ウッドデッキの使用状況を施主に聞いてみた。ウッドデッキは凸型より凹型のほうが、家との一体感が増し使用頻度は高くなりやすい
設備の具合が悪いというので、3年前に引き渡したM-houseに行ってきました。
点検が終わりLDKでお茶を頂いていると、ウッドデッキにアウトドアチェアや物が置いてあり、LDKの一部としてウッドデッキを使っている様子です。
テーブル、チェア等のあるウッドデッキ。内部と外部の中間領域として使われている様子。
奥様にウッドデッキの使用状況について聞いてみました
私「ウッドデッキ、使っていますか?」
奥様「使っています。寒い時期はあまり使ってないですが、暖かい時は、バーベキューしたり、お茶を飲んだり、かなり使っています。主人は家の中でタバコを吸わない約束なので、デッキで吸っています。」
私「ウッドデッキが有効に使われていて良かったです。」
奥様「子供の友達が来ると、室内とデッキをグルグル駆け回って遊んでいます。」
私「子供さん達は凄い迫力なのでしょうね。良い材料でしっかりと造っておいて良かったです。」
私が予想した以上にウッドデッキが使用されている様子である。
M-houseのウッドデッキの使用頻度が高い理由を考えてみた。
部屋の一部となったウッドデッキの使用頻度は高い
M-houseのウッドデッキは、コの字型(凹型)の建物の真ん中ある。3方向が建物に囲まれたウッドデッキである。全部で12帖ある広いデッキだ。建物が凹型になった理由は、旦那様が、お風呂を出てすぐ、全裸に近い格好で気持ち良くウッドデッキに出たいという要望だったからである。裸でウッドデッキがマストアイテムだったのだ。風通しの良い広いデッキに裸で出たら、とても気持ちが良いだろう。気持ちはとてもよく分かる。
ただし、近所の方に見られるとまずい。旦那様からの要望は、道路以外の敷地境界に高い塀を架けて、姿が見えないようにしてくれという事でした。ただし、塀の高さが地面から3M近くになります。高い塀を造るとお金も掛かるし、ご自宅にも隣家にも採光や風通しの面で影響が出る。ですから塀を建てずに、建物をコの字型(凹型)にして、人が見えないように中央にデッキを配置することにしました。実際、旦那様が裸でデッキに出ているかは不明です。毎回、聞き忘れています(笑)。
凹型ウッドデッキのメリットとデメリット
建物をコの字型(凹型)にし、中央にウッドデッキを配置したことにより、高い塀を造らずにプライバシーの確保が出来ました。また、凹型にすることにより、ウッドデッキがより室内の一部に近づいた感じになりました。ウッドデッキは外部ですが、LDK、居間、廊下、洗面脱衣室、浴室に囲まれているので、部屋の一部に近い感覚です。部屋→デッキ→部屋とグルグル回遊できる動線としたので、子供の動きは想定内でした。ウッドデッキはキッチンの隣なので、バーベキューやお茶はしやすいです。ウッドデッキが部屋の一部のようになっていること。これが使用頻度の高い一番の理由だと思われます。
写真中央がウッドデッキ。デッキが部屋に囲まれているのがわかる。キッチンの隣がウッドデッキ。
しかし、デメリットもある。凹型の建物は、四角い建物に比べて壁の面積が多くなるので、建築費はその分高額になります。ただし、M-houseの場合は、高く長い塀を造るよりも、大幅に安く快適な空間が出来たと考えています。
他人に見られるウッドデッキは寛げないので、使用頻度は低くなるのが普通
北道路で南面にあるウッドデッキがあり、かつデッキ周囲に住宅の無い場合は使用頻度が高い。M-houseがこれである。デッキで寛いでいる姿を他人に見られると寛げないのだ。だからウッドデッキは他人の目が届かないところがベストである。他人の視線を気にしなくて良い部屋の中のようなウッドデッキが寛げる。そう考えると、大規模団地のウッドデッキは、通行人や隣家の人の視線が入ることが多いので、ほぼ寛げない。
凸型ウッドデッキのメリットとデメリット
