新築住宅で、最初に断熱気密工事をするのは、どこなのか?
今日のブログは、Q1.0住宅小幡の家の断熱気密工事と関連事項を、写真を見ながら説明します。
目次
新築住宅で、最初に断熱気密工事をするのは、どこなのか?
それは、ユニットバス廻りです。
ユニットバス廻りの断熱気密工事を、一番先に行う理由は、ユニットバスを組み立ててしまうと、ユニットバス周囲の基礎面や壁面の断熱気密工事と、石膏ボード貼りが出来ないからです。
だから新築住宅では、ユニットバス廻りの断熱気密工事と石膏ボード貼りを、最初に行った上で、ユニットバスを設置します。
ユニットバス工事を早めの時期に行う2つの理由
当社では、ユニットバス設置を、比較的早めの時期に行っているほうだと思います。
ユニットバスを早めに施工する1つ目の理由は、ユニットパスを設置しないと、隣の脱衣室の工事が進まないからです。
例えば、ユニットバスを設置して、ユニットバス入口ドアの木製枠を付けないと、脱衣室の壁のボードは貼れません。
また、ユニットバス施工が遅くなってしまうと、隣接する脱衣室の床下排水管や給水給湯配管も進みにくくなるからです。これは他社の現場でも同じだと思います。
早めに施工する2つ目の理由は、当社の造る家が小さめだからです。当社では30坪以下の小さめな家を造るのが殆ど。ですから、室内に材料が置ける場所も当然少ないです。
ユニットバスは1日で完成し、ユニットバス職人が、ユニットバス内部もキチンと養生するので、その中に材料を入れておけます。
ちなみにユニットバスメーカーは完成したユニットバス内部にモノを置くことを推奨していません。しかし、工事中の家の中で、1日で完成する空間は、ユニットバスだけなので、2畳分程度と広くはありませんが、工事中の収納スペースとしては、とても魅力的で、使い勝手が良いのです。
対して、ユニットバス以外の部屋に材料を置いておくと、その部屋は工程が進むにつれて、様々な業者が施工を行いますから、置いた材料を何度も移動する必要が出てきます。
ユニットバス工事は、室内に雨が吹きこまなくなった時点で行います。
省令準耐火仕様の施工写真
ちなみに、当社は火災保険が安くなる省令準耐火を標準仕様としているので、壁は4面、土台から桁上まで長尺の石膏ボード12mmを貼り上げた上で、天井面も強化石膏ボード(上階がある場合)か普通石膏ボードの12mmを貼っています。
省令準耐火のマニュアルはこちら
https://www.flat35.com/files/300187905.pdf
今回、ユニットバスは2階建ての1階部分で、ユニットバス上には部屋があるため、天井面の断熱気密工事はしていません。
換気扇の配管廻りも、大工に指示を出して造ってもらった断熱気密を確保しやすい配管部材を先行配管してから、壁の断熱材を入れて、防湿シートを貼って、石膏ボードで押さえます。
外壁を貫通する配管廻りの断熱気密工事は、高断熱住宅の肝(キモ)
住宅を造る場合、外壁を貫通する配管は数多くあります。
換気扇やエアコンスリーブや乾太くんの配管などです。
外壁に穴が開くわけですから、キチンと施工しないと、隙間風や断熱不良の原因になります。かつ、外壁下の透湿防水シートにも穴が開くので、防水施工にも注意が必要な大切な場所です。
Q1.0住宅宇都宮小幡の家の場合。外壁を貫通する配管だけでも、10本ありました。
- 1.2階キッチンの同時吸排気管 アルミフレキ150パイ×2か所で合計4本
- ユニットバス排気管 アルミフレキ100パイ×1か所
- エアコン用配管 VU65×4か所(うち2か所は予備)
- 乾太くん用 VU100×1か所
上記の配管よりは小さいですが、これにプラスして、外壁を貫通する電気配線もあります。
気密性をキチンと確保すれば、隙間から熱の出入りを防げるので、温度ムラもより防げます。また隙間を無くすことで漏気が無くなるので、キチンと計画換気もできるようになります。
ですから、気密試験は必ず行った方が良いです。
Q1.0住宅昭和の家の気密試験結果、相当隙間面積C値は0.2でした。
外壁を貫通する配管廻りの断熱気密部材
事前に各種配管を用意して、このように造って、この位置に設置してください、と大工さんに指示して、取付けてもらいます。
例えばエアコンや乾太くんなどの機器の位置により、配管位置も決まります。ですから、図面の段階で機器の位置と、配管位置も決めておく必要があります。
