2019-12-02
自然素材

【無垢材と造作建具は水害にも強い説】台風19号で床上浸水した結果から水害にも強い建材を考える

床上浸水直後。ショールームのフローリング上に溜まった汚泥。

10/12の台風19号で会社兼自宅前の上河原通り(かみがわらどおり)は川となり、1階の事務所兼ショールームも床上浸水しました。

 

台風19号での床上浸水の様子はこちらのブログをご覧ください。

台風19号で事務所兼ショールームが床上浸水した1日を写真で振り返る

 

今日のブログは、床上浸水したショールームの水没した建材の様子から、水害に強い建材を考えます。

 

上の写真のように床上浸水し、無垢フローリングは汚泥の下になりましたが、水洗いして自然乾燥した結果、少し変色した程度で普通に使っています。オイルを塗れば、見た目はかなり良くなると思います。

 

また、造作建具(ドア)は、水に濡れて変形しましたが、水が早めに引いたので大事に至りませんでした。

 

建具職人に調整してもらい、問題なく使えています。

 

今日のブログは、無垢フローリングや造作建具は水害にも強かったという話を、建材の断面構成を見ながらお話しします。

 

一方、他社の水害リフォームも行っている大工と建具屋に聞いたところ、既製品の新建材ドア(MDFドア)は一度浸水するとかなり変形してしまい、使えなくなるようです。

 

無垢材は水害にも強い

水害後の現在の様子。無垢フローリングの色は変わったが、オイルを塗れば復活する。

近くて見るとこんな感じ。無垢材なので水害にも強い。

 

30㎝の床上浸水した事務所兼ショールームは、床下と壁の中の泥の匂いが多少します。。

 

床のパインフローリングは汚泥水に一晩浸かり泥だらけになりました。

 

しかし、水洗い→自然乾燥した結果、変色しましたが生活するのに全く問題ありません。

 

さすが無垢フローリング、無垢材の1枚板なので経年変化にも強いですが、水害にも強いです。

 

こちら無垢フローリングの断面。無垢材なので1枚板。水害にも強かった。

対してこちらは合板フローリング。断面を見ると接着剤で積層された合板なのが分かる。当然水に弱い。

対して仮に、ショールームの床が合板フローリングだった場合、床上浸水すると、接着剤により積層された合板が水を吸って膨張変形して、使い物にならなくなっていたかもしれません。

 

削って直せる造作建具は水害にも強かった

水が早く引いたので、フラッシュ戸も使えている。無垢の框戸は削って調整し、全く問題なし。

また、ショールームの建具(ドア)は、水が染みて膨張+変形しましたが、造作建具だったのが幸いし、建具職人に来てもらい、削って調整してもらい、問題なく使えています。

 

フラッシュ戸と言って表皮が合板の造作建具でも、心材は無垢材ですから、MDF等の心材に比べると変形しにくい構造なのだと思います。

 

削って調整し、直せるのが造作建具の良い点だと再認識しました。

 

当社のお客様の、床上浸水1m以上のお宅でも、造作建具であるポリのフラッシュ戸は調整しただけで使えています。

 

無垢の框ドアは、1m以上床上浸水しても、泥を拭いた程度で調整も必要ありませんでした。

 

これは凄いこと。

 

このお宅はこれから大規模リフォームをする予定ですが、建具と枠はそのまま使います。

 

造作建具は水害にあっても浸水時間が短ければ、「建具職人が行う調整」により復活し、長く使える可能性が高いことが分かりました。

 

ただし水害に限らず長持ちすると、施主にはメリットが多いですが、建具交換が発生しにくくなるので、建具職人には辛いところです。

 

既製品の新建材ドア(MDFドア)は水害に弱い

新建材の既製品MDF。表皮に木目シートが貼ってある建材です。

他社の水害リフォームも行っている大工と建具屋にきいたところ、表層に木目シートが貼ってある既製品の新建材ドア(MDFドア)のお宅は、変形してしまい使えなくなっているとのことです。

 

心材がMDFであり無垢材ではないため、水を吸って膨張変形している上に、表皮が木目シートなので削って調整できないので、お手上げなのでしょう。

 

だから壁を壊してドア枠ごと交換になっているのだと思います。

 

このことから、水害にも強い住宅を造るには、既製品の新建材のドアでなく、造作建具にしたほうが良いことが分かります。

 

当社でダメなのは壁の中と床下です。壁の中に水が入って石膏ボードが膨らんでしまい変形していますし、床下には汚泥が入ってしまっており、多少匂いがします。

 

根本的に直すには、壁と床を撤去して、断熱材も入れ直す必要があります。

 

また、造作キッチンは面材が膨張してしまいました。使えていますが、造り直すことも考えています。

 

事務所兼ショールームを根本的に直すには、大規模スケルトンリフォームをする必要がありますが、使えているので判断が難しい所です。

 

ちなみに自宅は会社の3階なので、全く問題なく生活が出来ています。

 

当社の本格的なリフォームは当分先になりそう

お客さんのお宅も、数件床上浸水しており、現在施工中だったり、見積を行っているお宅もあります。

 

お客さんのお宅の工事を優先するので、当社の本格的なリフォームは当分先になりそう。

 

ただし、直さないと生活できないものは合間を見て行っています。

 

例えばショールームの便器は、水に浸かって動かなくなったので、洪水の5日後くらいに交換しました。

 

水害にあった薪ストーブを分解してメンテナンスしてもらった

床から30㎝の錆びているのが浸水部分。綺麗に分解された。

また薪ストーブは、床上浸水で水に浸かり、パッキンが取れて使えない状態でした。

 

水に浸かっていた鉄部も錆が酷く、開閉が困難なので、薪ストーブは分解メンテナンスしてもらいました。

 

分解して錆を落としているところ。

ついでに煙突の掃除もお願いしました。

ブラシで煙突の掃除。

錆に黒い耐熱塗料を吹いて完成。また錆が出ても気にしない。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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