Q1.0住宅 宇都宮昭和の家の断熱と気密の施工写真
今日のブログは、Q1.0住宅 宇都宮昭和の家の、断熱気密施工について書きます。断熱と気密はセットとして考えて、設計及び施工を行っています。高断熱高気密住宅は、普通の住宅と同じ工程で造ると、気密性が確保できない場合もあるので、注意が必要です。
今回の現場では、大工が天井断熱部分の気密施工の工程と施工を間違えてしまいました。大工にとっては普通の住宅と同じに造ったつもりが、私の指示とは違っていたのです。気密性が確保しずらい部分を壊して造り替えました。
結果として、高断熱高気密住宅の通信簿の1つと言える、気密性能試験は、隙間相当面積C値が0.2でした。C値が小さいほど、気密性の高い住宅になります。家全体の総相当隙間面積である22cm²は、切手4枚分程度です。家全体で切手4枚の隙間ですから、かなり高気密な住宅と言えます。造り直して正解でした。
まずは最初に造り直した、2階の天井断熱部分の施工写真を見てみましょう。
目次
屋根断熱と天井断熱の施工写真
Q1.0住宅 宇都宮昭和の家の二階天井は、勾配天井と普通の平らな天井の2種類がある。
当然断熱方法は2種類になる。勾配天井部分の断熱方法は、「勾配天井下地による屋根断熱工法」で、普通の平らな天井部分は「天井断熱工法」。
屋根断熱と天井断熱の二種類の断熱工法の「取り合い」は、「界壁の付加断熱」となり、「屋根断熱部」と「天井断熱部」と「界壁の付加断熱」が、断熱・気密・防湿のラインになっている。
やり直すことで、気密性をより確保できたのが、「天井断熱部分」である。この「天井断熱部分」は普通の家と違う工程と施工法にすることで、気密性を高めている。
どこが違うのかと言うと、普通の家の天井断熱工法は、柱と間柱を設置してから野縁と言われている天井下地木材を組むが、そうすると間柱が邪魔になって「防湿気密シート」を上手く貼ることが出来ない。
そのため、Q1.0住宅 宇都宮昭和の家では、間仕切り部の「天井先張りシート」部分を造ってから、間柱を建てる前に、天井断熱部の野縁を全て先に組んでしまい、「天井の防湿気密シート」を貼って、最後に間柱を建てるという、普通の家とは全く違う工程で、天井断熱部の防湿気密シート施工を行った。
具体的な利点は何かというと、間柱より先に天井野縁を組むことで、天井の防湿気密シートを貼る時に、シートをカットするのは「柱と筋違いのみ」となり、数部屋分の天井気密シートをいっぺんに貼れるので、数多くの間柱部分で天井の防湿気密シートをカットする必要がないので、天井の気密性を確保しやすいのだ。
ただし、この施工法は電気配線も絡むので、慣れないと難しい。当社では初めて行ったが、次は今回よりは上手く行えるだろう。
大工には、普通の住宅の施工方法とは違うことを、事前によく説明したが、間違って普通の家と同じように、最初に間柱を全て建ててしまった。間柱を一部撤去して造り直し、天井防湿気密シートの施工を行った。
間柱より先に野縁を先行する天井断熱の気密シートの貼り方は、このユーチューブの2:16くらいから説明されている。とても参考になった。
勾配天井部分の断熱方法は、「勾配天井下地による屋根断熱工法」である。これは普通の住宅とあまり変わらない。
今回初めて、天井の防湿気密シートは、可変透湿・気密シートのタイベックVCLスマートを使った。 常時、気密を確保しつつ、冬は防湿シートと同等の防湿性を有し、夏は透湿防水シートのように透湿性を発揮することにより、天井断熱部結露を抑制することができるシートです。
基礎断熱施工写真
床下エアコンを行うので、基礎断熱を採用している。基礎断熱は基礎外周部の土台下に気密パッキンを入れるだけで気密性が確保できるので、床断熱に比べて、気密性能が確保しやすい。
当社の気密パッキンは、JOTOの「シロアリ返し付断熱気密パッキン」を採用して、竣工後10年以内のシロアリ被害に対し、保証が付くようにしている。
基礎断熱材を貼る前の基礎の造り方は、コンクリートの一体打ちとして、コンクリートの打ち継ぎを造らず、そこから白蟻が浸入しにくい基礎としている。
基礎断熱の場合、白蟻のエサとなる発泡断熱材が、白蟻の居る地面近くに設置されるので、床断熱よりも白蟻の被害を受けやすくなるからだ。
