基礎断熱のシロアリ対策
今日のブログは、基礎断熱のシロアリ対策について書きます。
当社では、床下エアコンを採用していること、気密性能が確保しやすいという2つの理由から、床断熱ではなく基礎断熱としています。
基礎断熱にすると、快適性が高い床下エアコンを採用出来て、かつ、床断熱と比べて、気密性の確保もしやすいからです。
しかし、メリットがあれば必ずデメリットもあります。
基礎断熱のデメリットは、床断熱と比べるとシロアリが発生しやすく、発生した場合に、駆除がしにくい可能性があることです。
今日のブログは、基礎断熱のデメリットを少なくするために、当社で行っている、「基礎断熱のシロアリ対策」について書きます。
まずは、私が感じている基礎断熱のメリット・デメリット、床断熱のメリット・デメリットを書いてから、当社で行っている基礎断熱のシロアリ対策について書きます。
長くなりますが、実体験に基づいたことを書いているので、ご覧ください。
現在行っている基礎断熱については、ベストではないので、今後、こうするかもしれないという改善案も書きます。より良くしたいので、今後、基礎断熱の仕様を変更する可能性はあります。
目次
基礎断熱のメリットは2つ
基礎断熱のメリット及び採用理由は以下の2つ。
- 床断熱では採用できない、床下エアコンが採用できるので、快適性が高くなること
- 床断熱と比べて、気密性が確保しやすいこと
基礎断熱にすると、床下エアコンが採用できるので、以下の具体的メリットがある
延床面積30坪程度の家なら、10畳用エアコン1台程度の床下エアコンで全館暖房できます。
エアコンの暖気が直接、身体に当たらないので快適な上に、1階の床面温度が室温より2度くらい高くなります。マイルドな床暖房のように、足裏が少しだけ暖かい、快適な室内にもなります。床下エアコンは床暖房より遥かに快適だと思います。
床下の暖気は軽いので、1階の床ガラリから上昇して2階にも上がり、1.2階共に、室内のどこでも寒くないので、各部屋の稼働率も上がり、小さな家でも広く使えることも利点です。
上記のように床下エアコンが快適に効く住宅の温熱性能は、熱損失係数Q値0.92(1前後くらい)、隙間相当面積C値は0.5~1以下くらいは欲しいです。日本の最上位クラスの断熱気密性能になりますが、そのくらいになると、夏も窓の日射遮蔽を行えば、少ないエネルギーで快適に過ごせるなど、様々なことが制御しやすくなります。断熱は家電や住宅設備のように10~15年で壊れることがありませんから、新築やリフォーム時にしっかりとお金を掛けておくのが良いのです。
また、床下エアコンは、床暖房ほど高温にならないので、合板フローリングでなく、無垢フローリングが採用できます。一般的な床暖房は高温になるので、基本的に無垢フローリングは使えず、合板フローリングを使うことになります。
床下エアコンの場合、暖かい床に無垢フローリングを採用できることも、大きなメリットになります。無垢フローリングの採用は、見た目の良さと肌触りはもちろん、無垢材は新建材と比較して長期使用できることから、リフォームや建替えの機会を減らせる可能性も高くなります。
大規模リフォームや建替えの原因が、カラーフロア・窓枠・ドア枠などの木質の新建材の劣化ということも、多いからです。壁天井のクロスと違い、床材・窓枠・ドア枠などの木質の新建材は、簡単に交換が出来ませんから、その劣化が大規模リフォームや建替えの、大きな原因の1つになるのです。
値段は、カラーフロアよりも無垢フローリングのほうが、ザックリ3倍以上高いのですが、リフォームや建替えの機会を減らせる可能性が高く、長く使えることで、結果としてお得な家になることにも繋がります。
