2021-01-22
リフォーム
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リフォーム工事で瓦を割ってしまったことから、長く使える屋根材を考えてみた

割れた瓦

外壁塗装リフォームの足場解体工事の途中、足場業者から電話があり、下屋(げや)に建っていた足場の下で、瓦が数枚割れていたと報告が入りました。

割れた瓦が「和瓦(J形瓦)」という、JIS(日本工業規格)で大きさと形状が規定された瓦で、古い瓦でも新しい瓦と交換が可能だったので助かりました。廃盤になっている瓦の場合は、違う大きさで形も違うモノを無理に取り付けるので、見た目も違和感がある上に、そこが雨漏り等の欠点になることもあり得ます。

今日のブログは、屋根瓦を割ってしまったことから、長く使える屋根材を考えました。また、屋根瓦の上を歩く時の注意点を書きます。屋根は勾配が付いており、瓦屋根の場合は特に凹凸があるので、プロでも歩きにくい屋根材です。

ちなみに金属屋根を含めた屋根材の中で、一番メンテナンスコストが掛かりにくいのは、屋根塗装の必要ない、和瓦(J形瓦)だと思います。

下屋(げや)の屋根に建てた足場下で和瓦が割れた状況

下屋(げや)とは、2階建ての屋根のうちの1階部分の屋根のことを言います。2階建ての場合、総2階でなければ、2階部分よりも1階部分のほうが広いので、必ず下屋が出来ます。外壁塗装する場合は、下屋と繋がる2階の壁・軒天井・雨樋等を塗装するために、必ず下屋の屋根の上に足場を建てます。

割れた瓦の写真をスマホに送ってもらったところ、そのうちの1枚は明らかに足場材の下で割れたものでなく、職人が歩いて割ってしまった可能性が高いことが分かりました。足場の建っていた部分ではなかったからです。

足場業者と電話で話してそれを理解してもらい、更に注意して作業するように伝えました。故意に瓦を割る人間は居ないので、割れた部分をシーリングで防水してもらい、お客さんに瓦が割れてしまったことを報告した後で、工事保険が使えれば、保険を使って割れた瓦を交換するということで、現場を進めました。

足場材の下には屋根材との間にプラスチックの緩衝材を入れるので、足場材と足場に載って作業する職人の荷重が掛っても、通常なら屋根材が破損する可能性は少ないのですが、これは分かりません。

瓦業者に聞いたところ、足場架けと解体の時に瓦が割れることも多いとのこと。具体的には、重い足場材を持ちながら勾配のある屋根に足場を架ける職人は、態勢を崩して、瓦の踏む場所を間違えると、瓦動いて割れてしまう可能性もある。

私も施工チェック等で瓦屋根に登ることがありますが、屋根には勾配が付いている上に、瓦は凹凸があるので、両手が空いていても態勢は不安定で慎重に瓦を割らないように、両手を広げてバランスをとりながら、ひやひやしながら歩きます。

新築時に廃盤になりやすい屋根材は使わないことが重要

今回の瓦は、和瓦(J形瓦)という瓦で、メーカーと年代が違っても、形状と大きさが統一されており、造り続けられている瓦だったので、違和感なく交換することが出来ました。

新築時に、廃盤になってしまうような瓦を使ってしまうと、同じモノは無くなってしまいますから、廃盤になりやすい瓦は使わないことが大切なのです。

廃盤になる可能性の高い瓦としては、セメント系基材に塗装をしたセメント瓦と言われているモノが代表例。このセメント瓦、軽さはメリットですが、10年程度に1度必ず繰り返し塗装工事が発生します。塗装の時期を逃すと、基材までダメになってしまいます。廃盤になると部分交換がしにくくなりますから、屋根材全てを交換するということにもなりかねません。このようにメンテナンスコストが掛かるので、廃盤になる建材は採用しないほうが良いと思います。

具体的には、大手ハウスメーカーで採用することが多い、新建材の屋根材は廃盤になりやすい代表選手なので避けたほうが良いでしょう。

和瓦はJIS(日本工業規格)で大きさと形状が規定されているので交換が効く

粘土瓦の和瓦(J形瓦)は大きさがJIS規格で明確に定められているので、今回のように瓦を割ってしまった場合でも1枚ずつ交換が出来ます。

JIS規格の和瓦(J形瓦)には様々なサイズがあります。瓦業者に聞いたところによると、粘土瓦でも和瓦(J形瓦)以外のS形とF形の瓦は、メーカーによって微妙に形状が違い、比較的早く廃盤になったりもするので、和瓦が無難だとのことです。

JIS瓦の仕様出典 瓦の形状と大きさが規定されているのが分かる

廃盤になっている瓦を割ってしまった場合はどうするのか?

瓦業者に「廃盤になってしまった瓦を割ってしまった場合はどうするのか?」聞いたところ、

形の近い瓦と交換して、隙間を板金等で塞ぐことがあるとのことです。だから交換のできる和瓦にしておくのが良いと思います。

和瓦屋根の歩き方と注意点

和瓦(J形瓦)の上を歩く場合は、低い部分に載って歩くのが基本だとのことです。踵(かかと)から載るのではなく、爪先から慎重に載ると態勢が安定しやすいです。瓦の高い部分(重なっている部分)に載ると、瓦が動きやすく割れやすくなります。

割れやすい瓦の部位としては、谷部分などの、どうしても切らざるをえない瓦。切断した瓦は強度が弱くなるので登らないほうが良いとのことです。

和瓦屋根でも、この部分の瓦は割らないように気を付ける

棟瓦から2枚目以内くらいの瓦を割ってしまうと、棟瓦が載っているので棟を解体しないと交換できません。その場合は、棟瓦を解体してから割れた瓦を差し替えて、棟瓦を積み直す必要があるので、余計に費用が掛かります。

トップライト廻り・ケラバ瓦廻り・軒先も、割れると割れた瓦のみの交換とはならず、他の瓦も外すことになるので、注意が必要です。

屋根のケラバ部分とは、切妻屋根や片流れ屋根において、屋根の斜めになっている妻側の端部のこと。 軒先とは、地面に対して平行になる屋根の端部のことです。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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