PEパッキンでQ1.0住宅の気密性能を補強する!
宇都宮市の街中で新築中の平屋のようなQ1.0住宅、SH-house。
気密性能C値を0.5くらいに設定しているので、念のためPEパッキン(日本住環境)という気密部材で気密性を補強する工事をしています。
PEパッキンを施工した箇所は、気密シートが途切れる窓と玄関ドア廻りのダイライト下と、桁上断熱の合板下。
PEパッキンは、ダイライトや合板等の面材と木材の間にパッキンとして使い気密性を確保する部材です。
今日のブログは気密性能について書きます。
PEパッキンとは
PEパッキンとは、気密部材の専門メーカーである日本住環境の、ボード気密用の気密部材です。ダイライトや合板等の面材と木の間にPEパッキンを挟んでサンドイッチし、圧力をかけることで気密を高めます。
シート気密とボード気密
繊維系断熱材の気密工法には、「シート気密」と「ボード気密」の2種類があり、当社は石膏ボードの下地に0.2mm厚の気密シートを貼る「シート気密」で気密性を確保していますが、「床合板による気流止め」と「外壁下地の耐力面材」および「桁上断熱」も行っているので、当社はシート気密とボード気密の「良いとこどり」して気密工事しています。かつ、補強としてPEパッキンを使いました。
この研究報告書PDF、家づくりする人、断熱の勉強をする人にもとても勉強になると思います。
平成28 年度受託研究報告書 /繊維系断熱材充填による新しい高断熱工法
新築工事の依頼先は「気密測定」を実施している会社が良いと思う、その理由は・・・
ちなみに新築工事の依頼先は、「気密測定」を実施している会社が良いと思います。
というのも、気密測定を実施している会社は、ほとんどの場合気密性能が良いですし、気密性の高さは、他の部分の造りの丁寧さにもつながっていることが多いからです。
実際に断熱材を入れて気密シートを貼る気密工事は、ほとんど大工と断熱専門業者が行いますが、電気屋と設備屋も、気密シートをカットした部分の気密工事をするので、主にその4業者が、丁寧に仕事しないと、家の気密性は上がりません。
気密工事を丁寧に行う職人は、気密工事以外の作業もキチンと行うことが多く、丁寧に仕事している現場の雰囲気は、その後に現場で仕事する左官や内装等の仕上げ職人にも良い影響を与えるからです。
気密測定とは
家中の隙間の量を測るには、気密測定を行います。気密測定のやり方は、送風機で室外に空気を排出して減圧し、その時の風量と差圧を測定してその関係から隙間の大きさを測定する方法(減圧法)です。
この気密測定により、隙間相当面積C値が分かります。
なぜ気密性を高めることが必要なのか?
隙間の多い家で暖房すると、暖かい空気は天井へあがり、屋根の隙間から外へ出ていきます。
屋根から出た分だけ床下の隙間から冷たい空気が侵入するため、暖房すればするほど室内の上下で温度差が拡大します。
隙間の少ない家は、暖めた空気が屋根から抜けにくく、床下から冷たい空気が侵入してきませんから、室内の上下で温度差が起きにくいのです。
気密性の向上は床の底冷えにも効果があります
●「断熱」「気密」というと、どこか息苦しく感じたり、自然や気候風土を遮断しているようなイメージを抱いている方もいますが、それは言葉の独り歩きからくるまったくの誤解。
●断熱気密性能を建物の「保温力」と捉えてみてください。冬は太陽の熱を効率的に取り入れ、その暖かさをしっかり保つのです。
●気密はダウンジャケットのファスナーと捉えればわかりやすいでしょう。しっかりと閉めることができれば格段に保温力は上がります。
こちらのブログも参考にしてください。
「住まいの基本を考える」は、家を建てる前に知っておきたいことが1日で読めるおススメ本
目指す気密性能C値は0.5
当社では目標とする気密性能を表すC値は0.5くらいにしています。
C値を0.5くらいに設定した理由は、Q1.0住宅を造っている先輩たちの意見を参考に設定しました。
前回のQ1.0住宅SH-houseでのC値は1.0でした。
SH-houseは天井断熱で、天井野縁下に貼った気密シートが、柱廻りで途切れてしまい、私も大工と一緒に気密工事を行いましたが、上手く気密シートが貼れなかったのです。
上手く気密工事が出来なかったので、施工中から悶々としており、気密測定してC値が1.0と分かってからは、次は絶対にリベンジしようと考えておりまして、今はその途中なのです。
ちなみに今から15年くらいの前、ウレタンパネル工法である「FPの家」を造っていたことろは、パネル工法だったので、簡単にC値0.2~0.5くらいは出ていたのですが、グラスウールと気密シートを使った断熱工法は、気密性能を出すのに経験とコツがいるのだと分かりました。
C値の数値が小さいほど隙間がなく、気密性が高いことになります。
床面積100m2の家でC値が1.0の場合、建物全体の隙間は100cm2(正方形10×10cm)あるという意味です。
桁上断熱の桁上にPEパッキンを貼っています
今回はSH-houseでの反省を踏まえて、天井断熱でなく、気密性の取りやすい桁上断熱としました。
桁上に12mmの針葉樹構造合板を貼った上に気密シートを貼って、セルローズファイバーブローイングを300mm吹き込みます。
その前に補強として、PEパッキンを貼ってから、合板を釘打ちして貼りました。
窓や玄関ドア廻りにもPEパッキンを施工して気密補強
また、壁の気密シートが途切れる窓や玄関ドア廻りは、気密が取りにくい箇所なので、できるだけ簡単に確実に気密を取ろうと、初めてPEパッキンを使いました。
サッシの廻りは、膨張式防水断熱シーリングテープ「ウルト社VKPベーシック」を使用
サッシの廻りに出来る10mmくらいの3方向の隙間は、ドイツ製の膨張式防水断熱シーリングテープ「ウルト社VKPベーシック」を使用します。
25度以上になると膨張して使えなくなるので、今は事務所の冷蔵庫で保管しています。
この部材も、無垢材と同じで、「生もの」のように繊細です。
「ウルト社VKPベーシック」も、サッシ取付後にブログでレポートします。
冷蔵庫に建材が入っているのは違和感ありますW
こちらもご覧ください。
今月末7/27(土)と7/28(日)に構造見学会を行います
今月末7/27(土)と28(日)にこのSH-houseで構造見学会を行います。
付加断熱、床下エアコンの平屋のような28坪の住宅です。
予約制なのでご興味ある方は、ご連絡ください。
案内を貼っておきます。
7/27(土)の10時と13時は予約が入っていますが、その他の時間はまだ空いております。
■7/27(土)
①10:00 ②13:00 ③1500
■7/28(日)
①10:00 ②13:00 ③1500
最近買いました。シンプルな小さな家の実例が掲載されています。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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