さらに詳しく説明すると、床材を無垢フローリングにした場合は、ドア枠や窓枠も無垢材となる場合が多くなります。質感の高い無垢フローリングに、新建材のドア枠や窓枠を合わせると、内装の不釣り合いが生じるからです。
さらに、ドア枠や窓枠まで無垢材になると、新建材のドア・造り付け家具は使えないので、造作建具、造作家具を採用することになります。
当然のことながら、質感が高く、長く使えるオリジナルの建材は値段も高くなります。建築材料の良し悪しと、建物の金額が比例するのは当然の結果です。
床断熱での気密性の確保が難しい理由
床断熱での気密性の確保が難しい理由は、1階床面下の断熱気密層に、合計すると、ザックリ合計100本くらいの柱・給排水管・電気配線などが貫通すること。いちいち、100本の貫通部の気密性を確保するが大変なのです。
大小合計、100本くらいの四角い柱や丸い管が、断熱気密層を貫通し、その廻りの気密性を確保する作業があると考えると、素人でも、何となく気密性の確保が難しいことが分かると思います。
基礎断熱が気密性を確保しやすい理由
上記したように、床断熱は気密性能の確保に手間が掛かって、難しいのですが、基礎断熱だと比較的簡単です。
基礎外周部の土台下に「気密基礎パッキン」を設置して、かつ、ザックリ10本程度の、基礎立上りの給排水管等の貫通部廻りの、気密性を確保すれば終わりです。
基礎断熱の場合、基礎外周部が断熱気密層になります。床断熱のように、床面が断熱気密層ではないので、ザックリ100本が貫通する床面の柱や配管廻りの気密を確保する必要がありません。
床断熱がザックリ100本の気密工事をするのに対して、基礎断熱の場合は、ザックリ10本程度の基礎立上り配管のみ、気密を確保すれば良いので、楽なのです。
基礎断熱のその他のメリットとして、床下水道管の凍結が防げることがあります。しかし栃木県では、床断熱の場合も、まず床下の水道管が凍結することは、ありません。基礎断熱で床下水道管の凍結が防げるメリットは、東北より北の寒冷地でのメリットになります。
基礎断熱のデメリット
基礎断熱のデメリットは、「床断熱よりもシロアリ対策が難しくなること」です。
基礎断熱は、床断熱と比べると、断熱材自体が、シロアリが生息する地面に近い位置に設置されるので、被害を受けやすい。
また、基礎コンクリートに断熱材が貼ってあるので、シロアリが基礎断熱材の中で活動した場合に見つけにくいです。
万が一、シロアリが侵入したとすると、床下に潜って、見える蟻道近くなどの、基礎断熱材を剥がす必要があり、大規模に剥がすことになったら、それは厄介だと思います。
シロアリに侵入された場合、シロアリが断熱材に隠れて見つけにくく、時間が経過してしまった場合、土台や柱などの主要構造部まで被害を受けるかもしれない、デメリットがあります。
そこで、当社では、基礎断熱のシロアリ被害を、なるべく侵入させない、もしくは建物内部に侵入した場合も、シロアリ被害がなるべく少なく納まるように、基礎断熱部と、その周辺部のシロアリ対策を行っています。
基礎断熱のその他のデメリットとしては、新築後1年くらいは、基礎コンクリートが乾く過程で、コンクリートから湿気が出るので、床下の木部等にカビ発生の可能性があります。
それに対しては、新築中、基礎に送風機で風を当てたり、床を塞がない所を設けたりして、なるべく基礎コンクリートの通気性を良くすること、床ガラリを設置して床下の湿気を逃がすこと、新築後1年目に床下エアコンで暖房及び送風をすれば、暖気や空気は床ガラリから上がってきて、より通気が確保されて、カビは発生しないという実感です。基礎断熱と床下エアコンは非常に相性が良いと考えています。
基礎断熱のデメリットと言われている、水害での浸水リスクはどうなのか?
