2020-02-10
住宅設計
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【更新】透湿防水シートを比較すると、タイベックの1択となる理由

白いのが透湿防水シート「タイベック」

透湿防水シートとは、外壁を貼る前に壁全体に施工される白いシートのことです。普段は外壁で隠れて見えないのですが、漏水防止と壁体内結露防止をする極めて重要な建材です。先日、宇都宮市清原工業団地にある、タイベックで有名なデュポン(株)の技術研究室に伺い、透湿防水シートの各種実験を見学し講義を受けてきました。国内唯一のデュポン社の研究室が宇都宮市にあります。透湿防水シート自体はアメリカの工場で一括生産されて輸入されるので、宇都宮市の工場と研究室では、梱包等の作業と各種試験を行っているとのことです。

 

工場に併設された研究室の外部では、各メーカーの透湿防水シートが同じ状況下で長期実験されており、外壁材を剥がすと、それぞれの劣化状況が分かるようになっています。結論から先に言うと、透湿防水シートは他のメーカーと比べて少し値段が高いですが、タイベックの1択です。また、タイベックの中でもタイベックシルバーが一番優れておりおススメです。今日のブログはその理由を書きます。

 

また、デュポン(株)の技術研究室では、防水テープ等の透湿防水シート関連部材のノウハウも蓄積しているので、防水テープの仕様は何が良いのかも聞くことが出来ました。これまた先に結論を言うと、外部の防水テープはアクリル系でなく、基本的には両面ブチルを使うのが良いだろうとのことでした。また、タイベックにはハードとソフトの2種類がありますが、どちらを使うのが良いのか?も聞くことが出来ました。タイベックのハードとソフトの違いについても書きます。

 

透湿防水シートとは?

外壁通気工法

外壁通気工法出典

透湿防水シートとは、外壁材の下に貼られた白い防水シートのことです。外部からの雨水を壁内に入れず、壁体内に溜まった湿気を外に出して壁体内結露を防ぐという、相反する2つの機能を有する優れた建材が透湿防水シートです。この透湿防水シートの上に通気胴縁と呼ばれる木材を取付けて隙間を設け、外壁材の裏側と透湿防水シートの上を通気させるのが「外壁通気工法」で、ほぼ全ての木造住宅に採用されています。外壁は建物の中でも面積が大きいので、外壁の防水と壁内部の結露防止を担っている透湿防水シートは極めて大切な建材の1つです。

 

通気工法施工上のポイント

 

各メーカーの透湿防水シートを比較実験するとタイベックの1択となる

研究室の外部では、各メーカーの透湿防水シートを同じ状況で晒して、2種類の耐久性比較実験をしていました。タイベックを入れて4つのメーカーだったと思います。施設内は写真撮影不可でした。透湿防水シートは、主に紫外線で劣化します。1つ目の実験は、各メーカーのタイベックを、常に天日と雨風に晒して、耐久性を比較しているもの。透湿防水シートは日時が経つごとに、紫外線や風雨で劣化していることが分かります。2つ目の実験は、透湿防水シート上に通気胴縁を打って、2週間程度、屋外暴露してから、外壁を貼って経過を見るという、実際の建築現場の状態に近いモノ。

 

結論は、どちらの実験でも、タイベック以外の透湿防水シートは、表皮のシートが劣化しているのが明らかなのが分かりました。また、防水部の出隅と入隅に使う「防水角部材」の比較実験も行われており、使わないほうが良いメーカーの防水部材が分かりました。

 

私がリフォーム現場で見た透湿防水シートの経年劣化

透湿防水シート、「フィルム+不織布の2層構造タイプ」の劣化状況。外壁材を剥がしたら穴が開いていた。防水機能を果たしていない。

この写真は、私が外壁材の全面貼り替えリフォーム現場で見た、透湿防水シートの経年劣化状況です。築15年の住宅でしたが、透湿防水シートに穴が開いており、防水の役割を果たしていません。この時は、新築工事を行った住宅会社が透湿防水シートの表裏を間違えて施工したので、穴が開いたのだろうと考えていました。

 

外壁材の下に貼る「透湿防水シートの表裏を貼り間違えると、全く防水シートにならない」という実例写真

 

しかし今回、各メーカーの透湿防水シートの長期比較実験を見て、正しく施工してもほとんどのメーカーの透湿防水シートは薄い防水フィルムが剥がれてしまうことが分かりました。その理由は透湿防水シートの断面構造自体に問題があり、主に紫外線により劣化してしまうからです。次に、透湿防水シートの耐久性を左右する、断面構造の違いについて書きます。透湿防水シート、「フィルム+不織布の2層構造タイプ」の劣化状況です。

 

タイベックと他メーカーの透湿防水シートの耐久性の違いは何なのか?

