新国立競技場問題の原因は、オリンピック招致アピールとコンペのコスト意識の無さだった
バンザーイ!!!と叫ぶ状況ではありませんが、とりあえず新国立競技場建設は、「白紙撤回」で計画見直しになりました!!!これで、税金の浪費が多少なりとも少なくなりそう。このまま2520億円で建設開始されたら、日本国民の皆様におかれましては、恨みのオリンピック決定でしたが、そうならずに済みそうです。
人は、自分の払った税金が、特定少数の権力者の利益になるのは、どうしても避けたい生き物なのです。森さん、石原さん、安藤さんというジジイ3人のエゴで税金使われたらタマラン。税金が、自分もしくは弱い立場の人間の利益に使われるなら容認できても、権力者のジジイ3人の利益になるのは許せんという事ね。
新国立競技場問題は、ネットで情報拡散したお蔭で、白紙撤回となったわけですが、2000年代初めだったら、SNS等は無いから、強行建設されていたでしょう。スマホとSNSのお蔭です。
新国立競技場問題の今までの経緯については、以下の記事が時間軸と出来事がまとまっていて分かりやすいです。
読売オンライン
もご覧ください。わたしも、建設費用の2520億円が、投資効果で将来例えば5000億円の経済効果になって返ってくるなら建設賛成しますが、どう考えても、負の遺産になりそうなので、2520億円での建設反対でした。過去5大会の、最高額であるロンドンオリンピックのメイン会場建設費用530億円に限りなく近い金額で建設して欲しいところです。
普通の人の意見を端的に表した言葉がコレ。
橋下徹大阪市長の「お金がない家庭がフェラーリ買うと言ったら『アホか』と言われるのと同じ。教育にもっと使うべきところがある」と指摘。「日本の財政状況などを考えれば、今は違うでしょと言うのが政治家だと思う。僕が東京都知事だったらひっくり返す」
で、ここからが本題です。
7月16日に行われた建築家の安藤忠雄さんと独立行政法人日本スポーツ振興センター幹部の方の記者会見動画を見ました。1時間以上の動画でしたが、興味あったので見た。
新国立競技場問題 安藤忠雄氏が16日午前に記者会見
会見動画から分かったのは以下の5つ
1.ザハ案がオリンピック招致に効いた
あの、宇宙船のようにシンボリックなザハのデザインを選んだお蔭で、オリンピック招致に成功した部分があるのはないかという安藤さんの意見には同意。証拠はないが、そうなのかもしれない。ただし、最初に1300億円だった予算が、実施設計で2520億円と、ほぼ倍になったことに国民は怒ったわけです。1300億円だってロンドン五輪のメイン会場建設費用の倍以上の金額だからね。
2.もともとコンペにコスト感覚は無い
コンペ(設計競技)は私の知る限り、ザックリとしたイメージのプレゼンです。20年以上前に、アルバイトで建築材料企業主催のデザインコンペを何度かお手伝いしたことがあるのですが、乗用車で持ち運び可能なA0もしくはA1程度のパネルにパースと設計意図を書いたもので説明が行われるのみで、模型もありませんでした。そんな図面も無い状態で見積もりを出すのは、全く無理。世界中の誰も金額を出せません。だって、資料が全く無いんだもん。積算(見積)の専門家でも、建築費用を概算で出すには、基本設計図面(平面、立面、断面、仕様書、仕上げ表、構造図)が必要で、イメージのパースと平面図しかないようなデザインコンペの時点で、概算見積もりを出すのは、不可能なのです。
3.今後の公共建築は、予算がキッチリでるようなコンペにしてくれ
白紙撤回後のコンペは、とにかく予算を守ることが第一となるため、コンペ主催者(国)が、金額がキッチリでるような規定を設けた上で、設計者と施工者が共同作業して、コンペ案を出すしかないと思います。建築家(設計者)は、基本的に建物の金額は自分の責任範囲と考えていませんし、積算能力のある人は、ほぼ居ません。だから施工者(ゼネコン)と一緒に行う。今後、日本国内で行われる公共建築コンペは、予算がある程度の範囲で納まるコンペにしてくれ!!!と思いました。もう、そういう時代だろ。
4.ザハさんに金払うのはおかしい
一般的感覚なら、デザインコンペの規定にあった1300億円の予算に到底納まらないザハ案は、金額調整できないと分かった段階で失格でしょう。日本のゼネコンは、逆にザハさん側に積算に掛かった経費を請求するのが普通かと思います。それをデザイン監修料として13億円支払った上に、違約金まで支払おうとするなんて、日本人はなんて人のいい民族なのでしょう。人が好過ぎて、国際社会でバカにされるわ!
5.ネット時代には、業界の慣習は通用しにくくなる
あと、安藤さんは、赤字覚悟でゼネコン(施工者)に工事をしてくれと言っているが、それを言うなら、自分の私財をそっくり国に寄付してからでないとおかしい。先輩同業者の名前を出して、「偉大な同業の先輩も、ザハ案にしろと言っている」というのは、見苦しかった。ネット時代には、業界の慣習は通用しにくくなるということが分かりました。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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今日7月22日の毎日新聞のオピニオン欄、そこが聞きたい 新国立競技場見直し で、今回のコンペにも参加した、建築家の伊東豊雄さんのインタビュー記事が載っていた興味深いです。毎日新聞のサイトでも見られますよ。
柴野さん、コメントありがとうございます。建築家の伊東豊雄さんのインタビュー記事。 柴野さんのおっしゃるとおり、私のブログと類似点多数でした。普通に考えると、そうなりますよね。 http://mainichi.jp/shimen/news/20150722ddm004070007000c.html