【夏に備える家づくり】窓の日射遮蔽材比較!4年使った「よしず」を処分して、外付けロールスクリーン「サングッド」にした話

夏の猛暑日が年々増えています。宇都宮市でも、1960年代には年間2日程度だった猛暑日が、2024年には18日にも達しました。冬日は逆に減少傾向で、地球温暖化の影響を感じます。冬の寒さ対策同様、夏の暑さ対策も、住宅設計の中心課題になりつつあります。
他社で家づくりした方から「せっかく新築したのに、冷房しても夏暑くて居られない」という相談を、複数回受けたことがあります。話を聞くと、窓の日射遮蔽をしていないお宅であり、かつ断熱性能も低めなお宅なので、「冬も寒い」というのが共通していました。
このブログでは、これから家を新築したりリノベーションしたりする方に向けて、夏の暑さ対策としてとても効果的な「窓の外側での日射遮蔽」についてご紹介します。今回は、実際に施主のお宅で4年間使っていた「よしず」から、「外付けロールスクリーン(サングッド)」へと変更した事例をもとに、その違いや効果について詳しくお伝えします。
これから家を新築したりリノベーションしたりする方に向けて、夏の暑さ対策としてとても効果的な「窓の外側での日射遮蔽」についてご紹介します。今回は、実際に施主のお宅で4年間使っていた「よしず」から、「外付けロールスクリーン(サングッド)」へと変更した事例をもとに、その違いや効果について詳しくお伝えします。
日射遮蔽材の種類は多いので、違いがよく分からないと思います。それぞれのメリット・デメリットを整理してお伝えした上で、最後に私のおススメの日射遮蔽材を2種類ご紹介します。
目次
宇都宮市の猛暑日と冬日の推移:夏の暑さが現実の課題になっている
地球温暖化の影響により、宇都宮市も夏はより暑くなっています。顕著に、夏が暑くなっている様子を表すグラフを添付します。
夏の暑さ対策が、家づくりの課題となっている証拠です。

上記のグラフから、年間猛暑日(日最高気温35℃以上)の推移を見ると、
- 1960年代:年間2日程度のみ
- 2023年:年間23日
- 2024年:年間16日
- →1960年代と、2023年と2024年の平均を比較すると、年間猛暑日は、およそ9倍に増加

宇都宮市の年間熱帯夜日数も増えている。
宇都宮市における年間の熱帯夜日数は、1960年代と比較して2020年代に大幅に増加しています。具体的な数値は以下の通りです:
- 1960年代:年間の熱帯夜日数は平均して約5日程度でした。
- 2020年代:年間の熱帯夜日数は平均して約30日以上となっています。
この増加傾向は、1980年頃から顕著になり、特に近年では都市化や地球温暖化の影響により、熱帯夜の発生頻度が急激に増加しています。宇都宮市の年平均気温も、100年間で約2.4℃上昇しており、これが熱帯夜の増加に寄与していると考えられます。

年間冬日(日最低気温0℃未満)の推移
- 1960年代:年間30日前後
- 2020年代:年間20日を下回る年も出現
- →年間冬日は減って、冬は暖かくなっている
このように、宇都宮市でも「夏の暑さ対策」が家づくりにおいて重要なテーマになってきています。冷房に頼りすぎると電気代がかさむため、日射遮蔽というパッシブな工夫が注目されています。
※猛暑日とは日最高気温が35℃以上の日、冬日とは日最低気温が0℃未満の日を指します。
日射遮蔽の基本は、「窓の外側で日射遮蔽を行うこと」

