2009-01-09
建材・住宅設備・便利グッズ

私の現在を樹脂サッシ不正認定に絡めて話します。

A-houseの施主Aさんよりメールがあり。
朝からドッキリするようなニュースが飛び込んできた。
大臣認定を受けた防火設備となる樹脂サッシで不正受験があったようです。
国土交通省の発表文書
防火設備が必要なのは、建築基準法では、耐火建築物・準耐火建築物や、防火地域・準防火地域にある建築物の外壁で、延焼のおそれのある部分の開口部については防火設備(防火戸)の使用を義務付けている。マンションの多くは開口部に防火設備が必要となるので、そこに使用する樹脂サッシは国土交通大臣の認定を取得しなくてはならない。
防火設備は、マンションや、防火地域等に該当する街中の一戸建てでの使用をしなければならないものです。その地域以外の戸建住宅は該当しないので防火設備をつける必要はありません。
うちは三協立山の樹脂サッシを使っています。
防火設備となる樹脂サッシは使ったことがないので、一安心。
今までに引渡した家や施工中の現場にこのサッシが入っていたら、大変でした。
昨日のブログでも書きましたが、役所関係の申請、保険申請等の仕事が増えたことに加えて、もともとうちは、手づくり系の職人が多く関わる家を造っています。
打ち合わせも図面も詳細に行うので、もともと仕事量が多い。
木造戸建住宅でも職種は15~20業種になります。1業種について営業担当まで含めて平均4人とすると、4人×20業種=80人。最低80人が1軒の家づくりに関わることになります。
職人が多くかかわるということは、間違いも多くなるわけで、現場管理にも神経をすり減らす毎日を送っています。
そうでなければ自分の考える良い家はできないのです。
しかし、神経すり減らしてやっても、間違いは起こる。
住宅建築は人類が誕生した時から無くてはならないものですから、当たり前に考えられていますが、とても特殊、かつ難しい仕事です。
全ての住宅は違う土地に建つので、全ての住宅は違う間取りをしています。
世の中の全ての家は、違う家で、違う環境に建つということです。
それを現場で手づくりしている。
ものづくりの精度が上がっていくのは、同じものを造り続けた時だと思います。
しかし、同じ家は1つとない。
私が材料と仕様、納まりの統一をしたいのも出来る限り精度を上げたいからです。
建物の一部でも同じ材料と仕様にして、経験値を上げたい。そういう理由です。
要望も施主によって全く違い、ニーズの多様化でますます細かくなっています。
施主のニーズにとことん合わせた家が良い家だとは思いません。
話を聴いて取捨選択して、バランスを取ってまとめていくことが仕事だと思っています。
世間に出回っている住宅以外の物(商品)は、殆どが工場での大量生産品または、それに近いものです。
住宅建築のように特殊で難しい製造業は無いんです。
工場で造られた大量生産品は多くの人に出回り、悪いところが直されているというメリットがあります。
大量生産品に慣れた殆どの住まい手は、うちのような一品生産の部材を使った住まいに、大量生産品の完成度を求めます。そこが難しいところです。施主に一生に一度の家造りだからと言われても、これ以上は出来ないと、言わなければならないことも多くあります。
住宅建築現場で組み立てられる部材の数は何万点になるのでしょうか?
現場組立ですよ。しかも業種の異なる80人以上の人間が造る。
しかもこの世に1軒も同じ家はありません。
住む人も異なる。
難しいに決まっています。
しかし、やりがいも大きい。
施主と話し合いをしながらまとめた住まいを通して、自分の考え方、思いの一部を世間に発表することが出来る。
自分で設計施工した家が、街角に建つというのは、そういうことだと思います。
その難しさに気が付いている同業者は少ないと思いますね。
うちのような手づくり系の工務店は既成の部材を使わずオリジナル部材を製造するので難しさもアップします。
そんな難しさとやりがいを、日々感じている時に、このニュースです。
工場で造られるものに不正商品が入っていたなんて、気が遠くなってしまいます。
でもこれは建築業界だけではないんですよね。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

この記事をシェアする
コメント
ヨシダクラフト

年末の松本建工の民事再生よりドッキリニュースでした。 世の中が大きく動いているのを感じます。

2009年01月09日
紅春1970【3】

全くその通りですね “まちかどに建つ”という表現にしびれました! 今回blog早速ウチのお客様へメール配信させて いただきます(事後承諾)

2009年01月10日
ヨシダクラフト

紅春1970【3】さん >全くその通りですね >“まちかどに建つ”という表現にしびれました! >今回blog早速ウチのお客様へメール配信させて >いただきます(事後承諾)

2009年01月10日
蓮家1971

以前の親睦会でご一緒させていただきました 工藤です。お邪魔させていただきますm(__)m 私も「まちかど~」しびれました(^^) 大変な仕事でもやりがいを感じる理由の1つだと 思います。 そして、やるなら手作りがいいです。 多くのつくり手の気持ちが一つになっての 良い家ですもんね。

2009年01月10日
ヨシダクラフト

蓮家1971さん >以前の親睦会でご一緒させていただきました >工藤です。お邪魔させていただきますm(__)m > >私も「まちかど~」しびれました(^^) >大変な仕事でもやりがいを感じる理由の1つだと >思います。 >そして、やるなら手作りがいいです。 >多くのつくり手の気持ちが一つになっての >良い家ですもんね。

2009年01月10日
ヨシダクラフト

樹脂サッシは省エネに無くてはならない価値の高いもので、コストバリューも高いと思っていたので残念です。

2009年01月10日
大工の荒井

吉田さんからメールを頂き訪問させていただきました。 千葉県野田市で大工をやってる荒井と申します。 “まちかどに建つ”・・・良い表現ですね? リフォームなどで屋根裏を覗くと棟梁○○なんて書いてあることも・・・ 本来、家は住み手&作り手の財産ですよね。 そして作り手を表現できる、姿の違うもう一人の自分なのかも・・・ また訪問させていただきます。

2009年01月10日
ヨシダクラフト

大工の荒井さん >吉田さんからメールを頂き訪問させていただきました。 >千葉県野田市で大工をやってる荒井と申します。 > >“まちかどに建つ”・・・良い表現ですね? >リフォームなどで屋根裏を覗くと棟梁○○なんて書いてあることも・・・ > >本来、家は住み手&作り手の財産ですよね。 >そして作り手を表現できる、姿の違うもう一人の自分なのかも・・・ > >また訪問させていただきます。

2009年01月12日
カントリーライフ@Oregon

アメリカは手作りで修理してすんでいたり、素人が自作の家を建てたり、一階に寝ていて天上を眺めて差し込む光をみると二階が見えていたり、また二階から下が見えたりと何でもありに見えます。 個人的な感想は 一度、アメリカの家々を見に来てほしいな!~ それでどう思われるか、意見を聞きてみたい!です。

2009年01月31日
ヨシダクラフト

カントリーライフ@oregonさん >アメリカは手作りで修理してすんでいたり、素人が自作の家を建てたり、一階に寝ていて天上を眺めて差し込む光をみると二階が見えていたり、また二階から下が見えたりと何でもありに見えます。 > >個人的な感想は >一度、アメリカの家々を見に来てほしいな!~ >それでどう思われるか、意見を聞きてみたい!です。

2009年02月02日