2015-07-06
IS-houseリフォーム(宇都宮市 東浦町)
メディア掲載実績

「リフォームをする時に人はどう行動しているのか?」を住宅雑誌に載った施主インタビューから考える

新建ハウジングプラスワン 2015年7月号

リフォームをする時に人はどう行動しているのか?

地域工務店の業界誌である、新建ハウジングプラスワン7月号(vol.694)に、当社の施主ISさんのインタビューが掲載されました。6月号のSSさんインタビューに続いて、2号連続で当社の施工例を掲載して頂きました。題して、「中古を買って大規模リフォームをした30代の家」。前号と同じ「住まい手に聞くリフォームの本音」のページです。   リフォームを考え始めた経緯、リフォーム前の暮らしぶり、依頼先選定をするためにどのような行動したのか?、リフォーム工事中のこと、リフォーム後の住み心地等が詳細にレポートされています。

 

編集者 大菅力さんによる3時間近いロングインタビュー及び執筆で構成され、私も知らなかった施主の考え方が聞けてとても勉強になりました。特に、ISさんの土地の選び方が大変興味深い。土地を選ぶ時の地域事情の調査方法は、これから中古住宅を買ったり、新築をするために土地選びをする方に参考になると思われますので、文言を書き出し、コメントします。新建ハウジングプラスワン2015.7取材掲載JPG

中古住宅を購入して、大規模リフォームを行った事例

今回は中古住宅を購入して、大規模リフォームを行った事例である。リフォームを手掛けたのは栃木県宇都宮市のヨシダクラフトである。街の見定めから依頼先の選定まで、施主独特のアプローチが印象に残る取材となった。

 

転勤が多い仕事に就いており、これまで、栃木県内を移り住んできた。「公団住宅から地縁・血縁が色濃い田舎までいろいろなところで暮らした」とAさんは振り返る。2013年に仕事場が宇都宮市に移って仕事が落ち着いてきたときに、「家について考えるいいタイミング」と考え、持ち家を取得しようと動き始めた。

 

中古住宅のメリットは、利便性である

Aさんは田舎で暮らしていたときに、古い家やリフォーム事例を見ていて、「工夫次第でどんな家でも暮らせる。新築である必要はない」と感じていた。土地をもたない一次取得者層が新築住宅にこだわると、大規模な分譲地が対象になる。こうした街に暮らすのは若い世代がほとんどなので、30年経つと老人ばかりの閑散とした街になりがちだ。また、大型の分譲地は駅から離れたエリアが多く、電車で東京にアクセスしやすい場所を求めていたAさんにはそれもネックになった。

 

分譲地は、30~40年がライフサイクルである、30歳で新築した家族は、30年後の60歳前後で、住まいに関して、何らかの決断をすることになる。30年後は、定年になる年であり、住まいも劣化してくるので、住み続けるなら、大規模に手を入れる必要が出てくるからである。現在は、実家と勤務地が離れていることが多く。また、親と嫁との関係を配慮することから、子供が実家を継承して、親世帯と実家に住み続けるという例は、相対的に少なくなっていると思われる。

 

それらを勘案すると、高齢者と若い人が混在する街のほうが、長い目で見ると暮らしやすそうだとAさんは判断した。「地域全体で子供を見守るような街がよかった」とAさん。そうした古い街のほうが、駅から近いところが多いのもAさんに向いていた。そうした街に更地の物件は少なく、多くは古家付き物件になる。そうしたこともあって、Aさんは状態のよい古家付き物件を購入してリフォームしたほうが、新築よりも費用対効果も高いのではないかと考えるようになった。

 

中古住宅のメリットは、利便性である。なぜなら、人は基本的に便利な地域から住み始めるので、古い地域のほうが利便性は高いのだ。ごくあたり前のことであるが、ほとんどの人は意識していない。工事が始まる前に施主のISさんご夫妻と近隣挨拶をしたが、若いご夫婦が、地域に積極的に溶け込もうという意志を近隣の方たちは見逃さないようであった。高齢者が多く住む町に若いご夫婦が住み始めるということで、近隣の方も良い印象であったと思う。

 

土地の周辺調査は、ゴミ捨て場のチェックも効果的

Aさんは2013年の春ごろより、物件探しを始める。まずは不動産情報を雑誌やインターネットで収集し、不動産屋に足を運んだ。物件を見学した際には、周辺の地域事情も調査。「ゴミ捨て場などをチェックした。ネットがきちんと掛かってきれいになっていることで、当番制や自治会が機能していることなどが汲み取れる」とAさんは分析する。