基礎断熱住宅の、洪水での床下浸水については、実体験があります。
2019年の台風19号で、当社周辺は水害に遭いました。台風の後、当社前の、基礎断熱のお宅の床下点検をしたところ、床下エアコンの周囲のみ、多少の浸水の跡が見られました。基礎立上りに開けた床下エアコンのスリーブのみから、多少の浸水があったようです。
浸水高さが、土台上端より下であれば、基礎外周を気密パッキンで塞いでいる基礎断熱のほうが、床断熱よりも床下浸水のリスクは低いと実感しました。付近の床断熱のお宅は、当社も含めて床下浸水していたからです。
この基礎断熱の家で、洪水による水害が、ほぼ無く済んだ理由は、浸水高さが、土台上端以下で納まったため、基礎断熱の気密層が防水層となり、基礎内部への浸水が防げたのだと思います。
また、洪水が短時間で引いたこともラッキーでした。この家を施工した時は、まだ、基礎コンクリートの一体打ちをやっていなかった時なので、浸水時間が長ければ、浸水高さが低くとも、コンクリートの打ち継ぎ部から浸水していたかもしれません。
一方、基礎断熱での浸水高さが、土台上端より上になった場合は、基礎断熱内部にも水が入り込む可能性が高くなります。その場合は、基礎断熱の断熱気密層が防水層になるため、基礎がプールのような状態になって、床断熱の住宅よりも、基礎に入った水は抜けにくくなるはずです。
基礎断熱のデメリットと言われている、水害での浸水リスクの結論は、浸水高さによりリスクが違っており、浸水高さが、土台上端より下であれば、基礎外周を気密パッキンで塞いでいる基礎断熱のほうが、床断熱よりも床下浸水のリスクは低いということになります。
浸水高さが、土台上端より上になった場合は、基礎内部に水が入る可能性が高くなるので、床断熱よりも基礎断熱のほうが、水は抜けにくいので、被害は大きくなると思います。
浸水高さが、土台上端より上になった場合は、壁の断熱材が濡れるわけで、基礎断熱でも床断熱でも、どちらにしても、壁の断熱材をやり直す可能性が出てきます。
床断熱のメリットは2つ
1.基礎断熱と比べると、基礎に断熱材が貼ってないので、シロアリが発生した場合に気が付きやすく、駆除がしやすいこと。
床断熱でシロアリが発生した場合は、床下に潜り込めば、基礎の表面に、シロアリの通る蟻道が出来ていますから、それが目に見えるので、駆除しやすいわけです。
2.基礎断熱より、床断熱のほうが、新築コストとシロアリ駆除リフォームコストが安い
断熱材の施工面積と手間は、床断熱のほうが施工面積が狭くて、大工の手間も少なくて済むので、新築時のコストが安いです。かつ万が一、シロアリが発生した場合の駆除コストも、シロアリが発見しやすい床断熱のほうが安く済む可能性が高くなります。
今後、シロアリ関連工事が増えた場合は、どの職方に依頼するのか?
大工も、他の職人同様に高齢化していますが、反比例して、大工が行う断熱気密工事はもちろん、当社の場合は造作建具や造作家具工事が標準なので、大工は職人の中でも、特に仕事が多くなっています。
大工が取り付ける樹脂サッシや耐力面材も、トリプルガラスやモイスになるなど高性能化して、極端に重くなっているので、高齢化に反比例して重労働になっています。そのため、大工の仕事量は、これ以上多く出来ない状態です。
当社で大工が行っているシロアリ関連工事は、シロアリ返し付き断熱気密パッキンの取付ですが、これ以上のシロアリ関連工事が増える場合は、他の職方に回すか、根本的にシロアリ対策を変更して、後述する「防蟻防湿シートであるターミダンシート」に変えて、大工の行う仕事は出来るだけ少なくして、質は担保したいと考えています。
床断熱のデメリットは3つ
- 快適性の高い、床下エアコンを採用できないこと
- 気密性の確保が難しいこと。
- 床断熱には、夏に結露の可能性があり、カビが生えることもあること
床断熱の夏の結露は、どのような場合に起こるのか?
