2025-05-06
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【夏に備える家づくり】窓の日射遮蔽材比較!4年使った「よしず」を処分して、外付けロールスクリーン「サングッド」にした話

外付けロールスクリーン「サングッド」

夏の猛暑日が年々増えています。宇都宮市でも、1960年代には年間2日程度だった猛暑日が、2024年には18日にも達しました。冬日は逆に減少傾向で、地球温暖化の影響を感じます。冬の寒さ対策同様、夏の暑さ対策も、住宅設計の中心課題になりつつあります。

他社で家づくりした方から「せっかく新築したのに、冷房しても夏暑くて居られない」という相談を、複数回受けたことがあります。話を聞くと、窓の日射遮蔽をしていないお宅であり、かつ断熱性能も低めなお宅なので、「冬も寒い」というのが共通していました。

このブログでは、これから家を新築したりリノベーションしたりする方に向けて、夏の暑さ対策としてとても効果的な「窓の外側での日射遮蔽」についてご紹介します。今回は、実際に施主のお宅で4年間使っていた「よしず」から、「外付けロールスクリーン(サングッド)」へと変更した事例をもとに、その違いや効果について詳しくお伝えします。

これから家を新築したりリノベーションしたりする方に向けて、夏の暑さ対策としてとても効果的な「窓の外側での日射遮蔽」についてご紹介します。今回は、実際に施主のお宅で4年間使っていた「よしず」から、「外付けロールスクリーン(サングッド)」へと変更した事例をもとに、その違いや効果について詳しくお伝えします。

日射遮蔽材の種類は多いので、違いがよく分からないと思います。それぞれのメリット・デメリットを整理してお伝えした上で、最後に私のおススメの日射遮蔽材を2種類ご紹介します。

宇都宮市の猛暑日と冬日の推移:夏の暑さが現実の課題になっている

地球温暖化の影響により、宇都宮市も夏はより暑くなっています。顕著に、夏が暑くなっている様子を表すグラフを添付します。

夏の暑さ対策が、家づくりの課題となっている証拠です。

宇都宮市の年間猛暑日日数

上記のグラフから、年間猛暑日(日最高気温35℃以上)の推移を見ると、

  • 1960年代:年間2日程度のみ
  • 2023年:年間23日
  • 2024年:年間16日
  • →1960年代と、2023年と2024年の平均を比較すると、年間猛暑日は、およそ9倍に増加
宇都宮市の年間熱帯夜日数

宇都宮市の年間熱帯夜日数も増えている。

宇都宮市における年間の熱帯夜日数は、1960年代と比較して2020年代に大幅に増加しています。具体的な数値は以下の通りです:

  • 1960年代:年間の熱帯夜日数は平均して約5日程度でした。
  • 2020年代:年間の熱帯夜日数は平均して約30日以上となっています。

この増加傾向は、1980年頃から顕著になり、特に近年では都市化や地球温暖化の影響により、熱帯夜の発生頻度が急激に増加しています。宇都宮市の年平均気温も、100年間で約2.4℃上昇しており、これが熱帯夜の増加に寄与していると考えられます。

宇都宮市の年間冬日日数

年間冬日(日最低気温0℃未満)の推移

  • 1960年代:年間30日前後
  • 2020年代:年間20日を下回る年も出現
  • →年間冬日は減って、冬は暖かくなっている

このように、宇都宮市でも「夏の暑さ対策」が家づくりにおいて重要なテーマになってきています。冷房に頼りすぎると電気代がかさむため、日射遮蔽というパッシブな工夫が注目されています。

※猛暑日とは日最高気温が35℃以上の日、冬日とは日最低気温が0℃未満の日を指します。

上記表出典 

日射遮蔽の基本は、「窓の外側で日射遮蔽を行うこと」

日射熱は窓の外側で遮るのが効果的 出典

窓から室内に侵入する太陽の熱(日射熱)は、夏の室温上昇の約7割を占めるともいわれています。そのため、まず遮るべきは「窓からの直射日光」です。

ここで重要なのが、遮る位置。

  • 窓の内側で遮る方法は遮熱効果が低い:遮熱カーテン、室内ブラインド、障子など
  • 窓の外側で遮る方法は遮熱効果が高い:よしず、すだれ、オーニング、外付けロールスクリーンなど

実は、窓の外側で日射を遮る方が効果は2〜3倍高いとされています。理由はシンプルで、熱がガラスを通る前に遮ってしまえば、そもそも室内に熱が入ってこないからです。

項目外側(日射前)で遮蔽内側(日射後)で遮蔽
吸収・放射熱の流入ほぼ遮断できる窓ガラスが熱くなり、室内に輻射・伝導される
日射熱取得率(SHGC)低く抑えられる高くなる(熱が窓を通過してから対処するため)
空調負荷大幅に減らせるあまり減らせない
効果の目安内部遮蔽の3〜5倍以上限定的
窓の外側と内側で日射遮蔽した場合の比較表

夏の室温上昇を本気で抑えるなら、やはり窓の外側で日射を遮る方法が効果的です。最近では、家の設計段階から庇や外付けロールスクリーンを取り入れるケースも増えていますし、後から設置できる外付けロールスクリーンも非常に優秀です。

植物を使った「緑のカーテン(ゴーヤやアサガオなど)」も、植物を植えたり、植木鉢を片づけたりと面倒な点はありますが、エコで楽しい手段です。

なぜ「よしず」を撤去して「外付けロールスクリーン」を取付たのか?

