基礎パッキン(通気パッキン)」でも、床下に浸水しないように、洪水(浸水)対策ができる水切りです。

水切り本体に内蔵された「水膨張不織布」が膨らむことで、基礎パッキン部から、床下への浸水を防ぎ、復旧の負担を大幅に軽減します。

https://info.joto.com/20260109_BASE_WMAWS

なぜ「Q1.0住宅 宇都宮三番町の家」は、ほとんど床下浸水しなかったのか?

その理由は、この住宅が基礎断熱住宅だったからです。

一般的な床断熱住宅では、床下の換気のために

  • 基礎パッキン(通気パッキン)が使用されます。土台下の基礎パッキンにより、床下通気されるため、床下の湿気対策としては有効ですが、洪水時には基礎パッキン自体が水の侵入口になりやすいという弱点があります。

一方、基礎断熱住宅では、

  • 床下に通気させない
  • 気密パッキンを用いる構造になるため、床下に水が入り込みにくいのです。

台風19号時の浸水高さは、この建物周囲では、基礎上の土台付近まで達していたと考えられますが、
基礎断熱特有の土台下の気密パッキンが止水の役割を果たし、床下への浸水を最小限に抑えました。

ただし、基礎断熱住宅の場合、一度床下に大量浸水すると、床下通気していないため、基礎パッキンにより床下通気する床断熱住宅よりも、床下は乾きにくくなります。

床断熱住宅でも洪水対策が可能に──「アルミ製浸水対策水切り」の登場

これまで、床断熱住宅では、洪水時、基礎パッキンからの浸水を防ぐ有効な手段がありませんでした。

しかし今回、床断熱住宅でも洪水(浸水)対策ができる新しい水切りとして、「アルミ製浸水対策水切り」が城東から発売されました。

この製品は、

  • 床断熱用の基礎パッキン(通気パッキン)を使用しながら
  • 洪水時の床下浸水を大幅に抑える
    ことを目的とした水切りです。

最大の特徴は、水切り内部に「水膨張不織布」が内蔵されている点です。


▶「アルミ製浸水対策水切り」製品情報
https://info.joto.com/20260109_BASE_WMAWS

「アルミ製浸水対策水切り」で床下浸水を抑える仕組み

イラスト出典

この「アルミ製浸水対策水切り」の仕組みを、言葉で説明します。

通常時は、水切り内部に設けられた通気経路により、床下の換気はこれまで通り確保されています。

しかし、大雨や洪水により、建物外周の水位が上昇すると、水切り内部に侵入した水を水膨張不織布が吸水し、徐々に膨らみます。

この不織布が膨張することで、

  • 通気パッキン部分の隙間を塞ぎ
  • 床下への水の流入を抑制
    します。

つまり、
「普段は通気、非常時は止水」
という、相反する性能を両立させた仕組みになっています。

ハザードマップで浸水想定区域に該当する床断熱住宅は、採用を検討するのが良いと思う

過去に床下浸水や床上浸水の被害を受けた地域で床断熱住宅を建てる場合、または、自治体のハザードマップで浸水想定区域に該当するエリアで床断熱住宅を新築する場合は、「アルミ製浸水対策水切り」の採用を検討する意義は非常に大きいと考えます。

「アルミ製浸水対策水切り」を採用しても、床下浸水がゼロになるわけではない

注意点として、この水切りを採用した場合でも、床下浸水が完全にゼロになるわけではありません

水切り内部の水膨張不織布は、

  • 水に触れてから
  • 徐々に膨張する
    という特性があります。

そのため、膨張が完了するまでの間は、一定量の水が基礎内部に侵入します。

雨量を50mm/h(非常に激しい雨)と想定した浸水試験では、

  • 1階床面積:47㎡(約14坪)の場合
  • 基礎内部への浸水量:約120Lであり
  • 基礎床全面での浸水深:3mm以下
    という結果でした。

床下全体に3mm程度の水が溜まることになります。この程度の水量であれば、床下に潜ってバスタオルや汗拭きタオルで、半日から1日程度時間を掛けて汲み取ることで、なんとか水は無くなると思います。結果として復旧の手間と負担を大幅に軽減できます。

一方、

通気パッキン+通常の水切りの住宅で浸水した場合は、床下に水が流れ込み、床下全体がバケツに水を張った状態になります。業務用ポンプを設置して、基礎に溜まった汚水を排水する必要が生じます。内水氾濫の場合などは、下水や汚水も流れて来て、床下に泥や汚物も沈殿します。

住宅の浸水対策は「アルミ製浸水対策水切り」だけでなく、建物全体で考える必要がある

重要なのは、浸水対策は「アルミ製浸水対策水切りだけでは完結しない」という点です。

例えば、

  • 玄関ドアからの浸水と
  • 浸水高さが土台を超える床上浸水
    の場合、「アルミ製浸水対策水切り」だけでは防げません。

そのため、

  • 玄関ドアの止水対策
  • 勝手口や掃き出し窓の高さ・仕様
  • 建物周囲の外構計画
    など、浸水の恐れがある箇所を総合的に対策することが重要です。

まとめ

近年の豪雨災害は、「想定外」では済まされない頻度と規模になってきました。
2019年の台風19号で、当社自身と施主の住宅が床上・床下浸水を経験したことからも、住宅の浸水対策は決して他人事ではないと痛感しています。

基礎断熱住宅は構造的に床下浸水しにくい一方で、一般的な床断熱住宅(通気パッキン)は、洪水時に床下へ水が入り込みやすいという弱点があります。

今回紹介した「アルミ製浸水対策水切り」は、床断熱住宅のこの弱点を補い、

  • 床下への浸水量を大幅に抑え
  • 復旧作業の負担を現実的なレベルまで軽減する
    という点で、非常に意味のある製品だと感じています。

ただし、この水切りを採用すれば絶対に浸水しないわけではありません。
また、玄関ドアや床上浸水といった問題には、別の対策が必要です。

だからこそ重要なのは、

  • ハザードマップで立地を正しく把握し
  • 想定される浸水レベルを踏まえ
  • 建物全体で、無理のない現実的な対策を重ねること

その一つの有効な選択肢として、浸水想定区域に建てる床断熱住宅では、「アルミ製浸水対策水切り」の採用を新築時に検討する価値は十分にある
と考えています。

洪水対策は「完璧」を目指すものではなく、被害を最小限に抑え、元の生活に早く戻れる家をつくること

その視点を忘れず、これからの家づくりを考えていきたいと思います。

ちなみに、床断熱住宅と比較して、浸水しずらい基礎断熱住宅は、一度床下に浸水してしまうと、床下通気されていないため、床下が乾きにくい仕様だと言えます。

2019年10月12日 台風19号で床上浸水した住宅のリフォーム事例(関連ブログ)

実際に、台風19号で床上浸水した住宅の状況。床上浸水した住宅のリフォーム事例を、以下のブログで紹介しています。新建材と比べて、無垢材と造作建具は、浸水と洪水にも強いということが分かりました。

洪水・浸水対策を考える際の参考として、ぜひあわせてご覧ください。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

この記事をシェアする
コメント