上記3.の床断熱の夏の結露については、条件がそろった時に結露します。
夏の外気は湿度が高いです。その湿度が高い外気が、基礎パッキンから床下に入ってくるので、夏の床下は湿度が高い空気がある状態になります。床断熱の場合の床下は、外と一緒です。
その時、上記したように、一般的に床断熱は、気密性の確保が難しいので、温度や湿気は床面の上下で行き来しやすいという現実があります。さらに、床下地が、24mm以上の厚板合板を使った剛床でなく、根太下地の場合は、「壁下の気流止め」も出来ていない可能性が高いので、配管廻りはもちろんのこと、全ての外壁と間仕切壁下の、床と壁の取り合いの気密性が、取れていない可能性もあります。「壁下の気流止め」が出来ていないと、温度や湿気は床面の上下で行き来しやすくなります。
そのような家は、ほぼ間違いなく、家全体の断熱気密性も悪く、窓の日射遮蔽も出来ていない場合が多いので、不在の場合は、夏の室内温度が、35度以上になることもあると思います。
帰宅後して、室温が35度くらいの場合、暑くて居られないので、一気に冷やそうとして、部屋の冷房を20度~22度くらいの低温でかけますが、すでに天井・壁・床に蓄熱しており、直ぐに室内は涼しくならないので、比較的長時間、低い温度で冷房を点けることになると思います。
そうなると冷気は重いので、床面付近に溜まります。1階床面の断熱性能が低く、気密も悪い場合は、より冷気は下に下がりやすくなり、フローリング→下地合板→床断熱材→床下と移動していきます。
そうして、露点温度以下となった室内の床面付近の冷気が、床下の高温で湿度も高い外気に触れると、床下で結露が発生します。
結露とは、物の表面に水滴が出来て付着すること。夏の冷たいグラスや、冬の窓ガラスに発生します。露点温度とは、結露が発生する温度です。
例えば、床下の気温が30度で、相対湿度70%の場合の露点温度は23.9度です。気温30度、相対湿度70%は、珍しくない外気状況です。床下断熱の床下は外気と同じ状態になります。
上記設定の場合、クーラーから出た冷気が23.9度以下となって床下に下がり、床下の気温30度、相対湿度70%の空気に触れると、床下で結露するということになります。
断熱気密性能の悪い、床断熱の住宅では、珍しくない設定だと思いますし、繰り返し結露が起こると、床下の木や基礎にカビが生えてくる可能性もあると思います。
床断熱工法住宅の床下温湿度環境の実態調査と高湿化抑制手法に関する調査研究という日本建築学会の論文にも、床断熱は夏に床下で結露が起こりやすいということが書かれています。
基礎断熱の場合、床下の夏型結露は発生しない
逆に基礎断熱の場合は、上記の床断熱の場合のような床下結露が発生する可能性は極めて低いです。
その理由として、基礎断熱の場合は、床下には湿度の高い外気が入ってきませんし、きちんと床ガラリ等を設けると、床下も通気されて、室内と同じ環境になるからです。
当社が行っている、5つのシロアリ対策
次は、当社の基礎断熱のシロアリ対策について、説明します。
シロアリの侵入経路は、ほぼ特定されています。
シロアリ対策の基本は、シロアリの侵入経路をなるべく絶ち、万が一、侵入されてしまったら、被害を少なくするということです。
当社では、主に以下の5つのシロアリ対策を行っています。
1.「べた基礎一体打ち工法」で基礎の隙間を無くして侵入経路を断つ
2. 配管は、土中配管でなく基礎立上り部での貫通として、侵入経路を断つ
3. 基礎内張り断熱を採用して侵入経路を断つ
4. シロアリ返し付き断熱気密パッキンの採用
5. ホウ酸で木部を防蟻処理しておく
シロアリ対策の基本は、シロアリの侵入経路を断つことなので、上記の1~3が、特に重要になります。
4と5は、万が一、シロアリが侵入してしまった場合、被害を少なくする対策です。
それぞれのシロアリ対策を説明します。
1.「べた基礎一体打ち工法」で基礎の隙間を無くして侵入経路を断つ
当社では、べた基礎一体打ち工法を採用しています。
一般的な住宅基礎は、底版(スラブ)のコンクリートを打設してから、後日、立ち上がり部分のコンクリートを打設して造られます。
2回に分けてコンクリートを打設するので、コンクリートの打ち継ぎ部
からは、シロアリや雨水の侵入の可能性が出てきます。目に見えないような、1mm以下の隙間からでも、シロアリや水は侵入します。
