2019-08-23
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)
住宅設計
自然素材

吹抜けのある家は、1階と2階の床材を同じ材料にすべき

杉の無垢材の側桁階段

SH-houseに階段が取り付けられた。

 

杉の無垢階段である。

 

断面寸法の小さい木材(板材)を接着剤で再構成して作られる集成材の階段ではない、厚い杉の一枚板で出来た無垢材の階段だ。

 

この階段もフローリングと同様に木目が美しい。

 

踏板は36mmと分厚い。しかし充分乾燥しており軽い。乾燥しているのは狂い難いということ。

蹴上寸法(階段1段あたりの高さ)は193mm。踏板の厚さが36mm。蹴込み板は15mm。側板も36mmで、壁の12.5mmの石膏ボードが納まる側板部分は、13mmのボードじゃくり溝を入れた。

 

蹴込み板も15mmの1枚板。上記踏板の溝にこの蹴込み板かぜ納まる。新建材の階段の場合は、蹴込み板厚さ4mmなんてこともw。

分厚い板だが、乾燥しているのでとても軽い。

 

巷で建っている家は、フローリングに無垢材を使っている場合でも、階段は集成材ということがほとんどだが、SH-houseでは杉の無垢材として、フローリングとの統一感を出した。

 

無垢材の階段加工が難しい理由

無垢材の階段加工は難しい。

 

理由は、無垢材は均一でなく反りが出やすく、材料選択や乾燥や階段加工にも手間が掛るからだ。だからフローリングを無垢材とした場合でも、階段は反りにくい集成材とすることがほとんどなのだ。

 

したがって、分厚い無垢の1枚板で階段を造るのは、それだけで価値がある。

 

毎日、何度も昇り降りして、時には素足で歩く階段だから、愛着の出る材料を造り付けたい。

 

SH-houseの杉フローリングについてのブログはこちら。

製材工場を見学、幅180mm×厚さ30mmの鹿沼産杉フローリングを使うことに決定!

 

吹抜けのある家は、1階と2階の床材を統一すべき

フローリングは30mm厚さの杉の無垢材、幅160mm。写真右です。

これで、1階の床・階段・2階床と、室内の全ての床が、木目の美しい杉の無垢材で統一できるので、違和感がない。

 

特に吹き抜けで1階と2階が繋がる場合、1~2階が1つの空間となる。

 

2階の吹抜けから1階を見下げることがあるので、1階と2階の床材を同じにするのが自然であり、1つの空間のフローリングの種類を変えるのは「オカシイ」ことは言うまでもない。

 

よく1階と2階のフローリングの種類を変えているお宅があるが、インテリアがチグハグになり、失敗する可能性が高いので辞めたほうが良いだろう。

 

ちなみに異論が出ないのは、見学者のレベルが低くて気が付いてないか、悪いと思って指摘しないからである。そういう見学者は材料だけでなく、収納や造作家具の密度や使い勝手にも気が付かない。

 

1階と2階のフローリングの種類が違い、階段材も種類が違うとなると、広い面積となる床に3種類の材料が使われていることになる。これでは統一感を出すのは難しいのは当たり前の話だ。

 

様々な素材や色を上手く組み合わせることが出来るのは、設計者の中でもインテリアやエクステリアの上級者のみで、ほとんど上手く行かない。

 

完成後には施主の持ち込み家具やファブリック、衣類や備品等、様々な素材や色が入るので、室内及び外部の素材と色は、最小限にしておくのが良いと考えている。

 

「階段や廊下の手摺」は既製品を使わないことが大切

意外にも室内で大切なのは「階段や廊下の手摺」で、ウッドワン等の既製品の無垢材を使わないことが大切だ。

 

既製品が入ると、その建材が造られた年代が分かるので、特に年月が経つと古臭くなり違和感が出る。手摺の場合は、受金物で年代が分かることがある。だから、階段や廊下の手摺も大工に無垢材を削ってもらってオリジナルにすることが大切だ。

 

特に毎日、手で触れる「手摺」や「引き戸の引手」や「開き戸のハンドル」は、印象に残るので、安易な既製品を使わないほうが良いと思っている。

 

いくら超高断熱住宅のQ1.0住宅にして断熱性と気密性を高めても、内外観がチグハグで、メンテナンス費用が掛かりすぎる家なら、それは良い家とは言えない。

 

SH-houseは安心感のある「側桁階段(がわげたかいだん)」にしました

今回は、「側桁階段(がわげたかいだん)」にした。踏板と蹴上板の両側に板が立ち上がるので、階段の拭き掃除がしやすい。

 

「側桁階段」は階段の左右に板があるので、リフォーム工事で頻繁に階段を上り下りする時も、階段の踏板廻りの壁が汚れにくいという安心感がある。

 

当社はリフォーム工事も行っている。リフォームするお宅が側桁階段だと、踏板廻りの壁を汚す心配が少なくなる上に、コーナー部の外側にはモノが置けたりするので便利だ。

 

「ささら階段」と「ストリップ階段」の施工例

ささら階段

ストリップ階段

「側桁階段」以外にも、このような両側の側桁の無い、スッキリした意匠の「ささら階段」や蹴込み板の無い「ストリップ階段」も、施主のキャラクターや室内の雰囲気に応じて採用しています。

 

ささら階段とストリップ階段写真はYM-house

 

栃木県内では、オーダーメイドの無垢材の階段プレカットを行う業者がほとんど居ないので、他県の業者さんに依頼しました。

 

無垢材の階段加工が得意な専門の工場でブレカットしてもらうと、大工に無垢材の階段を加工してもらうよりも精度が抜群に良く、階段が現場に入って直ぐに組み立てられるので効率的です。

 

ピットブルとジャックラッセルテリアを飼っていますが、ドックフードはこれがおススメ。皮膚病がほぼ無くなりました。

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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