特に、エアコンが家具の中に入る場合など、1センチ配管位置がずれていると、いざ完成間際に、家具の中にエアコンが納まらないなんてこともあり得ます。そうなると、家具と仕上がった珪藻土の壁や天井を壊してやり替えるということになってしまいますから、先行配管の位置を間違えると大変なことになるのです。
外壁に穴が開く、配管・配線廻りは、気密層である耐力面材・防湿層である防湿気密シート・防水層である透湿防水シートと外壁材に穴が開きます。
各層に穴が開くので、穴の廻りは断熱気密性能が確保しずらく、かつ漏水の原因にもなる可能性がある場所なので、防湿気密層と防水層を貫通する配管・配線廻りは、何度も繰り返し確認します。
付加断熱の樹脂サッシ施工
サッシや玄関ドアも、上記した配管と同じく、外壁に穴が開く場所なので、防水と断熱気密施工の最重要ポイントです。
下屋のある付加断熱住宅について
出来れば平面図は、2階建てでも平屋でも、シンプルな四角形が良いです。二階建ての場合は、下屋の無い総二階が良いと思います。
シンプルな四角形の平面の総二階住宅が良い理由は、外壁面積が最小に近くなるので、下屋のある住宅や凹凸のある平面の住宅と比較すると、熱の出入りが少なくて性能が良くなる上に、外壁面積も少なくなるので建築費も安く済み、かつ、形状もシンプルなので、漏水の可能性も低くなるからです。
下屋と下屋に繋がる壁の取り合いは、漏水箇所になりやすい所ですが、総二階であれば、下屋が無いので、そもそも漏水の心配となる所が無いわけです。
しかし、今回の1.0住宅宇都宮小幡の家は、施主の希望で、1階で生活を完結できる平屋に近い間取りとしたいということで、1階が2階よりも広い下屋のある住宅となりました。
総二階のほうが施工も簡単で、壁と屋根が「取り合う箇所」である下屋が無いので、雨漏りのリスクも低くなるという形態の優位性があります。
私は総二階をおススメしますが、1階で生活が完結する、下屋のある住宅の間取りの使いやすさも理解していますので、施主の話をよく聞いて、間取りを決めています。
1階で完結する間取りとは?
1階で完結する間取りとは、2階建て以上の住まいで、文字通り、2階に上がらなくても1階だけで生活が出来る間取りのこと。
1階で完結する間取りとは、1階に、小さくてもLDK・各個室・水廻り(浴室・トイレ・洗面)・収納が確保された間取りで、2階はおまけ(プラスアルファ)の間取りのことです。
1階で完結する間取りは、高齢化して足腰が弱って2階に上がらなくても生活ができるように。と主に施主の要望から造られます。
防湿気密シートの先張りシートの種類
防湿気密層は、切れ目なく連続して施工する必要があります。Q1.0住宅小幡の家では、3か所の防湿気密シートの先張りシートがあります。
1.例えば外壁と直行する壁に筋違が入る場合は、筋違を設置する前に「筋違部分の先張りシート」を施工しないと、防湿気密層は連続しません。先張りシートをしないで、筋違を施工してから、その部分に防湿気密シートを施工すると、防湿気密層は連続しません。
2.勾配天井部と平らな天井部分の「取り合い」の先張りシートも忘れずに施工します。
3.平らな天井断熱部の先張りシート。平らな天井断熱部は、間柱を施工しないで、先張りシートを天井下地面で間柱で挟んで施工して、先張りシートを連続させます。
勾配天井のグラスウールブローイング断熱と壁断熱との取り合いの工夫
天井面は桁上断熱でない限り、ブローイング断熱としています。ブローイング断熱としている理由は、小さな隙間にも断熱材がキチンと充填されるからです。桁上断熱の場合は、平らな合板の上に断熱材が設置されるので、壁に使う充填断熱材を天井面に使っても隙間が生じにくいからです。
Q1.0住宅宇都宮小幡の家、見学会
現在、施工中のQ1.0住宅小幡の家も、上記した断熱気密の考え方により設計施工して、工事が進んでいます。
7/4(木)現在は、壁と天井の珪藻土下地パテ工事と外構工事を行っています。
日時を決めて完成見学会は行いませんが、見学希望の方は、6月末から9月初めまでの期間で、随時、建築中の現場の様子や完成時に見学して頂けます。
9月6日が引き渡し予定。
見学希望の方は、それまでに下記問い合わせから、ご予算と敷地の有り無しなどを書いて、ご連絡ください。
ご予算と価値観が違ってしまうと、お互いに時間の無駄になってしまうので、方向性の合う方に見学して頂きたいと思っております。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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