2019-11-26
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)
インテリア・家具・収納
住宅設計

使って良かった造作建具金物4つとその理由

今日のブログは宇都宮市で完成した小さなQ1.0住宅SH-houseで、採用して良かった造作建具金物を4つ取り上げます。

 

特に小さな家の場合、効率的に収納スペースを確保する必要があるので、造り付け家具や造作建具は必須なのですが、

 

小さな家をより広く感じさせるには、部材をなるべく表出させないように造作建具金物を選択し、室内をスッキリさせる必要があります。

 

今日のブログは、使って良かった造作建具金物4つとその理由を書きます。

 

堀込ステンレスアームストッパーを使うと、床に金物がなくスッキリします

トイレドアが唯一の開き戸。このドア上部の金物が「堀込ステンレスアームストッパー」。途中でドアを止めることも可能。

ドアを閉めると、どちらからも金物が見えないし、床に金物も出てこない。

堀込ステンレスアームストッパーを使うと、床のマグネット戸当たりが必要ないのでスッキリ。

普通はこのようなマグネット式戸当たりを付けることが多いが、金物が目立つ。小さな家だとなおさらである。

SH-houseの唯一の開き戸は、トイレ入り口のドアである。(他は全て引き戸)

 

開き戸の場合、開けたドアのレバーハンドルが壁にぶつかって傷や凹みにならないように、床とドアの下部に「マグネット式戸当たり」を付けることが多い。

 

ただしこの金物を付けると、常に床とドアには金物が設置されていることになり、シンプルに見えない。

 

小さな家の場合は、室内が狭いので床面の金物が余計に目立ちやすい。

 

今回は、「マグネット式戸当たり」の代わりに「堀込ステンレスアームストッパー」を取り付けた。

 

その理由は、床に金物を付ける必要がなく、ドアを閉めた時も金物が見えないのでシンプルに見えるから。

 

これは小さな家のマストアイテムである。

 

今回堀込ステンレスアームストッパーを取り付けた。

 

今後、開き戸には堀込ステンレスアームストッパーを標準仕様にする。

 

吊戸金物で床の敷居とVレールを無くすと部屋同士に連続性が生まれる

吊戸のレールを見る。

吊戸の下には、敷居とVレール金物が無いのでスッキリ。部屋同士に連続性が出る。

今回、施主の要望で引き戸は全て「吊戸(つりと)」として、床面に付く「金属レールと敷居」を無くした。

 

これで床面がスッキリして、部屋同士に連続性が生まれた。

 

今まで、引き戸は「鴨居、敷居と金属レール」を標準仕様としていた。

 

その理由は、鴨居と敷居の上下2箇所で引き戸が固定されることにより、建具が「反りにくい(変形しにくい)」と考えていたからである。

 

しかし今回初めて、全ての引き戸を吊戸にしてみたが、心配する必要は無さそうである。

 

今後は吊り戸を標準仕様にする。

 

特に小さな家では、床にレールと敷居の無いメリットは大きい。

 

床に見える部材がミニマムになり、シンプルに見えることが、部屋同士の連続性と室内の広がりにもつながるからだ。

 

吊戸レールは「アトムAFDシリーズ

 

無塗装でシンプルな木製の「取っ手」は汚れが目立ちにくい茶色に塗装

 

オスモの茶色いオイルを塗った。

無塗装時は白木

カウンターと同色である。

収納開き戸の「取っ手」は、ステンレスのシンプルな金物が標準仕様である。

 

というのも、取っ手はよく使う場所なので、木製だと、汚れが目立つようになるからである。

 

しかし今回は、「取っ手は汚れても良いので、触った時の温かみを優先したい」という施主SHさんの希望で木製になった。

 

以前別の現場で木製取っ手を使ったことがあり、自然塗料のクリアオイルで仕上げたら、汚れた上に何か所も割れてしまったことがあったので、2種類ほど木製取っ手を買って実物で検討した。

 

SHさんと相談して、一番シンプルな造形の「白木の無塗装品」に決めて、カウンターと同色の茶色に塗装した。

 

結果として茶色なので汚れにくそうな上に、値段もリーズナブルである。

 

施主が木製取っ手を希望したら、これを使うことも選択肢となった

 

粉河(こかわ)の木製Vレールで金属レールの違和感を無くす

金物のレールでないほうが自然である。

SH-houseでは、収納のガラス引違戸が4か所ある。

 

施主のSHさんは、取っ手等の手に触れる部分を金属にすることを好まない。

 

触ると冷たいし、見た目も温かみを感じにくいためだと思う。

 

であれば金属のVレールも好みではないだろうと、先回りをして木製Vレールを提案した。

 

人が通行するようなH1800以上のフラッシュ戸だと、ドア自体が重くなり木製Vレールは15年持たないようだが、軽い引き戸なら耐久性は充分と考える。

 

粉河(こかわ)の木製Vレール

 

そのような理由で、この4つの造作建具金物を使った。

 

先日の完成見学会で、見学者から言われて一番うれしかったのは、 「収納がセンス良く確保されており、今まで見た他の会社とは室内の密度が違う」という言葉でした。

 

また、見学した同業者からも、建具や家具の納まりを評価頂けたようで良かったです。

 

その時の様子はこちらのブログでご覧ください。

Q1.0住宅完成見学会@宇都宮市での見学者の感想と、会場となった住宅の温熱環境

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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