2018-12-03
リフォーム
高断熱・高気密住宅

木製内窓「高断熱木製引き違いサッシW」を、樹脂内窓とウッドワンの木製内窓と比較してみた

木製内窓「高断熱木製引き違いサッシW」の見本

 

先週、オストコーポレーション北関東の吉田さんが、「苦節10年をかけて、リフォーム用の木製内窓が出来た!」と言って、小さな木製内窓のサンプルを持って事務所にやってきました。

 

それがこちらです。木製内窓「高断熱木製引き違いサッシW」

 

ザックリこの木製内窓を樹脂内窓と比較をすると

 

  1. リフォーム用の後付け樹脂内窓が樹脂製の窓なのに対して、無垢の木の窓なので、木質感のあるインテリアになり、部屋の雰囲気が変わる。
  2. 断熱性能は、ペアガラスサッシの樹脂内窓と比べてもかなり高い。
  3. ただし値段も高い。
  4. 見付け寸法(サッシの厚さ)は樹脂内窓が7㎝程度なのに対して、この木製内窓は10.5㎝と分厚くゴツイので、取り付ける場合は窓の印象だけ強くならないように注意が必要

 

実は私9年前に、このオリジナルの木製内窓を作るプロジェクトをお手伝いしており、その様子をブログに書いておりました。

 

9年前のブログを引っ張り出して、私がお手伝いしていた様子と、樹脂内窓と木製内窓の比較を書きたいと思います。

 

今から9年前、2009年にこの木製内窓作成プロジェクトを3日間程お手伝いしました

2009年の秋にオストコーポレーションの吉田さんが、「自社オリジナル建材として、木製内窓を造りたいので、一緒に鹿沼市の木工所に行ってくれないか?」というので、私は何をするのかも分からずに同行しました。

 

私が指名された理由は、その当時でも樹脂内窓を取り付ける断熱リフォームをかなりの軒数しており樹脂内窓の良さを知っていること、またサッシの納まり図が描けることだったと思います。

 

栃木県鹿沼市は、園芸で使う鹿沼土で有名ですが、鹿沼木工団地を中心とした木工と家具の町としても有名です。鹿沼木工団地周辺には、多数の材木屋・家具屋・建具屋・仏壇屋等の木工関連業者が集まっています。

 

その中の1つに、主に大手ハウスメーカーの窓枠や建具枠を作成している木工所があり、最初はその会社に木製内窓を造ってもらう予定で、工場見学と打合せに行きました。

 

その様子をブログに書いていました。その時のブログには、木製内窓のことはあえて書いていません。ハウスメーカーで使う新建材の枠材の特徴と制作過程のことが書いてあります。2009年11月2日のブログ

 

ハウスメーカーの新建材工場を見学しました。

 

ブログに書いてある通り、最初、木製内窓の材料は現在の杉でなく、サワグルミ(国産ウォルナット)で考えていました。しかしサンプルを作り何年か実際のお宅で使ってみて、反りやすい(変形しやすい)とのことで、最終的には杉になったとのことです。

 

このブログで訪問した後に、私が木製内窓の図面を描いて(1日作業)、サワグルミで造ったサンプルが出来たので見に行った(半日作業)の合計約3日お手伝いしました。

 

その後、吉田さんから木製内窓の完成が報告されることはなく、かつ私もまた無償作業するのは嫌なので、この件について尋ねることもなく約10年の月日が去り、やっと完成したわけです。

 

結局、その鹿沼市の木工所で木製内窓は造られることはなく福島県の木工所で造られることになり、材料もサワグルミから杉になったようです。私も杉のほうが安価で普遍性があり良いと思いました。

 

約10年前になりますが、約3日間も無償でお手伝いしたので、何らかの便益を期待しております、吉田さんw。

 

次に樹脂内窓と木製内窓の違いをザックリ比較します。

 

樹脂内窓と木製内窓の一番の違いは室内の雰囲気

リフォーム工事で樹脂内窓を取り付けたところ。色は数種類あります。

 

内窓とは、既存窓の内側に後付けするリフォーム用の窓のことです。一般的に内窓と言ったら樹脂内窓を指します。

 

既存窓がアルミサッシの場合、ペアガラスが入っていても冬は室内が寒く、窓廻りが結露するので、樹脂内窓を後付けするのが一番効果的で安価な断熱リフォームです。

 