窓から室内に侵入する太陽の熱(日射熱)は、夏の室温上昇の約7割を占めるともいわれています。そのため、まず遮るべきは「窓からの直射日光」です。
ここで重要なのが、遮る位置。
- 窓の内側で遮る方法は遮熱効果が低い:遮熱カーテン、室内ブラインド、障子など
- 窓の外側で遮る方法は遮熱効果が高い:よしず、すだれ、オーニング、外付けロールスクリーンなど
実は、窓の外側で日射を遮る方が効果は2〜3倍高いとされています。理由はシンプルで、熱がガラスを通る前に遮ってしまえば、そもそも室内に熱が入ってこないからです。
項目 | 外側(日射前)で遮蔽 | 内側(日射後)で遮蔽 |
---|---|---|
吸収・放射熱の流入 | ほぼ遮断できる | 窓ガラスが熱くなり、室内に輻射・伝導される |
日射熱取得率(SHGC) | 低く抑えられる | 高くなる(熱が窓を通過してから対処するため) |
空調負荷 | 大幅に減らせる | あまり減らせない |
効果の目安 | 内部遮蔽の3〜5倍以上 | 限定的 |
夏の室温上昇を本気で抑えるなら、やはり窓の外側で日射を遮る方法が効果的です。最近では、家の設計段階から庇や外付けロールスクリーンを取り入れるケースも増えていますし、後から設置できる外付けロールスクリーンも非常に優秀です。
植物を使った「緑のカーテン(ゴーヤやアサガオなど)」も、植物を植えたり、植木鉢を片づけたりと面倒な点はありますが、エコで楽しい手段です。
なぜ「よしず」を撤去して「外付けロールスクリーン」を取付たのか?
施主は4年間、南面の掃き出し窓に「よしず」を立てかけて日射を遮っていました。見た目も涼しげで、設置も簡単です。しかし、数年使ってみて、以下のようなメリットとデメリットが見えてきました。
●よしずのメリット
- ホームセンターで安価に入手できる。2.7m×3.0mで2万円くらいです
- 壁に固定せず立てかけるだけでOK、施工不要
- 自然素材で風通しも良く、見た目に「夏らしさ」がある
●よしずのデメリット
- 片付けが面倒:使わないときに巻いて縛るのが大変
- 大きく重いため、保管場所に困る。
- 特に高齢になると、よしずの片づけと保管場所への移動は負担となる
- 強風で倒れる、ズレる、掃除が必要
- 4年経過したよしずは、まだ使えるが劣化している。ささくれやカビが発生することも
結果として、今年よしずを処分し、外付けロールスクリーン「サングッド」を採用しました。
●外付けロールスクリーン「サングッド」のメリット
- 手動式でも上げ下げが軽く簡単、必要な時だけ降ろせる
- 収納がスマート:使わないときは窓上部に巻き取られて邪魔にならない。
- 「よしず」のように、片付けと移動が不要
- 視線は遮り、光は通す:中から外は見えるのに、外からは見えにくい
●外付けロールスクリーン「サングッド」のデメリット
- 「よしず」より高価
- 壁に設置する施工が必要(素人には取付が難しい)
- 電動式ではないため、窓の外に出て操作する必要あり。外付け電動ブラインドはリモコン操作可能
- 長期間降ろしっぱなしにすると紫外線で生地が劣化する。生地交換可能
【一覧表】窓の日射遮蔽材の種類とメリット・デメリット
分類 | 遮蔽材 | メリット | デメリット |
外側 | よしず | 安価・施工不要・通気性良し | 保管が大変・劣化しやすい・移動が重労働・固定しないので風で倒れたりする |
外側 | 外付けロールスクリーン(サングッド) | 見た目がスマート・遮熱効果が高い・視線遮断 | 施工必要・手動操作・よしずより効果 |
外側 | 外付け電動ブラインド | 室内から操作可能・羽根角度設定できる | 施工必要・サングッドより高価・電動のため、機械的故障リスクあり |
外側 | 庇(ひさし) | 半永久的に使える・雨対策にもなる | 影が固定で後から調整できない・設計段階での計画が必要 |
内側 | 遮熱カーテン | 手軽に導入できる・種類が多い | 熱は一度窓から侵入してしまう・窓内側は外側と比べて、遮熱効果低い |
内側 | 障子 | 見た目が和風・拡散光で柔らかい光 | 遮熱効果は弱め・変色・破れの可能性・熱は一度窓から侵入してしまう |
内側 | 室内ロールスクリーン | 見た目すっきり・調光が可能 | 熱は一度窓から侵入してしまう |
まとめ:日射遮蔽は、外付けロールスクリーンか、外付け電動ブラインドの2択
冷房の使用は避けられませんが、冷房に頼る前の一工夫として、日射遮蔽は非常に価値があります。必須と言って良いです。
今回、「よしず」と「外付けロールスクリーン(サングッド)」を比べたことで、それぞれのメリット・デメリットが明確になりました。新築・リノベーションを考える方には、施工のしやすさとランニングコスト、使い勝手を総合的に検討して、選んで頂きたいと思います。
これから新築やリフォームをする方に向けて、私が日射遮蔽材としておすすめするのは、「外付けロールスクリーン」か「外付け電動ブラインド」の2つです。どちらを使うかは、設置場所や目的に合わせて選ぶのがポイントです。
この2つをおすすめする理由は、他の遮蔽方法と比べて、プロに依頼するため初期費用は掛かるものの、「遮熱効果がしっかりあり」「操作がラクで」「長く使える」から。結果としてコストパフォーマンスが高く、快適な住まいづくりに役立つと考えています。
外付けロールスクリーン「サングッド」の施工方法を、写真で説明します
外付けロールスクリーン「サングッド」は、窓の外側で日射をコントロールすることで、冷暖房負荷を抑えつつ、室内からの視線の抜けや開放感は確保できます。










日射遮蔽についてのブログ
日射遮蔽は、夏、省エネで快適に過ごすためのマストアイテムであり、最重要事項の1つなので、今まで様々なブログを書いています。

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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