出典

今日のブログで、ここが一番大切な部分です。透湿防水シートには、「単一素材の不織布タイプ」と、「フィルム+補強材の2層構造タイプ」の2種類があります。「タイベックのハウスラップ」は、日本で唯一の「単一素材の不織布タイプ」。厚めの高密度ポリエチレンが単層で分厚い防水層になっているので長持ちします。

 

一方、その他のメーカーの透湿防水シートは全て「フィルム+補強材の2層構造タイプ」です。「フィルム+補強材の2層構造タイプ」は、薄い防水フィルムに補強材を裏打ちしたものですが、外側に施工される「薄い防水フィルム部分」が紫外線により、10年程度で劣化するようです。実際に見せてもらった実験では10年経たないうちに劣化を始めていました。上の穴の開いた透湿防水シートの写真も「フィルム+補強材の2層構造タイプ」の劣化例です。単一素材の不織布タイプの透湿防水シートはタイベックしか無いため、少し値段が高くても透湿防水シートはタイベックの1択ということになります。

 

タイベックとその他の透湿防水シートの比較はこのリンクの「類似品の見分け方はこちら」をクリックしてください。

 

透湿防水シートが劣化する理由

タイベックは耐久性が落ちにくい(劣化しにくい)

出典

透湿防水シートが劣化する主な原因は、紫外線です。だから、透湿防水シートを貼った後で、長い期間外壁材を貼らない状況が続くことは良くないことになります。タイベックハウスラップには、防水20年保証がついているのですが、但し書きで「外壁取付け前に2ヶ月を超えて屋外暴露された場合を除く」とあります。研究室では、タイベックをオーブンで高温にして耐久性を検討したり、傷を付けてから水圧を掛けたり、引っ張り試験等する実験も行われていました。そのような試験をした上で20年保証をしていることが分かりました。

 

住宅会社は透湿防水シートの仕様をどのように決めているのか?

最近、透湿防水シートの様々な劣化が、一部の住宅メディアや住宅会社の間で話題になっていますが、住宅会社が透湿防水シートの仕様(メーカー)を決める場合は、建材店や材木店のおススメで決めることが多いと思います。

 

建材店や材木店から「〇〇社の透湿防水シートは、タイベックよりも値段が安いですよ」という営業をされて、「値段が安いから」という理由で、透湿防水シートの仕様を決めている会社が未だに多いと思います。透湿防水シートの元祖はタイベックであり性能と価格が比例しているので、建材屋はタイベックより安いという口上で営業をします。

 

そのような営業をする建材屋と、鵜呑みにする住宅会社は、このブログに書かれている透湿防水シートの劣化の状況を知らないのです。これから新築や大規模リフォームする方は、設計者か住宅会社に「透湿防水シートはタイベックにしてください」と指定をするのが良いです。

 

タイベックハウスラップは、ハードとソフトの2種類があるが、どちらを使うのが良いのか?

タイベックのハウスラップには、ハードとソフトの2種類があります。ハードは「パリッ」とした紙のような印象で、ソフトは文字どおり柔らかい布のような印象の透湿防水シートです。当社では今までは、ハードタイプを使っていました。

 

結論から言うと、防水性・透湿性・耐久性は、ほぼ同じなので、どちらを使っても問題ありません。施工する大工が、どちらが施工しやすいかを考えて選ぶのが良さそうです。ちなみにソフトタイプのほうが、素材が密実になっているので、少しだけ防水性に勝りますが、反対に透湿性は少しだけハードタイプのほうが良いとのこと。せん断に対しては、ハードタイプのほうが強いです。

 

施工後の違いは、ハードタイプは、紙のようにパリッとしているので、透湿防水シートを断熱材でキチンと押さえないと、「通気によってタイベックがバタバタと音鳴りする」クレームになることがあります。私もハードタイプで通気による音鳴りを経験したので、それ以来、気を付けています。その点、ソフトタイプは柔らかいので音鳴りのクレームは少ないとのこと。シェアはソフトタイプが勝ります。サイズはどちらも、幅1M×長さ50M巻と、幅3M×長さ40M巻の2種類です。

 

外部の防水テープはアクリルテープとブチルテープのどちらを使うが良いのか?

