Q1.0住宅構造見学会@宇都宮市での来場者との会話
7/27(土)と7/28(日)に、施主SH様のご厚意で開催させて頂いた、Q1.0住宅構造見学会@宇都宮市が終了しました。
合計5組のご家族と各2〜3時間、じっくりとお話が出来ました。
平屋のような延べ床面積24.5坪の小さな家ですが、面積以上の広がりを感じてくれたご家族もいらっしゃいました。
来場者と話しをしていて、家づくりの依頼先を決める判断基準が「温熱環境の良さのみ」しかないと、「暖かいけど格好の悪い、リフォーム費用の多く掛かる、使いにくい家になってしまう」と感じました。
今日のブログでは、その理由を書いてみます。
完成すると隠れてしまう構造と断熱の大切さ
完成見学会は沢山行ったが、構造や気密工事を含めた付加断熱の具体的な施工を初めて見られて良かった、安心できたという感想も聞けました。
当社でも付加断熱の現場での構造見学会は、今回初めて行いました。高性能グラスウールの付加断熱は、特徴があり、かつ誰でも手に入る断熱材であるという点で、普遍性もある断熱工法です。
参加したご家族は、とても熱心に話を聞いてくださったので、構造見学会はするべきだと感じました。
Q1.0住宅構造見学会@宇都宮市での来場者との会話
また、構造や断熱だけでなく、仕上げ材の話も聞けて、とても良かったという感想も頂きました。
構造と断熱性能の話をした後で、予定通り、仕上げ材の話もさせて頂いたからです。
家は、断熱材だけで構成されているわけではないので、仕上げ材の普遍性と永続性も、断熱性能と同等に重要です。もちろん、間取りや収納計画も同じように大切です。
今回、当社の構造見学会の来場者は大きく2つに分かれました。
1つは、当社のブログやwebをよくご覧になっている方で、断熱性能(温熱性能)ばかりでなく「仕上げ材の選択や間取り、特に小さな家だと間取りと細かい収納計画も大切だよね」ということが分かっていると感じられる方。
特ににそういう方は、当社webの家づくりの考え方と施工例と、このブログをよく読んで頂けているようです。
一方、「新住協 Q1.0住宅 付加断熱」というキーワード検索で来場された方は、あまり当社のブログやwebをご覧になっていないと思われ、「仕上げ材、間取り、収納」のことは、現在のところほぼ念頭にない、「家づくりの依頼先の判断基準が温熱性能のみと思われる方」でした。
来場すると、20分くらいかけて、1階と2階をご案内して、断熱及び気密施工の様子と、QPEXでの温熱シュミレーション結果をご覧頂いて、どうしてこのような断熱仕様にしているかのご説明を行いました。私が感じている基礎断熱と床断熱のメリットデメリットも率直にお話ししました。
その後、椅子に座って冷たいお茶を飲みながら、家づくりについてのお話しをしました。
後者の「家づくりの依頼先の判断基準が断熱性能のみの方」との会話を再現してみましょう。
●私「漠然とでも良いのですが、どのような家を建てたいと考えていらっしゃるのですか?」
■断熱のみの方「冬寒いのは嫌なので、高断熱高気密であったかい家が良いと考えています」
●私「そうですよね。ご来場ありがとうございます。他にはありますか?」
■断熱のみの方「やっぱり断熱性能が良くて暖かい、省エネな家ですね」
●私「分かります。断熱性能や温熱環境の他に重要視していることはありますか?」
■断熱のみの方「やはり断熱性能と家全体のコストです。」
「超高断熱高気密がウリのQ1.0住宅の構造見学会」なので、「断熱及び温熱性能」が重要だというのが分かって頂けて安心したのだが、話をしていると、家づくりの依頼先を決める判断基準が「温熱環境の良さのみ」しかないようで、それは家づくりの考え方のバランスが悪いと感じた。
家の構成要素は断熱材と気密部材だけではなく、間取りや収納、仕上げ材、家の広さや外観なども同等に重要だからだ。
話をしていてこの、造り手側の「極端に断熱性能(温熱環境)しかPRしないバランスの悪さ」が「高断熱住宅の格好の悪さ」の要因の1つになっていると感じた。