それが基礎の一体打ちを採用している理由である。
また、基礎を貫通する給排水管も土中配管すると、白蟻に入られやすいので、基礎の立ち上がり部で、露出配管としている。
基礎の断熱は、ベタ基礎スラブ上全面断熱+基礎外周部立上り内側断熱としている。スラブ上全面に断熱材を設置するが、建て方時に大引きは入れられない。基礎コンクリートがある程度乾いてからスラブ上断熱材を設置して、それから大引きを入れる。建て方後に大引きを入れられるように、大引きは金物で受けるようにしている。これも普通の木造住宅と工程と施工方法が違う点である。
断熱材は、スラブ上全面断熱がミラフォームDDSボード。片面アルミ箔が貼ってあるもので、アルミ面を上に設置、厚さ50mm。基礎外周部立ち上がりがミラフォームラムダ厚75mm。
基礎断熱材の選択理由は、床下エアコンを採用しているため、スラブ上全面に断熱材を敷いて、熱が逃げにくくしている。また、片面アルミ箔の断熱材をスラブ上全面に設置すると、床下に潜りこんでの床下掃除がとてもしやすいという利点もある。表面がツルツルなので、スラブ上で身体を滑らせやすいし、小さなゴミも掃除機で取りやすいからである。基礎外周部立ち上がりがミラフォームラムダ厚75mmは、これ以上厚くすると、オプション部材を付けないとシロアリ返しの効果が無くなるギリギリ寸法である。
外壁の断熱気密・防湿施工写真
1) ボード気密とは、外壁に耐力壁として施工する構造用面材(ボード)で気密を取ること
1.0住宅 宇都宮昭和の家の外壁の気密性は、ボード気密で取っている。
ボード気密は合板気密とも言われている。当社では、耐力面材モイスを打つ前に、日本住環境の気密パッキン、商品名はPEパッキン20と40を、柱・梁・開口部廻りの木材に取付て、モイスを釘打ちすることで、気密を取っている。
ただし、面材を施工する前に気密パッキンを全ての面材下に貼ることは、非常に手間が掛るので、次の現場からは、面材を貼ってから目地部に上から気密防水テープを貼るようにする予定。
2) 防湿気密シートの施工
充填断熱材の室内側は、幅1Mの防湿気密シートを縦貼りして、防湿層を造っている。かつそのシートは外側の面材の気密性を補強することにもなる。壁の防湿気密シートは、日本住環境のダンタイトか同等品を使用。厚さ0.2mmの低密度ポリエチレンでしっかりしているので、気密性の補強にもなる。
その上に「新住協の標準工法」でもある3mの石膏ボードを桁まで貼って、防湿気密シートを押さえる。火災保険料が、かなり安くなる「省令準耐火」工法の一部となるように施工するのが、当社の標準仕様である。
「新住協の標準工法」は、断熱材の入る「平ら天井部以外」は、外壁内側と間仕切り壁、全ての壁の石膏ボードを桁まで貼ることを、天井野縁組みよりも先行する。壁の石膏ボードが仕上がった上に天井下地木材の野縁を組む仕様である。石膏ボードで直接、防湿気密シートを押さえたほうが気密性の確保がより確実だし、桁まで石膏ボードを貼ってあるので、火災が起きた場合も、隣家や他の部屋に火が回りにくくなるのが良い。
壁の付加断熱施工写真
当社では外壁仕上げ材に、雨水に対する耐久性が高い「ガルバリウム鋼板」を採用することが多いので、「新住協の標準工法」である、火災に強い高性能グラスウールを充填断熱材105mm厚+付加断熱材105mm厚としている。
柱の外側に105×45断面の付加間柱を施工して、その間に付加断熱材を施工する。
外壁の外側には、雨樋・外付電動ブラインド・太陽光のパワーコンディショナーなど様々なモノが付くので、付加断熱材の上に下地を忘れずに入れることが重要である。普通の家なら柱が下地としてあるが、付加断熱の場合は、外壁下地は断熱材となっていて、太い下地木材が無いからである。これも普通の家との施工上の違いである。
高断熱高気密住宅の教科書
断熱気密の設計施工であやふやな箇所は、この2冊で確認しながら仕事を進めている。
それぞれ2冊持っており、大工にも1冊貸して読んでもらっている。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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