2025-09-15
Q1.0住宅 宇都宮小幡の家(宇都宮市)
住宅設計
高断熱・高気密住宅

【施工例】31坪で叶える終の棲家|快適性と収納を重視した宇都宮のQ1.0住宅

当社WEBの施工例ページに、Q1.0住宅「小幡の家」の施工例をアップしました。

Q1.0住宅 宇都宮小幡の家

このブログでは、施工例ページのポイントをまとめてご紹介します。

ヨシダクラフトの「Q1.0住宅 宇都宮小幡の家」は、「終の棲家」を念頭に、31坪というコンパクトな住まいながら暮らしやすさと性能を追求した住宅です。

「設計の背景」「なぜこの温熱性能が必要なのか?」・「メンテナンスしやすさの工夫」まで、多くの要素が詰まっている施工例です。

終の棲家としての設計コンセプト

この家の依頼主は、「1階で暮らしが完結すること」を第一に望んでいました。平屋のような暮らしをベースに、将来お子様一家が帰省したときには、2階リビングを寝室として使える柔軟性も併せ持たせるプランです。

加えて、「白い壁に絵を飾りたい」「収納が使いやすい」「自分で安全にメンテナンスできること」といった、日常生活での実用性や住み心地にも深くこだわった設計になっています。外物置のシャッター付きスペースも“暮らしの道具”として住宅の一部に組み込まれています。

敷地・外観の工夫

DCIM100MEDIADJI_0010.JPG

この家は区画整理地域、準防火地域という条件下で建てられています。特に南隣家が近く、日射取得が難しい立地条件だったため、建物の配置と日射者取得できる開口部の配置が重要な課題でした。南隣地との位置関係や駐車場の配置を考慮し、南面の日射取得が出来ると予想される(区画整理地域なので、周囲は一斉に解体、新築されるため)場所に開口を設けて、暖気を2階に移動できる吹き抜けを配置しました。

建物は北東角に隅切りされた土地に建っており、建物を東側に寄せることで交差点から離れた場所に駐車場を設けて、安全性と使いやすさを両立しています。外観はガルバリウム鋼板で統一され、耐久性と普遍性を兼ね備えた仕上げになっています。屋根には6kWの太陽光パネルも載せています。

暮らしやすさを支える間取り&収納

この家の1階には、日常生活に必要なすべての機能を集約。キッチン・浴室・個室などが揃っており、将来階段の昇り降りが難しくなったとしても、支障をきたさない設計です。収納は、玄関・脱衣室・トイレ・ダイニング・リビングなど散らかりやすい場所に、それぞれ豊富な造作収納を設けて、片付けやすいように配慮されています。さらに、アートを飾れるよう壁面の白い漆喰壁を活かし、ピクチャーレールや棚も多数設置。暮らしやすさと美しさの共存を目指しました。

夏と冬の温湿度実測データが示す快適さ

この家は、温熱的快適性の5つの要素、①断熱②気密③日射遮蔽④空調⑤換気が、三位一体ならぬ五位一体で、上手く作用しあったと思います。

実際の快適性は、下記に添付した冬と夏の温湿度を実測したデータで示されています。

実測データは、外皮の形状が複雑(下屋があり総二階でない)であることを考慮すると、温湿度は、簡単で普遍的な方法により、均一に近い快適範囲で保たれていると思います。

冬は、床下エアコン1台(10畳用)のみで暖房して、平均室温22.2℃台をキープ。各部屋の温度差もほとんどなく快適でした。

夏も、日射遮蔽(外付けブラインド、シャッター、ハニカムスクリーンなど)とエアコン2台・送風機の併用により平均室温約26.1℃、湿度も快適な範囲内との結果。

これらは躯体の温熱性能・設計・暮らし方の工夫が、実際に機能していることの証明と言えます。断熱性能は、Q値0.92、UA値0.29、気密性C値0.4です。

まとめ 小さくて豊かな住まい

ヨシダクラフトがこの家で目指したのは、面積を抑えても暮らしの質を落とさない設計です。31坪という小さな家でありながら、将来的な暮らしの変化にも対応しうる間取り、生活がしやすい収納の配置と収納量、見た目にも心地よい素材選び。高断熱・高気密・日射遮蔽・空調・換気の温熱的快適性を構成する5つの要素でも妥協がありません。温湿度の実測データがそれを裏付けています。小さいですが北庭の存在、外観の統一感など、施主と対話をして、丁寧に詰めて完成しました。施主が安全かつ簡単に、脚立に登らずにメンテナンスできる換気システムを選んでいます。

Q1.0住宅「小幡の家」施工例はこちら

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

この記事をシェアする
コメント