【匿流型押し込み強盗対策】高齢者が住む、閉店した店舗併用住宅で気を付けたい表示と外観 ― 近所の気になった実例から

先日、当社のすぐ近くで、
「もしかすると、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)による押し込み強盗の“下見”ではないか」
と感じる出来事がありました。
幸い被害は出ていませんが、狙われていたと思われる住宅に、防犯の観点で気になった特徴が•••。
それは、
・高齢を理由に閉店した、店舗併用住宅であること
・かつ「閉店のお知らせ」の張り紙を、長期間貼りっぱなしにしていること
です。
この張り紙は道路から非常によく目立ちますし、第三者から見て「今は商売をしておらず、高齢者が住んでいそうな住宅」と分かってしまう状態です。
トクリュウ型犯罪は、事前に住宅の様子を確認する「下見」を重視すると言われています。
そう考えると、こうした「閉店のお知らせ」を長期間貼りっぱなしにしている店舗併用住宅が、押し込み強盗を「しやすそう」な家として認識されてしまうのではないか?と感じました。
実際、当社近くでも「閉店のお知らせ」を長期間貼りっぱなしにしている店舗併用住宅が、複数軒存在しており、高齢者のみで暮らしています。
木造住宅の新築やリフォームを仕事にする立場として「その住宅が防犯上、他人からどう見えるか?」が気になった事例です。
同じような住宅にお住まいの方の参考になればと思い、まとめました。
目次
「トクリュウの“下見”ではないか?」と思った経緯は、近所の方からの声かけ

ある日の夕方17時頃、すでに薄暗くなり始めた時間帯に、近所の方が当社を訪ねてこられました。
「Aさんの家の周りを、何度も歩き回って中の様子を伺っている男性がいたんです。その人を目で追っていたら、急にいなくなってしまって……念のため、吉田さんに伝えた方がいいと思って」
私の父が長年、自治会長をしていることもあり、近所の方が自宅兼事務所(当社も店舗併用住宅です)に相談に来られることは、特別珍しいことではありません。
その数日前、同じ県内の小山市で起こったトクリュウによる押し込み強盗事件が報道されていたこともあり、私は「念のためAさんに状況を伝えておこう」と判断しました。
ちょうどその場にいた家内も、「同一人物かは分からないけれど、私もAさんの家の様子を伺っている人を見かけた」と言っていたため、すぐにAさん宅を訪問。
事情を説明し、「何かあればすぐ連絡をください」と携帯番号を書いてお渡ししました。
※栃木県小山市、トクリュウの押し込み強盗のニュース。飼い犬が撲殺される悲惨な事件でした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f34d08b7d433b2c4f7edfd7940368956c3cc4bb7
なぜ、その店舗併用住宅は、不審な男に目を付けられた可能性があるのか?―「閉店のお知らせ」が気になった理由
仮に、その不審な男性がトクリュウ型犯罪の「下見」だったとしたら、なぜAさん宅を下見したのかを考えてみました。
Aさんのお宅は、かなり築年数の経った2階建ての店舗併用住宅です。
1階で百年近く商売をされていましたが、昨年ご主人が亡くなられて商売は辞めており、現在は高齢のAさんが一人暮らし。
周囲の住宅と比べて、気になった点は次のような部分でした。
- 「閉店のお知らせ」の張り紙が、半年以上貼られたままである→閉店の張り紙(それも手書き)は、道路から、とても目立つ
- 高齢の店主が営んでいそうな業種である(例えば和菓子屋・着物屋など)
- 築年数が古く、かつ外観から大規模な改修の気配がない→若い店主ならリフォームしているはず
- 洗濯物の量や種類から、高齢者の単身もしくは少人数世帯と推測できてしまう
- 夜間に点灯する部屋が少なく、居住人数が想像できてしまう
中でも一番気になったのが、道路から非常によく目立つ「手書きの閉店のお知らせ」でした。
閉店=
- 店舗としての人の出入りがない
- 現金商売は終わっているが、商売をしていた高齢者なら、ある程度現金がありそうと考えるのではないか?
- 住居としては使われ続けているのが分かる
こうした情報が、一枚の張り紙と、住まいの雰囲気から読み取れてしまう点は、防犯上あまり良い状態とは言えません。
翌日、Aさんと同年配であり、親交のある私の母から「張り紙は外した方がいいのでは?」と伝えてもらい、「閉店のお知らせ」は外していただきました。
トクリュウ強盗に狙われやすい「閉店のお知らせ」内容はこれだ!

- 「高齢のため閉店します」
- 現在は住居として使用しております
- 手書きで長期間貼られた張り紙
これらの文言は、
- 商売はしていない
- しかし人は住んでいる
- 高齢者が住んでいる可能性が高い
という情報を、一目でトクリュウを含む、第三者に伝えてしまいます。
団塊の世代以上が営んできた個人商店は、なぜ閉店が増えているのか?

ここで少し背景を整理します。
●団塊の世代とは
- 1947年〜1949年生まれ
- 現在おおよそ75〜78歳前後
高度経済成長期に個人商店・家業・店舗併用住宅を支えてきた世代です。
しかし現在は、
- 後継ぎ不在
- 体力的な限界
- 少子化
- 商圏や消費活動の変化(大型店・ネットの影響で売り上げ減少)
といった理由から、「高齢を理由とした閉店」が全国的に増えています。
中小企業庁や総務省の統計でも、個人事業主の高齢化と廃業の増加は明確な傾向として示されています。

このような閉店した店舗併用住宅は、
- 立地が良い
- 道路に近い
- 1階が店舗仕様で窓が多く、結果として侵入経路も多い
という特徴を持つことが多く、トクリュウ型犯罪においては「下見対象になりやすい条件」が多くあるのが実情です。
トクリュウとは?
トクリュウとは、「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。
- SNSなどで実行役を集める
- 組織が固定されていない
- 指示役と実行役が分断されている
という特徴があり首謀者を捕まえ難く、警察庁も近年、特に注意喚起を強めています。
トクリュウの「押し込み強盗」の特徴
トクリュウ型の押し込み強盗は、
- 事前に周囲を歩き回る(下見)
- 住人の人数・年齢を外から推測
- 夜間や在宅時間帯を狙う
という特徴があります。
「留守宅」ではなく、「高齢者が少人数で住んでいる家」が狙われやすい点が、従来の空き巣と大きく異なります。
住宅のプロとして感じたこと|高齢を理由に閉店した店舗併用住宅と防犯について

木造住宅の新築・リフォームを仕事にしている立場から見ると、今回の件は建物そのものが悪いのではなく、「家の見え方」が問題だと感じました。
- 張り紙一枚で生活状況が伝わる
- 古い建物ほど窓が多く、侵入経路が多い
- 店舗時代のままの建具・ガラス
こうした点は、ちょっとしたリフォームや表示の工夫で改善できることも多いです。
たとえば、
- 閉店後は「閉店のお知らせの張り紙」をしない。もしくは、閉店をハガキ等でお知らせする
- 店舗入り口ドアを住居仕様に更新、もしくは鍵を2つにする
- 窓・玄関の補助錠、防犯ガラスの検討

まとめ
- トクリュウ型犯罪は、事前の「下見」をすることがある
- 高齢で閉店した店舗併用住宅は、トクリュウ型犯罪に狙われる条件が重なりやすい
- 特に「閉店のお知らせ」の貼りっぱなしは注意
- 防犯は設備だけでなく、外からどう見えるかが重要
- 住宅屋の視点でできる対策は、意外と多い
今回の出来事が、同じような立場の方の小さな気付きになれば幸いです。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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