2024-01-04
Q1.0住宅 宇都宮小幡の家(宇都宮市)
リフォーム
高断熱・高気密住宅

下屋のある付加断熱住宅のメリット・デメリット

上棟時のQ1.0住宅 小幡の家

Q1.0住宅 小幡の家は、12月14日に上棟しました。

当社は付加断熱が標準仕様です。そして付加断熱の住宅は、コストや造りやすさなどから、総二階にすることが多いです。

私も出来れば、総二階の付加断熱住宅にしたいのですが、Q1.0住宅小幡の家は、総二階でなく下屋のある住宅となりました。

今日のブログは、下屋のある付加断熱と総2階の付加断熱との違い、下屋のある付加断熱と総2階の付加断熱とのメリットとデメリットなどについて解説します。

そもそも下屋(げや)って何なの?

下屋とは、2階建て以上の住宅の、最下階の屋根とその屋根下の部屋の総称です。二階建ての住宅の場合、総二階以外には、必ず下屋があります。最上階の屋根よりも下にある屋根なので、下屋と呼ぶようになったのだと思います。

総二階とは?

総二階とは、1階と2階の外壁面がそろっていて、1階と2階に、それぞれ飛び出した部屋が無い住宅のことです。

2階よりも1階が広くなる下屋のある住宅や、1階よりも2階が飛び出しているような住宅は、総二階ではありません。

総二階の付加断熱が良い6つの理由

Q1.0住宅小幡の家の外観パース。

Q1.0住宅小幡の家の外観パースです。付加断熱では珍しい下屋のある住宅になっています。

一般的に付加断熱の住宅は、矩形の総二階にすることが多いです。ただし付加断熱の住宅が、総二階になる割合は、一般的な木造住宅よりも多いと思います。その理由は6つ。以下の総二階のメリットは、一般的な木造住宅でも同じです。

※矩形(くけい)とは平面が四角形のことです。

1.総二階のほうが建築費用が安くなる

矩形の総二階の住宅は、下屋のある住宅と比べて、外皮面積を小さめにできます。外皮とは、屋根・壁・基礎などの建物のアウトラインのこと。総二階は、外皮面積を小さめにできるので、新築時の建築費用が安めになります。対して、外皮面積が大きめになる下屋のある住宅の場合は、木材、下地材、仕上げ材の使用量も多めになり、施工も複雑になることが多いので、総二階と比べるとコストが掛かります。

そもそも、付加断熱の住宅は壁下地等を2回造って、断熱材を入れる隙間を2倍確保した上で、分厚い大量の断熱材を充填するので、一般的な木造住宅より多くの材料費と手間賃が掛かります。そのため総二階にして、余分なコストを少なくしたい・造りやすくしたい・より室温を一定にしたい、というのは当然のことなのです。

総二階の付加断熱住宅よりも、下屋がある付加断熱住宅のほうが、より材料費と手間が掛かるので、建築コスト面からも、できれば総二階が良いのです。

2.総二階のほうが光熱費を安くできる

下屋のある住宅と比べて、総二階は外皮面積(屋根・壁・基礎の面積)を小さめにできるので、熱の出入りを少なく出来て、住んでからの光熱費を少なくできる事につながります。

3.総二階のほうがリフォーム費用を安くできる

下屋のある住宅と比べて、外皮面積を小さめにできるので、住んでからの外壁塗装や屋根塗装などのリフォーム費用・床下の防蟻リフォーム費用が抑えられます。下屋のある住宅と比べると、総二階の住宅は、「屋根・壁・基礎」などの面積を小さくできるので、完成後のリフォーム費用も安くなります。

4.総二階は雨漏り箇所が減らせる

下屋と外壁の取り合い部分は、総二階と比べると施工が複雑になるので、雨漏り箇所になる場合があります。総二階住宅は下屋が無いので、雨漏りの原因箇所が少なくなります。

5.総二階は気密が取りやすい

総二階住宅は、外皮に凹凸が少なくなるので、下屋のある住宅と比べると、気密も取りやすいです。

6.総二階のほうが室温を一定にしやすい

下屋のある住宅と比較すると、総二階住宅のほうが、暖気と冷気を移動させやすい室内形状となり、比較的室温を一定にしやすいです。矩形の総二階は、上手に吹き抜けを配置すると、家全体をワンルームに近づけやすく、暖気と冷気を移動させやすい。対して下屋部分には、暖気と冷気を移動させにくいのです。

下屋のある付加断熱住宅の造り方

下屋のある付加断熱住宅の場合、赤の付加断熱壁下地を完了させないと、青の下屋の屋根下地が造れない。

「下屋(げや)のある付加断熱住宅」は、「一般的な木造住宅」や「総二階の付加断熱住宅」とは造り方が違います。

矩形の総二階の施工上の利点は、1階の屋根である下屋が無いことで、屋根を上棟時に一度に架けられること。上棟時に屋根が架けられるのは、雨仕舞の良さに繋がります。

普通の木造住宅であれば、下屋のある住宅の場合でも、2階の屋根と下屋は上棟時に、野地合板上の防水シートまで一緒に造るのが当たり前です。

しかし下屋のある付加断熱の住宅で場合は、2階の屋根下地は上棟時に防水シートまで完了させられますが、下屋の屋根は上棟時には架けられず、大工が1人で工事する場合は、最短でも上棟後2週間程度後から、屋根下地を架けることになるので、雨仕舞が悪いのです。現在、既に慢性的な職人不足なので、複数の大工で工事するのは難しくなっています。