 

ISさんのお住まいの地域の、ゴミ捨て場の「管理の行き届き方」は素晴らしかった。ゴミはカラス等に荒らされないに、大き目の木箱の中に入れるようになっており、トングと、ほうきとチリトリまで装備。ゴミ管理方法の看板も貼ってあった気がします。そのゴミ箱は、新しいものでなく、古いがしっかり地域の方に管理されている雰囲気が出ていた。ISさんは、ここに目を付けていたのだ。これは初めて知りました。私は、綺麗に管理されているゴミ置き場だなというくらいの印象でした。よく考えたら、ゴミ置き場は、地域の方の生活習慣を映す鏡のような場所である。ゴミ置き場が整理されていれば、規則正しい方が多く暮らしていることが推測され、比較的安全な地域だといえる。しかし、整頓されたゴミ置き場を見て、自分も自治会に参加しなくてはならないと、尻込みする家族もいるかもしれない。

 

ブログで人間性を確認する

入口はインターネットだ。「中古住宅、ブログ、宇都宮」というキーワードを中心に検索を繰り返した。「吉田さんはブログを長年綴っていて、そこには悩みや本音がにじみ出ていた。お会いする前から人間性がよく見えた」とAさん。昨今は視野が広く、道理の分かったスマートな施主が急激に増えてきているが、そうした施主にアピールするメディアとして、ブログの有用性を改めて感じるエピソードだ。

 

私は、2004年からブログを書いている。ISさんとの初対面で、「全てのブログを読みました」と言われて、とても緊張しました。昔のブログは何を書いたのか全く覚えていなかった上に、長くブログを書いていると、アホな人間性まで滲み出てしまうことは自覚していたのです。 ブログは嘘の付けないメディアであり、書き手の性格や教養の程度まで出てしまう。住まい手が依頼先の選定をする際には、造り手のブログを読むことは、欠かせないことだと思います。ブログに書かれている仕事とプライベートの雰囲気から、相手が想像できるからだ。

 

現場に施主が足を運ぶメリット

この時期、Aさんが最も印象に残っているのは、家づくりに関わる職人が現場に一堂に会して、各人を紹介してもらえたこと。これは、吉田氏が行っている見積りに対する説明会で、その場で疑問点や取り合いの担当などを決めるなど、現地で一気に行うのを常としている。スケジュールが合えばそこに施主に立ち会ってもらうようにしているそうだ。

 

「見積もりの為の現場打ち合わせ」である。10業者前後の職人が日時を合わせて、現場に揃うのは、各自の予定を合わせることや、駐車場の確保等で大変なことであるが、必要なことである。リフォームは、現状を見て判断するしか方法がなく、大規模リフォーム前には、職人が一同に会して(できない場合は何度かに分けて)、現場で見積もりの為の現地調査をするのが普通だと考えている。お客さんの立場なら、何度も何度も私や職人に自宅に来られたりするのは面倒なことである。一同に会するのは、その回数を極力減らすためであり(しかし、何度も現場に赴くことになるが)、各職方がコミュニケーションするためでもある。ということを分かってくれない職人とは極力付き合わないようにしている。

 

「現場が始まってから週に2回程度見にきていたが、最初に紹介してもらっていたので現場でコミュニケーションが取りやすかった」とAさんは言う。吉田氏にとっても施主に足繁く現場に足を運んでもらうことはメリットがあるという。「リフォームの場合、現場で判断することが端々に生じるが、現況を見てもらうほうが間違いない」と吉田氏。

 

施主に、実際に仕上がっていく様子を見てもらうことは、重要である。リフォームでは予定どおり行かない場合もある。そのような場合、現況を施主にも見てもらい、対策を現場で話合ったほうが物事がスムーズに進んで良いと考えている。考え方の相違、行き違いを無くすため、週2回程現場に来て頂けたのでありがたかった。職人も、施主を自覚することで、悪いことは1つも無いのだ。   以上、ザックリと誌面の印象に残った文言を書き出しました。その他にも、アンダーピニングという、人がモグラのように地中に入って行う地盤補強したこと、収納計画、家事、断熱等について書かれています。

 

「リフォームをする時に人はどう行動したのか?」リフォーム経験者の本音が整理してある文章を読むことは、リフォームや新築をされる方に、とても参考になると思います。興味のある方に、PDFで送ります。申込み先はこちら

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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