対して、「ベタ基礎一体打ち工法 」とは底版(スラブ)と立ち上がり部分を一度に打設する施工法です。
コンクリートの打ち継ぎが無く、基礎底版(スラブ)と立上りは一体化されるので、隙間がなく、シロアリと水の侵入を防ぐことができます。
2.配管は、土中配管でなく基礎立上り部での貫通として、侵入経路を断つ
一般的に、1階床下の給排水管は、基礎床版(スラブ)から、土の中を配管させることがほとんどです。しかし、基礎床版を貫通させた場合は、その先が地面であることから、地面の中で、基礎コンクリートに穴が開いていることになるため、そこからシロアリの侵入リスクが高くなります。配管の貫通部は土の中なので、目視ができません。
現在、当社の給排水管は、基礎立ち上がりを貫通させて配管しています。
基礎立ち上がりに配管させることで、シロアリの侵入リスクを、より低くすることができます。
基礎立ち上がりに蟻道を作って侵入することも考えられるので、侵入のリスクはゼロではありませんが、基礎立上り部で配管の貫通をすると、シロアリは明るい所では活動しずらく、土中ではないので、蟻道などの目視が出来る可能性が高くなります。そのため、早い発見に繋がります。
基礎立上り部で、配管の貫通をするデメリットは、配管が外気に露出するので、温度変化・紫外線・風雨などで、配管自体が劣化しやすいことです。
Q1.0住宅昭和の家では、西日による劣化から基礎立上り配管を守るため、施主が配管廻りにカバーをしていました。シロアリは暗い所に蟻道を作りますので、カバー下で蟻道を作られないように、シロアリチェックをお願いしました。
3.基礎内貼り断熱を採用して侵入経路を断つ
基礎断熱において、基礎内貼り断熱よりも、断熱的に有利なのが、基礎外貼り断熱になります。
基礎外貼り断熱は、基礎の立ち上がりの外側をぐるりと断熱することが出来るので、外壁下の付加断熱とほぼ連続して、建物の外側を断熱材ですっぽりと包むようになり、熱橋と呼ばれる断熱の弱点を、無くすことが出来ます。
しかし、シロアリのリスクが高くなるのも、基礎外貼り断熱になります。実際にシロアリが生息している、外部の土の中に直接断熱材がある状態になるので、防蟻材入り断熱材を使用したとしても、シロアリに食われるリスクが高いと言われています。
そのような理由で、当社では、基礎外貼り断熱と比べて、断熱材は連続しませんが、基礎内貼り断熱を採用しています。
基礎外貼り断熱に比べると、シロアリのリスクを軽減出来るメリットがあると考えているからです。
4.シロアリ返し付き断熱気密パッキンの採用
ここからは、万が一、シロアリが基礎の内部に入ってしまった時の対策です。
Joto基礎断熱工法部材の、シロアリ返し付き断熱気密パッキンを採用しています。
シロアリに建物の中に侵入された場合は、土台や柱などの、木部を食べられるのが怖いので、土台まで登ってこられないようにするのが重要です。
土台下の、黒い幅広の基礎パッキンが、シロアリ返し付き断熱気密パッキンです。
「シロアリ返し」という、基礎立上り断熱材から飛び出た「ツバ」のようなものが付いていて、シロアリが断熱材を登ってきても、「シロアリ返し」部分によって、土台には到達できないという仕組みです。
Joto基礎断熱工法部材の採用と、基礎の一体打ち、もしくは基礎を2回に分けて打設した場合でも、止水プレートを設置して、打ち継ぎからのシロアリの侵入を防止すると、JOTOが保証を無料でつけてくます。
5.ホウ酸で木部を防蟻処理しておく
ホウ酸で木部を防蟻処理しておくことは、万が一、土台より上の木部までシロアリがあがって来てしまった場合の対策になります。
床断熱の場合の、新築時の一般的なシロアリに対する防蟻剤は、地面から1mまでの木部に農薬系の薬剤を塗布する方法です。床断熱の場合は、床下が外になるので、農薬系の防蟻剤を使うことが多いです。
しかし、当社のように基礎断熱として、床下の基礎内部を室内と考えて、床下エアコンの暖房経路と、第一種換気システム「澄家」の換気経路にして使用する場合には、農薬系の防蟻剤を床下に噴霧することは、適しません。
家中に農薬が充満してしまうし、揮発によって5年で効果が切れてしまうからです。住宅会社の多くが、5年に一度の防蟻処理を推奨しているのは、このためです。