また、内窓を付けると外部の音が室内に入りにくくなるので、騒音対策で内窓を付ける場合もあります。

 

内窓を取り付けるのは、既存窓の窓枠です。内窓は、どこも壊さずに断熱性が高められるので一番コスパの高い断熱リフォームです。

 

樹脂内窓については、多数ブログを書いています。こちらをご覧ください。

 

結露防止のために和室の障子部分に断熱内窓を付けた施工例、連続写真でご覧あれ

 

断熱内窓が付かない窓の寒さ対策リフォーム

 

樹脂内窓と木製内窓の一番の違いは室内の雰囲気になります。樹脂内窓の見た目は、普通のアルミサッシと一緒なのですが、木製内窓は文字通り木の窓なので、設置すると室内は木質感が溢れて全く違う雰囲気になります。

 

違う雰囲気になる理由は、室内に占める窓の面積は大きいからです。

 

木製内窓は樹脂内窓と比べて、断熱性能と値段が高い

この木製内窓の断熱性能は飛びぬけて高い。

 

空気層16mmのアルゴンガス入り複層ガラスはガラスが厚い。ガラスは樹脂スペーサーにして性能を上げることも可能。

窓の断熱性能を示す熱貫流率は「既存単板ガラスサッシ+樹脂内窓ペアガラス」の場合で2.33w/㎡・K程度。それに対して、この高断熱木製引き違いサッシWは、1.31 w/㎡・Kですから、飛びぬけて断熱性能が高いです。熱貫流率は、数値が小さいほど、断熱性能が高いということ。

 

この木製内窓の断熱性が高い一番の理由が、空気層16mmのアルゴンガス入り複層ガラスを使っていること。樹脂内窓のガラスの空気層は通常12mmです。

 

また、気密性を高めるように、戸当たりや召し合わせの木材を丁寧に加工しているのも性能が高い理由。

 

値段も樹脂内窓の2倍以上の値段になるようです。興味ある方は見積致します。

 

木製内窓の中でも、「高断熱木製引き違いサッシW」の性能は高い

木製内窓は、ウッドワンの木製内窓がありますが、ウッドワンの木製内窓がH-5等級であり 樹脂サッシ並みの2.33w/㎡・K程度なのに対して、この高断熱木製引き違いサッシWは、1.31 w/㎡・Kです。ウッドワンの内窓はガラスの性能が樹脂サッシと同等で断熱性能もほぼ同じです。

 

木製内窓の敷居レールの「アルミ角棒」が良い

木製内窓の敷居レール

 

この「高断熱木製引き違いサッシW」は、ガラスが高性能ため、サッシ自体が重くなっています。重いサッシを木のレールで受けると、木が削れてしまいます。

 

そのため、敷居レールに削れにくい「アルミ角棒」が入っており、なめらかな動きと清音と耐久性を実現しています。これは良いと思いました。

 

樹脂内窓を付けるのはサッシ職人、木製内窓を付けるのは大工さんか建具屋さん

リフォームで樹脂内窓を付けるのは、サッシ職人です。木製内窓を取付けるのは、大工もしくは建具職人になります。それぞれの内窓を付ける職人が違います。

 

その理由は、木製内窓を取り付ける時は、現状に合わせて、内窓の枠を削ったりという作業が出てくるので、普段、木を削っている大工や建具職人が適しているからです。

 

「高断熱木製引き違いサッシW」の厚さは10.5mm、分厚くゴツイ

見付け寸法(サッシの厚さ)は樹脂内窓が7㎝程度なのに対して、木製内窓の枠寸法は10.5㎝と分厚くゴツイです。

 

木製内窓が厚い理由は、性能の良い空気層16mmのアルゴンガス入り複層ガラスを使っていること。だからゴツイです。特に腰窓は、インテリアを考えずにつけると窓だけ室内側に飛び出してくるので、室内で浮いてしまうかもしれません。

 

「高断熱木製引き違いサッシW」の窓種類は引違い窓しかない

 

木製内窓を付けるなら既存履き出し窓の内側、その他の腰窓は樹脂内窓というのが、室内のインテリアのバランス的にも、コスト的にも良いと思いました。

 

というのも「高断熱木製引き違いサッシW」の窓の種類は、文字通り「引違窓」しかないからです。

 

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吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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