マーベックス社の24時間全熱交換型換気システム「澄家」を採用して分かったメリットとデメリット。施工上の注意点もお知らせします。
Q1.0住宅 宇都宮昭和の家の24時間全熱交換型換気システムは、施主の強い要望でマーベックス社の「澄家」を採用しました。仕様は、熱交換率90%の「澄家VS90」です。24時間全熱交換型換気システムは「澄家」+暖房は2.2kwの小さな床下エアコンという組み合わせです。
今日のブログは、マーベックス社の24時間全熱交換型換気システム「澄家」を採用した経緯。「澄家」を採用して分かったメリットとデメリット。施工上の注意点は何なのか?を書きます。
施工完了時点での感想です。
目次
「澄家」を採用した経緯と採用前の感想
施主が「澄家」を採用したかった理由は、「メンテナンスのしやすさ」とのことでした。
私も採用前、「澄家」のメンテナンスのしやすさは、ザックリとは理解していました。排気口と本体が床面設置、給気フィルターも外部の基礎立ち上がりに設置されるので、全てのメンテナンスを脚立に乗らずに、下向きで出来ることです。
一般的な換気システムは給気が壁面、排気が天井だったりするので、脚立を使用することもあり、かつ上向きの姿勢になるので、特に高齢になるとメンテナンスは「しにくく」、脚立を使うと危険も伴う。
「澄家」の場合、排気口は、1.2階の床面設置なので、埃、花粉、ダニの死骸、カビなどを、埃を巻き上げずに排出しやすい利点もあります。一般的な換気システムの場合、壁面や天井面に排気口があるため、部屋の上方で排気するので、埃を巻き上げて排気することになります。
しかし、メリットがあれば、デメリットもあるのが普通です。
「澄家」を採用したくなかった理由が1つありました。「澄家」の排気口は、1.2階の床面となり、床下配管となります。2階床下には人が入ることはありませんが、1階床下は、完成後も人が入ってメンテナンスをすることがあります。1階床下は給排水配管と換気配管で配管だらけになってしまい、引き渡し前の、掃除さえも出来なくなるだろうと感じていたからです。
1階の床下は、水漏れ・配管が詰まった場合や白蟻が発生した場合も、人が入ることがあります。1階床下には、給排水配管と換気配管が数多く通ることで、「緊急時のメンテナンスがしずらいことは、避けられない」ことが施工前に考えていたデメリットでした。
24時間全熱交換型換気システム「澄家」を採用して分かったメリットとデメリット
1) 「澄家」を採用して分かったメリット
1. 床面排気なので複数ある排気口を掃除しやすい→施工して、やはり床面排気は良いと思いました。引渡し説明の時に、床の排気口を空けて説明したのですが、下向きなのでフィルターを取出しやすく、説明もしやすかったです。取出しやすい、ということは掃除しやすいということ。このお宅の場合、1.2階で排気口が合計7か所もあります。全ての箇所を、脚立なしの下向き姿勢で掃除出来るのは、やはり施主にとってメリットが大きいと思いました。
2. 2階の天井裏に配管が来ないので、断熱・防湿・気密のラインに穴が開かないのが良い→2階の天井裏は、普通は断熱材が設置され、防湿と気密のラインになることが多いです。そこに配管が来ないのは、断熱・防湿・気密のラインに穴が開くことが無いということ。それが良いです。天井配管して、防湿と気密のラインに穴が開かないようにするのは、桁上断熱材の合板下に、配管・配線スペースが出来る桁上断熱にする必要があります。
3. 給気フィルターと換気本体が掃除しやすいのが良い→外部にある給気フィルターの清掃が1~3ヵ月に1度、本体の熱交換素子の掃除が1年に1度程度です。どちらも下向きで掃除できるので、排気口の清掃同様、かなり掃除のハードルが下がると思いました。
掃除のしやすさは、とてもよく考えられており、どちらもマグネットでカバーが外せます。取外しが簡単。
4. 換気本体上の床点検口もキチンと、専用の大きなものが用意されているのが良い→換気本体が大きいということもありますが、専用点検口が設けられているのは珍しいと思いました。普通は造り手側が点検口を探して設置するので、初めて使う換気システムの場合、良い点検口を探すのが難しいです。そうなると本体の蓋が開かない事態になるかもしれませんから。
無垢フローリング厚さ15mmまでならフローリングを加工しないでも点検口に設置できます。当社は、20mmか30mmのフローリングを使うので、加工する必要がありますが、専用の床点検口が用意されているのは、とても安心できます。