当社が使っている防蟻剤のホウ酸は、無味無臭なため床下エアコンで温風を基礎内に送り込んでも問題になりません。
またホウ酸は、水に濡れない限りは効果が半永久的に持続するため、基本的に再処理の必要がありません。欧米の防蟻処理は、ほとんどがホウ酸を使っているようです。
ホウ酸にはシロアリの忌避性はないのですが、ホウ酸処理された木材をシロアリが食べると、ホウ酸を体内で処理出来ないので、体内に堆積して死んでしまいます。人間のような肝臓を持つ動物は、ホウ酸を少量接種したとしても、分解が可能なため、安全です。
「Joto基礎断熱工法 シロアリ返し付基礎パッキン」の基礎の造り方は、2つ規定されています
現在、当社で採用している「Joto基礎断熱工法 シロアリ返し付基礎パッキン」を使い、しろあり保証1000の保証を受ける場合は、基礎コンクリートの造り方は、2つ規定されています。
どちらも、基礎コンクリート打ち継ぎ部からの、シロアリの侵入を防止する施工法です。
1.当社のような「ベタ基礎一体打ち工法 」で、コンクリートの打ち継ぎを無くして、打ち継ぎからのシロアリの侵入を避けること
2.もう1つは、べた基礎一体打ちでない、通常のコンクリート2回打ちで造る場合は、打ち継ぎが生じ てしまうので、あらかじめ打ち継ぎ部に「止水プレート」を設けて、コンクリート打設をして、打ち継ぎからのシロアリの侵入を避けること
基礎の打ち継ぎ部に、上記2つの規定があるということは、その部分からのシロアリの侵入が懸念されているということです。シロアリ業者が防蟻や駆除で床下に入って、防蟻剤を噴霧する場合、木部や配管廻りと同様に、シロアリの侵入の可能性がある、基礎の打ち継ぎ部分に確実に防蟻剤を噴霧します。
現在行っている基礎断熱のシロアリ対策の改善案
Joto基礎断熱工法 シロアリ返し付基礎パッキンを使う場合、基礎幅を150mm厚さとすると、「指定2部材プラン」、「指定4部材プラン」共通で、基礎立上りの断熱材の厚さは、75mm程度が最大厚さとなるので、そうしています。
本当は、基礎立上りの断熱材の厚さを、発砲系断熱材の最大厚さである100mmとして、より基礎部分の断熱性能を上げたいところです。
基礎立上りの断熱材の厚さを、75mmよりも厚くする場合は、シロアリ返し付基礎パッキンは、使えなくなります。
その場合は、シロアリ返し付基礎パッキンを辞めて、別のシロアリ対策をする必要があると考えています。
基礎立上りの断熱材の厚さを、100mmにする場合の、シロアリ対策として、今、考えているのは、基礎下に敷く「防湿シート」を「防蟻防湿シートであるターミダンシート」に代えること。
「防蟻防湿シートであるターミダンシート」のメリットは、基礎立上りの、発砲系断熱材の厚さを、最大の100mm厚に出来ること。
ただし、「防蟻防湿シートであるターミダンシート」の防蟻性能が何年くらい持つのか?分からないことです。
ターミダンシートの販売代理店によるネット情報によると、
Q. ターミダンシートの耐用年数はどれくらいですか?という問い合わせに対して、
A. 耐用年数は何年です、と正確にはお答えできませんが、新築に施工し20年経ちますが、シロアリの被害は報告されていません。
https://shiroaritaisaku.com/tokuchoとなっています。
ターミダンシートが、過去20年で何棟くらいに施工されたかが、分からないので、20年シロアリ被害が報告されていないと言われても、判断のしようがありませんので、使用する場合には問い合わせしてみたいと思います。建物の外側でシロアリの侵入を防ぐターミダンシートは、理にかなっていると思います。
また、2年くらい前に調べた時には、ターミダンシートでも、Joto基礎断熱工法 のシロアリ保証1000と同じような保証が付くようです。
基礎断熱にする場合は、床断熱と比較してシロアリ被害を受けやすいので、「Joto基礎断熱工法 シロアリ返し付基礎パッキン」か、「防蟻防湿シートであるターミダンシート」のどちらかは、採用したほうが良いと考えています。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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