住まい手側に、断熱性能の良い暖かい家を建てる造り手として選んでもらった場合、断熱性能(温熱環境)の話しかしていないと、住まい手側は、その他の「家づくりの大切な要素」理解していない可能性がある。
将来空き部屋が多くなってしまうような、大きめな家を建ててしまいがちであるばかりか、それは格好の悪い家になる可能性が高いのだ。
説明しよう。
Q1.0住宅のような超高性能住宅は、断熱と気密施工にお金が掛かっているので、一般的な木造住宅と比べると値段も高くなる。付加断熱は外壁下地が2重で分厚くなり、手間の掛かる気密工事も必要になるからだ。Q1.0住宅は断熱性能は最高級、その上で一般住宅と同じような広さの家を要望されてしまうと、結果として坪単価が低くなり、建物の内容が薄くなるのは当然だ。それが仕上げ材の安っぽさと、収納や造り付け家具の少なさに繋がるので、格好が悪く、収納も少なめなので使いにくくなるのだ。完成してそのような家に入ると、ガランとしており、なんだかバランスが悪いのだ。
参加者と話しをしていて、家づくりの依頼先を決める判断基準が「温熱環境の良さのみ」しかないと、「暖かいけど格好の悪い、リフォーム費用の多く掛かる、使いにくい家になってしまう」と感じた。
特に、仕上げ材の選び方が悪いと、格好悪い家になるばかりか、賢い選択をした場合と比べて、リフォーム費用がかなり多めに掛るかり続けることになるので、この選択は最重要事項の1つになる。
ハウスメーカーも含めた他社が手掛けた家の、リフォーム工事も行なっている私だからこそ分かる、仕上げ材はこれを使うべき、塗装はこうすべきだということもお話させてもらいました。
例えば内外装の色は、なるべく少ない方が良く、形態も出来るだけシンプルにすべきと考える。
その理由は、完成した後に施主の持ち込む、自転車・車・植栽・家具・おもちゃ・カーテン・小物が入ると、内外観の色の数が増えるので、新築時の内外装の色は、なるべく少なくする必要があるのだ。
内外装の色数が多いと、そこに施主の持ちこんだ備品の色がプラスされるので落ち着かない家に「なりがち」だからだ。
人間は歳を重ねると「よりシンプルで日本的なモノ」が好きになる傾向があるので、「新築時の好みで派手な形態の建具や家具にする」ことや「たとえば〇〇風の特徴的なデザインにする」のは辞めたほうが良いだろう。デザインの好みは、変化するからだ。
当社の雰囲気に合う家具のアドバイスや、修理が効いて長く使える家具屋の紹介も行っている。天井にはなるべく照明を付けないことも、室内をシンプルに見せるコツだ。
他社では、そんなことは聞いたことがなかったと、ビックリした方もいらっしゃったようです。
また、建物の大きさについては、家族4人暮らしだと、35〜36坪の住まいを造り手にオススメされる、もしくは、なんとなくそう考えている方が多いことも、予想通りでした。
新築で、35〜36坪の家を建てると子供が巣立った後は、ご夫婦2人暮らしになり、子供部屋2部屋とLDKに隣接した和室が、半永久的に納戸になることがほとんどなので、新築時に30坪前後の小さな家にするのが良いのではないか?結果として家を小さくして、坪単価を上げることが良い家に繋がるという提案も、よく考えれば当たり前の話なのですが、新鮮だったようです。
断熱性能(温熱性能)にしか興味がなかったご家族が、家づくりの依頼先決める視点を変えるキッカケになったなら嬉しい。
良かったらご覧ください。当社webの家づくりの考え方
今回の構造見学会に来ることができなかった方で現場を見たい方、もしくは私の話を聞いてみたい方はご連絡ください。
ありがとうございました。
夏と言えばこのサンダル。私は2足持っており、1年中履いています。スニーカーみたいにフィットして足も蒸れないので履き心地は最高です。今年は安いなぁ。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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