両面ブチルテープ

住宅建築で使う防水テープには、アクリルとブチルの2種類があります。外部(柱よりも外側)で使う防水テープは、アクリルとブチルのどちらが良いのかを、デュポンの担当者に質問しました。

 

アクリルテープ

基本的に外部ではブチルテープが良いとのことです。ただし、ブチルは冬に硬くなり接着が悪くなることがあるので、あらかじめ防水テープ下に下地を入れて裏当てを作り、ローラー等を使ってキチンと密着させることが重要。その点アクリルテープは冬期でも安定して接着でき、カッターを使わずに手で切れるので使い易いです。外部は基本的にはブチルテープを使い、ブチルが使いにくい箇所などで、アクリルテープを使うのが良いのだと理解しました。また、ブチルテープの性能はピンキリなので、「悪い性能のブチルテープは使わないことが大切だ」とのことです。

 

タイベックの推奨防水テープ

タイベックのカタログに掲載されている、タイベックハウスラップに使う推奨防水テープは、両面ブチルが日東電工/全天テープNO.960。両面アクリル・片面アクリルテープが、光洋化学/エースクロスSCW/SBW/SBXでした。タイベック相性が良いという理由で推奨しているのだと思います。タイベックシルバーの推奨防水テープは、タイベックシルバーテープというオリジナルテープのようです。

 

タイベックに使うブチルテープは両面と片面のどちらを使うのが良いのか?

両面ブチルのほうが良いとのことです。両面ブチルは凹凸部分への追従性が高いのがその理由です。片面ブチルテープを使うと接着面積が小さくなることも、両面ブチルを使った方が良い理由になるのかもしれません。

 

防腐防蟻剤で濡れた通気胴縁を透湿防水シートに設置すると、漏水しやすくなるという話

木材に界面活性剤を使って防腐防蟻剤を加圧注入させている場合、その界面活性剤を使った木材が透湿防水シートに密着すると、界面活性剤の効果により透湿防水シートにも水が染みこみやすくなります。

 

胴縁が乾いている場合は、透湿防水シートには影響はありませんが、胴縁が雨に濡れたり、現場で胴縁に防腐防蟻剤を塗って乾かないうちに取り付けてしまうと、界面活性剤が透湿防水シートに作用して胴縁裏から透湿防水シートを通って水が染みやすくなります。実際にそのような事例が出ているとのことです。

 

その対策として、防腐防蟻剤で濡れた通気胴縁を透湿防水シートの上に取り付ける場合は、タイベックシルバーを使うと、アルミが溶着されたシートのため界面活性剤の影響を受けにくく、漏水しにくくなるとのことです。当社では、防腐防蟻処理された胴縁は使っていません。

 

【訂正】タイベックシルバーは遮熱効果があり、タイベックハウスラップを大きく上回る防水耐久性もあるので使う価値は大きい

隣接した2棟でタイベックシルバーと他社製品を施工した場合の室温変化

出典

「タイベックシルバーは、タイベックハウスラップと比べて、遮熱効果はほとんど無いので使う必要は無いと考えます。」と書きましたが訂正します。壁の透湿防水シートで、遮熱性能があり、かつ一番長持ちするのはタイベックシルバーなので使うべきだと思います。

 

タイベックシルバーは、夏、屋外からの輻射熱を反射してタイベックハウスラップよりも27%室内への熱の移動を抑えて室内を涼しく保ち、冬は逆に、室外への熱移動を21%抑えて室内の温度を保ちます。

 

また、タイベックシルバーは、防水性能に関する耐久性がタイベックハウスラップと比べてより高い。タイベックハウスラップが20年保証をしているのに対して、タイベックシルバーは50年相当の耐久性を持つ透湿防水シートだとのことです。耐久性が高い理由は、タイベックハウスラップソフトタイプの繊維を、蒸着アルミニウム+抗酸化樹脂でコーティングしているためです。

 

タイベックシルバーのウェブカタログを読み返し、代理店の担当者にも電話でタイベックシルバーについて聞きました。デメリットと言えそうなのは値段が高いことくらいです。

 

タイベック フラッシングシートの特徴

水切りシートと書いてあるのが、「タイベック フラッシングシート」

タイベック フラッシングシートは、水平面に施工する防水部材。そのためハウスラップよりも厚手に造られている。ハウスラップの2倍の防水性能。水平面は垂直面よりも水が染みやすいからである。サッシュの水切り下やベランダ手摺上端等の水平面には、この水平部用のフラッシングシートを使うのが良い。

 

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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