2022-12-05
Q1.0住宅 宇都宮昭和の家(宇都宮市)
土地・地盤
高断熱・高気密住宅

Q1.0住宅宇都宮昭和の家、既存家屋解体から基礎完了までを施工写真で振り返る

9月初めから既存家屋解体が始まった、Q1.0住宅宇都宮昭和の家。基礎工事が完了しました。写真と文章で各工程をレポートします。

既存家屋解体

解体中の既存建物を北東から見る

既存家屋解体工事は、9月1日から9月30日まで、1か月を掛けて行われました。鉄骨架構の上に木造の2階部分が載り、かつ木造で増築されているという建物の解体でした。

地縄張り

地縄を設置すると、敷地に対する建物の配置と大きさが分かる

既存家屋解体後、10月3日に地縄張りを行いました。地縄張りとは、建物の配置を敷地内に縄で表示すること。写真の白い縄(太めの荷造り紐)が地縄で建物の壁芯です。付加断熱の建物なので、普通の木造住宅よりも外皮は厚くなり、地縄から209mm外側が外壁の仕上がり面となります。

地縄張りは、施主に対して、建物の大きさと配置を説明することはもちろん、この地縄を基準に地耐力調査(スウェーデン式サウンディング試験)・先行配管・基礎工事のやり方が行われます。

地耐力調査(スウェーデン式サウンディング試験)

地耐力調査(スウェーデン式サウンディング試験)

地縄張りの翌日、10月4日に地耐力調査(スウェーデン式サウンディング試験)を行いました。建物の4隅と中央の合計5箇所で、地耐力調査を行うのが一般的です。川の近くは比較的地盤が良くない場合もあるため、基礎の補強工事が必要かもしれないと考えていましたが、予定より20㎝ほど深く掘り砕石転圧すれば、必要地耐力が取れていたので一安心。大規模な基礎補強は無しで済みました。

既存建物が建っている場合は、解体完了後に地縄を張って建物の形を出してから、地耐力調査をするのが一般的です。既存建物解体時には、新築工事の全図面作成及び見積提出と契約は完了している場合が殆どなので、地耐力調査で必要地耐力が取れないと、基礎補強工事は追加工事になります。

付加断熱の場合は、より先行配管すべき場合が多いという話

新築建物の外壁面から隣地境界線までは約850mm。地縄があることで、先行配管も出来る。黄色い重機が設備屋さんのミニユンボ

10月19日に先行配管を行いました。先行配管の「先行」の意味は、基礎工事より先に建物周囲に埋設する給排水配管工事を行っておく、という意味の「先行」です。

例えば、郊外の広い敷地の場合は、建物から隣地境界や道路境界までは距離がある場合もあります。そのような場合は、建物がほぼ完成した後で、ミニユンボ等(土を掘る小型重機)を入れて、建物周囲を掘って、給排水管を敷設できます。しかし、街中の場合は建物周囲に余裕が無い場合が殆どです。

Q1.0住宅昭和の家の場合、完成した建物の外壁と隣地の隙間が870mm程度です。街中の家としては、狭いほうではありませんが、建物が完成した後で重機を入れて作業するのは不可能です。基本的に街中の住宅の敷地は、狭いことが多いので、先行配管をすることが殆どだと思います。

かつ当社のように、付加断熱105mmを標準仕様としている場合は、各方位の外壁面が、外側に105mm付加されてきますから、普通の木造住宅に比べて、外壁と各方位の境界線までが約105mmずつ狭くなります。東京や横浜などの「超狭小地」で付加断熱の住宅に「しずらい」のは、外壁から境界線までの距離が狭くなってしまい、足場が建たなかったり、給排水管を敷設できないためです。

ベタ基礎一体打ち工法のメリットとデメリット

先行配管完了後、基礎下の砕石転圧
基礎配筋完了

今回も「ベタ基礎一体打ち工法」で基礎が完成しました。一般的な基礎工事業者は、スラブ(床面)を打設してから立ち上がりの型枠を組んで、立上りコンクリートは別日に打設するのが普通です。

しかしベタ基礎一体打ち工法は、基礎スラブと立ち上がりのコンクリートを一体で打設するので、スラブと立ち上がりのコンクリート同士に打ち継ぎが出来ずに、一体の基礎になります。

ベタ基礎一体打ち工法の一番のメリットと考えているのは、コンクリートの打ち継ぎ部が無くなるので、打ち継ぎ部から白蟻が浸入する可能性が、ほぼ無くなること。

白蟻被害を一番よく知っているのは白蟻業者ですが、彼らがリフォームで床下に潜って防蟻薬剤を散布する場合、ベタ基礎の場合でも、白蟻の侵入しやすい基礎外周の打ち継ぎ部と給排水管廻りを重点的に散布します。

基礎断熱は、白蟻の居る土の中と、断熱材の距離が近いので、床断熱よりも白蟻に注意する必要があります。ですから基礎断熱+床下エアコンを採用以降、なるべく早めにベタ基礎一体打ち工法にしたかったのですが、栃木県内では基礎一体打ちを行う基礎業者が殆どいません。

Q1.0住宅小山の家に続いて2棟目のベタ基礎一体打ちを行いましたが、相変わらず業者さんには仕事が集中しているようです。Q1.0住宅小山の家では、他社の基礎工事が遅れたあおりを受けて、予定より2週間以上も基礎工事開始が遅れてしまいヒヤヒヤしたが、今回はなんとか、ほぼ工程通りとなりました。

ベタ基礎一体打ち工法として、かつ給排水管も基礎のベース(土の中)から直接基礎内部に配管せずに、外部で配管を一度立ち上げて明るい所に配管を晒して、基礎立ち上がり部から基礎内部に入れるようにすると、白蟻がより基礎内に入りにくくなります。白蟻は明るいところ(外部)が苦手な為、そのように配管したほうが、建物は白蟻被害を受けにくくなります。

メリットがあれば、デメリットもあります。

ベタ基礎一体打ち工法のデメリットは、基礎工事完了後の屋根が出来るまでに、雨が降ると基礎がプールのようになって雨水が抜けないこと。雨が降ると基礎がプールになるのは、打ち継ぎがなくコンクリートが一体化しており、白蟻が浸入しにくい「良い基礎の証拠」なのですが、雨水が抜けないと、建物内部での作業が出来なくなります。ですから、次の現場から1箇所だけ基礎に水抜き穴を付けることにしました。

コンクリートを2回打設して造る普通の基礎であれば、一体打ちの基礎よりは、雨が降っても打ち継ぎ部から水は抜けやすいです。しかし、その雨水の抜けやすさは、白蟻の侵入しやすさと比例していると思います。

ベタ基礎一体打ち工法で基礎工事完了。白蟻対策で基礎立ち上がりにスリーブ(配管する為の丸い枠)を入れている。給排水管は土中で基礎貫通させない

※上記写真のコメントにある「スリーブ」とは、鉄筋コンクリートで造られた壁、床、梁、基礎の部分に給排水管や各種設備配管の貫通孔を確保するため、コンクリート打設前に埋め込んでおく筒状の管のこと。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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