施主は4年間、南面の掃き出し窓に「よしず」を立てかけて日射を遮っていました。見た目も涼しげで、設置も簡単です。しかし、数年使ってみて、以下のようなメリットとデメリットが見えてきました。

よしずのメリット

  • ホームセンターで安価に入手できる。2.7m×3.0mで2万円くらいです
  • 壁に固定せず立てかけるだけでOK、施工不要
  • 自然素材で風通しも良く、見た目に「夏らしさ」がある

よしずのデメリット

  • 片付けが面倒:使わないときに巻いて縛るのが大変
  • 大きく重いため、保管場所に困る。
  • 特に高齢になると、よしずの片づけと保管場所への移動は負担となる
  • 強風で倒れる、ズレる、掃除が必要
  • 4年経過したよしずは、まだ使えるが劣化している。ささくれやカビが発生することも

結果として、今年よしずを処分し、外付けロールスクリーン「サングッド」を採用しました。

外付けロールスクリーン「サングッド」のメリット

  • 手動式でも上げ下げが軽く簡単、必要な時だけ降ろせる
  • 収納がスマート:使わないときは窓上部に巻き取られて邪魔にならない。
  • 「よしず」のように、片付けと移動が不要
  • 視線は遮り、光は通す:中から外は見えるのに、外からは見えにくい

外付けロールスクリーン「サングッド」のデメリット

  • 「よしず」より高価
  • 壁に設置する施工が必要(素人には取付が難しい)
  • 電動式ではないため、窓の外に出て操作する必要あり。外付け電動ブラインドはリモコン操作可能
  • 長期間降ろしっぱなしにすると紫外線で生地が劣化する。生地交換可能

【一覧表】窓の日射遮蔽材の種類とメリット・デメリット

分類遮蔽材メリットデメリット
外側よしず安価・施工不要・通気性良し保管が大変・劣化しやすい・移動が重労働・固定しないので風で倒れたりする
外側外付けロールスクリーン(サングッド)見た目がスマート・遮熱効果が高い・視線遮断施工必要・手動操作・よしずより効果
外側外付け電動ブラインド室内から操作可能・羽根角度設定できる施工必要・サングッドより高価・電動のため、機械的故障リスクあり
外側庇(ひさし)半永久的に使える・雨対策にもなる影が固定で後から調整できない・設計段階での計画が必要
内側遮熱カーテン手軽に導入できる・種類が多い熱は一度窓から侵入してしまう・窓内側は外側と比べて、遮熱効果低い
内側障子見た目が和風・拡散光で柔らかい光遮熱効果は弱め・変色・破れの可能性・熱は一度窓から侵入してしまう
内側室内ロールスクリーン見た目すっきり・調光が可能熱は一度窓から侵入してしまう

まとめ:日射遮蔽は、外付けロールスクリーンか、外付け電動ブラインドの2択

冷房の使用は避けられませんが、冷房に頼る前の一工夫として、日射遮蔽は非常に価値があります。必須と言って良いです。

今回、「よしず」と「外付けロールスクリーン(サングッド)」を比べたことで、それぞれのメリット・デメリットが明確になりました。新築・リノベーションを考える方には、施工のしやすさとランニングコスト、使い勝手を総合的に検討して、選んで頂きたいと思います。

これから新築やリフォームをする方に向けて、私が日射遮蔽材としておすすめするのは、「外付けロールスクリーン」か「外付け電動ブラインド」の2つです。どちらを使うかは、設置場所や目的に合わせて選ぶのがポイントです。

この2つをおすすめする理由は、他の遮蔽方法と比べて、プロに依頼するため初期費用は掛かるものの、「遮熱効果がしっかりあり」「操作がラクで」「長く使える」から。結果としてコストパフォーマンスが高く、快適な住まいづくりに役立つと考えています。

外付けロールスクリーン「サングッド」の施工方法を、写真で説明します

外付けロールスクリーン「サングッド」は、窓の外側で日射をコントロールすることで、冷暖房負荷を抑えつつ、室内からの視線の抜けや開放感は確保できます。

「よしず 高さ2.7m×幅3.0m」を使っていた時
よしずを撤去して、金物の位置出しをして、2種類の金物取付
上がブラケット金物
下がスクリーンを留めるフック
製品本体の取付はビス留
裏のプレートを合わせて
ビス留
完成
完成。昼間は、外から室内は見えない
外付けロールスクリーンを降ろしても、室内からは外が見える

日射遮蔽についてのブログ

日射遮蔽は、夏、省エネで快適に過ごすためのマストアイテムであり、最重要事項の1つなので、今まで様々なブログを書いています。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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