普通のウッドデッキは凸型である。凸型ウッドデッキとは、ウッドデッキ部分だけ建物から出っ張った普通のウッドデッキだ。現在、建物の形は断熱性及び気密性が取りやすいという理由もあり、変形敷地に建つ住宅を除いて、四角い住宅が多くなっている。だからデッキの形も凸型が多いのである。メリットは、建物自体は真四角なことが多いので、壁の面積が少なく経済的なこと。デメリットは、建物に囲まれていないので、デッキと建物の一体感をだすのが難しいことである。凸型住宅でデッキと建物の一体感を出すには下記のようにデッキに続く庭が不可欠だろう。
ウッドデッキの先に素敵な庭があることも、デッキの使用頻度をあげている
ウッドデッキの先に素敵な庭があり、庭に降りやすいこともウッドデッキの利用頻度が高い理由の1つである。また、M-houseは庭の先にも広い林があり、借景になっているので、デッキの利用頻度はさらに高まっていると思われる。デッキが庭と借景を臨む舞台のようになっている。逆に室内との関係が希薄で、かつ庭と一体になっていないウッドデッキは使用頻度が低くなり、使われないウッドデッキになる可能性が高い。
長持ちするウッドデッキの下地仕様について
木製ウッドデッキ下は、コンクリートを一面に打設して、湿気をなるべく上げないようにしたほうが良いだろう。そのほうがデッキ下の掃除も楽である。コンクリートに勾配が付くから、ゴミや埃も水で流せるのだ。デッキ下が土だとそうはいかない。また、土間コンクリート上に直接、木製束を建てずに、コンクリート束石をモルタルで設置して、その上に木製束を建てた方がより耐久性は上がる。コンクリート面に直接、束を建てると、束が雨水を吸ってしまうからだ。当然、このような手間の掛かるやり方をするとお金が掛かるが、やらないよりも長持ちする。
写真はM-houseウッドデッキ下地。コンクリート土間の上に束石をモルタルで固めて木製束を建て大引きを横に流したところ。湿気が上がりにくい。
長持ちするウッドデッキの材料について
M-houseのウッドデッキは、ウリン(アイアンウッド)である。その他イペなど、超硬質木材が良いだろう。ウリンやイペは高価だが、長持ちするのでデッキを造るなら無理をしても超硬質木材が良い。ちなみに超硬質木材は丸鋸の刃がダメになってしまうような硬さである。錐(きり)で下穴を開けないと、ビスが打てない。ビスは全て錐で下穴をあける。そのため施工手間も掛かる。
その次のグレードがウェスタンレッドシダー(米杉)だろう。国産では檜(ひのき)である。またベランダFRP防水上にウッドデッキを敷く場合は、ウッドデッキを1帖以下のパネルにして持ち上げられるようにしておかないと、下のFRP防水のメンテが出来ない。間違って普通に施工してしまい、ウッドデッキが外せず、防水のメンテが出来ないお宅も多いと思われる。
材料に話を戻すと、間違っても、SPFの2×4材はウッドデッキに使わないほうが良い。5年持たないかもしれない。使うなら、防腐処理されたSPFが良い。「SPF(エスピーエフ)材」とは、マツ科トウヒ属のスプルース(Spruce)、マツ属のパイン(Pine)、モミ属のファー(Fir)の頭文字をとって総称した輸入建築材のこと。この3種類の木材は強度も見た目もよく似ているため、「SPF材」がこの樹種のどれになるかは流通具合に応じて変わる。
ちなみに、ウリンはSPF材の約8倍の価格である。ウリン105×30×3000で5550円程度。38×89×3048(SPFの2×4材)で730円程度(税込、送料抜き、2015.2現在)
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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現在、ウッドデッキを考えているので、大変参考になりました。 ウッドデッキと室内との関係性は重要ですね。 家屋(部屋)の一部として、かつ立地条件も考慮して施工することが使えるデッキになることがよくわかりました。どうしても屋外構造物なので耐久性が気になりますが、割り切りも必要かな。
コットン1192さん、コメントありがとうございます。参考になったようで、うれしいです。 M-houseは事情があり、凹型になりましたが、デッキと室内の関係だけ見ると、それが良かったようです。 屋外であり、雨のふる方向に対して垂直に木があるので、どう考えても水キレは良くありません。 何年かしたら造り変えるか、無くすという事になると思います。