今まで、第一種、第三種を含めて、様々な24時間換気システムを使ってきましたが、全てのメンテナンス箇所を下向きで掃除が出来て、清掃工程が良く考えられており簡単。一番施主がメンテしやすい換気システムは「澄家」だと思いました。
ちなみに今まで採用した24時間換気システムは、ガデリウス3種・ナショナル(パナソニック)3種・日本住環境3種・パナソニック全熱交換型1種・ローヤル電機全熱交換型1種・マーベックス全熱交換型1種の6種類です。
5. 操作バネルに外気温と室温の表示が出るのが良い→壁付の操作パネルに外気温と室温(各床排気口の平均温度)がでるようになっています。
6. マーベックスの担当者の対応が迅速→施工説明書や取扱説明書を読んでも、分からない点や疑問点はあるものです。マーベックスの場合、そのような時は、地域の担当者とやりとりします。その対応が迅速かつ的確で助かりました。携帯に電話しても直ぐ出てくれますし、メールも返答が早いです。
換気システムに限らず、建材メーカーの担当者の応対が悪いと、設計と施工が上手く進まないので、その商品は二度と使いたくなくなりますが、対応が良いので、また使いたくなりました。
カタログに載ってないアドバイスも、施主が楽になるものでした。小さな子供が居る家庭は、床のフィルターカバーは、取り扱い説明書どおり、キッチリと廻して外れないようにして、大人だけの家族の場合は、メンテナンスしやすいように置くだけで良いのではないか。など言われてみればそうだなということは、施主に伝えました。
オプション部材も用意されていたので、それも使った方が良いのか?一応確認したところ、「この現場の場合は必要無いと思う」と、噂のビックモーターとは逆の、相手の立場に立った対応で、信頼できそうだなと感じました。
引渡し時の施主へのレクチャーのやり方も、緊急オファーしたにも関わらず、引き渡し前日に現場に来てくれて、丁寧に教えてくれました。
住宅用全熱交換型換気システムの専門メーカーなので、特化しており商品数が極端に少なく、各商品の設計施工事例を深く知っていることが、造り手側への的確なアドバイスに繋がっているのかもしれません。現在の栃木県の担当者が、たまたまフィーリングが合う人なのかもしれませんが。
2)「澄家」を採用して分かったデメリット
採用前からデメリットになりそうだと感じていた、1階床下に換気配管が集中して、かつと給排水給湯配管も設置されるので、床下で人が作業しにくくなる、移動しずらくなる、と感じていた問題は、その通りでした。
私の場合は身体が大きいこともあり、配管が集中する所は、その配管を超えて向こう側に行けないので、1階床面の点検口を1つ増やして対応しました。今回は床下に入れる点検口450×600を脱衣室に設置。さらに現場の配管の様子を見て、冷蔵庫下に1つ追加することで、床下のメンテをできるようにしました。
「澄家」の設計施工上の注意点
私が感じた「澄家」の設計施工上の注意点を書きます。
設計上の注意点は、当社が建てているような小さな家の場合は、上手く配置できない場合も多いと思いますが、本体を基礎立ち上がりの近くには設置しないほうが良いということ。本体をメンテナンスする場合、直上の点検口を開けて本体を少し動かして行いますが、基礎立ち上がりが近いと、本体が基礎に当たってしまい、本体を動かしにくく、点検口から熱交換素子を取り出しにくくなるかもしれませんので、注意が必要だと感じました。
施工上の注意点は、2階の床下配管は、梁からバンドで吊るしますが、配管が床面近くにくるので、長いフロア釘で打つと、配管に穴が開きそうなので釘は貫通しない長さとしました。
24時間全熱交換換気システムはマーベックスの「澄家」を標準仕様と致します。
一度使ってみて、上記したように施主が高齢になっても、脚立に載って掃除する必要がなく安全で、かつ掃除しやすいメリットが大きいと感じたので、当社の換気システムの標準仕様はマーベックスの「澄家VS90」と致します。
当社の施主の中にも、換気システムの掃除が出来ていない方がいらっしゃるので、「掃除のしやすさ」は最大の利点です。この換気システムが掃除出来ないのであれば、他の換気システムも掃除出来ないと思います。次の現場も施主の強い希望で、換気システムは「澄家」になります。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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