これが総二階の付加断熱と、下屋のある付加断熱住宅との、造り方の違いになります。

その理由は、下屋のある付加断熱住宅の場合は、赤で囲まれた下屋と繋がる付加断熱まで完了させないと、青色の下屋の屋根下地が造れないからです。

上棟後、下屋部分は、最低2週間程度は屋根下地まで造れないので、屋根の代わりに、雨が入らないように、勾配を付けてブルーシートを貼る程度しかできません。風を伴わない小雨程度ならブルーシートで室内側に雨が入らないようにできますが、ある程度の雨だと、室内側に雨水が入ってきます。

結果として、1階部分の木材や基礎は雨に濡れやすくなる欠点があるので、工程的には、下屋の屋根下地のルーフィングを貼り終わるまで、基礎の内側に断熱材を貼る作業と1階の床下地の厚板合板を貼ることもできません。

下屋のある付加断熱を建てる場合は、設計段階で、施工中の雨仕舞が悪いことなどetcを、施主へ事前説明しておくことが重要

下屋のある付加断熱住宅は、上記の理由から、総二階と比べると雨仕舞が悪く、工程と養生が増えて、かつ気密も取りにくくなるため、何より大工と現場監督が大変なのです。なおかつ1階の床下地合板も直ぐには貼れないので、1階は普通に歩けません。そうなると、施主を現場に招いての、コンセントと照明の位置確認なども「しずらく」なります。

かつ、基礎断熱の場合の防蟻仕様はホウ酸を使うことが多いと思いますが、ホウ酸は雨に濡れると流れてしまうので、下屋のある付加断熱住宅は、防蟻のホウ酸処理とも相性が悪いです。下屋の屋根下地を造る前に、防蟻のホウ酸処理を行うことになるので、強い雨が降ると、木材は雨に濡れてしまう可能性があります。というのも、モイスなどの外壁下地の体力面材は、雨仕舞の点からも直ぐに貼りたいのですが、耐力面材貼りの前に行う必要があるホウ酸処理は後回しにはできないからです。

また、施主は上棟後に木材や基礎が雨に濡れると心配になります。事前に施主に対して、「下屋のある付加断熱住宅は、下屋が直ぐには架けられないので、一定期間、1階の室内が雨に濡れやすくなり、かつ手間も掛かる」という事前説明をしておくことも重要になります。

そのような理由から、付加断熱の住宅は、一般的な木造住宅よりも矩形の総二階が多いのです。

Q1.0小幡の家は、下屋が2か所ある住宅なので、下屋と繋がる2か所の付加断熱壁の下地までを完了させないと、下屋の屋根下地が造れません。

ですから私も、できれば、総二階にしたいと考えています。

次は、Q1.0住宅 小幡の家が下屋のある付加断熱住宅になった理由を書きます。

Q1.0住宅 小幡の家が下屋のある付加断熱住宅になった理由

Q1.0住宅 小山の家も下屋のある付加断熱住宅でした。

下屋のある付加断熱住宅は、一昨年Q1.0住宅小山の家を造ったので、小幡の家で2度目です。

出来る限り総二階にしたいと考えていても、施主の要望と敷地形状や広さにより、総二階にならないこともあります。

今まで書いてきたように、下屋のある付加断熱住宅はデメリットもありますが、当社では下屋のある付加断熱住宅のメリットも理解しています。

下屋のある住宅は、1階部分が2階よりも広くなることで、小さな家でも、1階部分に寝室と水廻りを配置しやすくなります。いわゆる「1階で完結する間取り」に「しやすい」ので、老年期に足腰が悪くなった時には、下屋のある住宅のほうが、総二階よりも暮らしやすい間取りになる可能性があります。

造りやすさと性能面だけを重視して、無理に総二階にすると、用途のよくわからない2階ホールが出来たりして、家全体が大きめになるばかりか、住みにくい平面プランになる可能性もあります。

今回のような街中の狭小敷地の場合、1階に個室と水回りをすべて配置した、1階で完結した間取りにしたいという要望があると、総二階や平屋にできる可能性は低くなります。Q1.0住宅小幡の家は、要望と敷地形状により、下屋のある付加断熱住宅になりました。

施主の要望と敷地をよく理解した上で、下屋のある住宅が最適だと判断すれば、そうしています。

当社は「家を最小化して、かつ快適に広く使ってもらうこと」を大切にしているので、付加断熱住宅を標準仕様にしていますが、下屋のある住宅も選択肢の1つです。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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