Q1.0住宅で使う「気密部材14種類」と施工動画
昨日のブログで、「水沢ダウン」と「Q1.0住宅(高断熱住宅)」は同じ保温構造であり、気密性の高さが暖かさになり、快適性に繋がっているという話をしました。
住宅の気密性を高めるには、適切な断熱気密設計と、気密部材を使った職人達の細かな工事の積み重ねが必要です。
気密部材は専門性が高いマニアックな建材で、一般の木造住宅では、ほとんど見られません。
目次
今日のブログは、宇都宮市の街中で建築中のQ1.0住宅、SH-houseで使う「断熱気密部材14種類」を、商品名・メーカー名・使用箇所の3つでご紹介します。
気密部材メーカーさんの施工動画も添付しますので参考にしてください。
気密柱バリアー(日本住環境)
気密柱バリアーは、主に床断熱の場合の柱廻りの気密性を確保するための気密部材です。
SH-houseでは、小屋裏の桁上断熱の「束まわり」で使います。この部材を柱や束にはめて、気密テープを使って床の気密シートや木材と密着させます。
気密柱バリアーの施工動画
ドームパッキン(日本住環境)
ドームパッキンは、配管用気密パッキンです。
主に外壁を貫通する配管廻りで使います。
気密性を確保する「気密部材」と防水性を確保する「防水材」の両方の機能を持つ優れもの。
利点はパッキンに50φから25φ刻みに75φ,100φ,125φ150φと、5段階の配管径に対応するよう、綺麗に丸く切るように定規となる段差を設けて、カットし易くしてあるので、職人が使いやすいことです。
配管とドームパッキンの取り合いにシールや気密テープの必要が無いので、手間を軽減できます。
SH-houseでも、換気システム配管廻り2箇所、レンジフード廻り配管2箇所、トイレ換気配管、UB配管、エアコン配管等、外部側と室内側の2枚ずつ使うので、かなり重要な気密部材及び防水材です。
ドームパッキンの施工動画
ウレタンスプレー(MAX)
隙間の断熱気密を確保するために使います。SH-houseでは、耐力面材下の金物座彫り部分、
ドームパッキンのところでお話しした、外壁を貫通する配管廻り(VU管等)を木材で四角く囲み、配管外側と木材の隙間をウレタンスプレーします。
ガンに接続して使うため、ガンクリーナーと一緒に買います。
防蟻ウレタンフォーム(ハイプレン防蟻フォーム)
基礎断熱材廻りの隙間で使用します。基礎スラブ上に敷く断熱材と配管の隙間等で使用します。
バネリードⅡ+ (シネジック)
バネリードⅡ+は、付加断熱や外張り断熱を行う場合の必需品のビスで、付加間柱を留めるために使用します。
気密部材ではありませんが、付加断熱に使う特殊なビスであり、一般の木造住宅には間違いなく使わないのでご紹介します。
特殊なビスなので値段も高めです。
SH-houseでは、120mm厚の高性能グラスウールを付加断熱材として使用するので、付加間柱も120×30という間柱を使用します。
この長く頑丈なビスは、付加間柱を耐力面材の上から柱に留めるのに使います。
パネリードⅡ+は外張り断熱工法用ビスとして最適な設計により、外壁の垂れ下がりを防止する高い強度を実現しています。
ちなみに今回は、下穴を開けて135mmの長さを使う部分と、下穴を開けずに160mmサイズのビスを使用する部分があるので、どちらが良いかを検討します。
天端リスト100(日本住環境)
天端リスト100は、基礎断熱の基礎と土台の間に敷いて気密性を確保する気密部材。
SH-houseでは、基礎天端全てを天端リストで施工するわけでなく、内周基礎立ち上がりは、外周よりも2㎝下げて、基礎パッキンを設置して、床下の暖気が動くように工夫しています。
天端リスト100施工動画
両面ブチル幅30
手で触るとネバネバする黒いブチルテープは、通常外壁下地等の「外」で使いますが、SH-houseでは、室内側で使用します。
梁に貼っておき、その上に気密シートを貼って、石膏ボード12.5mmで押さえて気密性を確保します。
VU管各種
ドームパッキンでも書いたように、壁を貫通する配管廻りは気密性と断熱性を確保しにくくなるので注意して行います。
事前にVU管をカットしておき、周りを四角く木材で囲い、管と木材の隙間をウレタンで吹いたものを壁の断熱材を入れる前に作っておいて、所定の場所に設置しておきます。
そのあと、壁の充填断熱を行います。
室内側気密テープ
室内側の気密テープはこのようなものを使用。主に気密シートが途切れる窓廻りや配管廻りで気密シートと木部、気密シート同士を接着する場合に使用します。
気密テープは石膏ボードで押さえるのを基本としています。
両面ブチルテープ
FPの家を造っていた20年近く前に、耐久性の点から、マニュアルで室内以外はブチルテープを使用すると教えられました。
外壁の下地では室内側の気密テープでなく、ブチルテープを使用しています。
両面ブチルと片面ブチルがあります。サッシ廻りのタイベックとサッシを密着させるために使用します。
気密コンセントカバー バリアボックス(日本住環境)
例えば外壁等の、断熱材が入る部分には気密シートをセットで施工しますが、コンセントとスイッチがくる場合は、気密シートをカットする必要があります。
気密コンセントカバー バリアボックスはコンセントとスイッチの気密性を確保する部材です。
シングル・ダブル・トリプルと3種類のスイッチ及びコンセントに対応しています。
下記の動画のように、気密コンセントカバーの耳を気密シートの外側に出して、室内用の気密テープを貼りますが、施工要領書を読まない職人も多いので、耳を気密シートの外側に出さずにテープを貼ってしまうこともあります。
そうなると、気密性が充分確保出来ないので、現場監督は下記の動画を電気屋に見せると良いでしょう。
気密コンセントカバー バリアボックス施工動画
気密シート(日本住環境・ジェイベック)
栃木県内の、ほとんどの木造住宅では、耳付(気密シート付)のグラスウールが使われているが、耳付グラスウールで気密性を確保するのは難しい。
だから、耳付グラスウールを使うのでなく、耳付でない「生のグラスウール」を使って、別途気密シートを貼るのが気密性を高める近道だ。
気密シートは厚さ0.2mmの日本住環境のダンタイトを使っていたが、今回初めてジェイペックの気密シートも使用する。
このような気密シートを5本程度使う予定。
気密シート施工動画
PEパッキン(日本住環境)
PEパッキンは、主に「ボード気密工法」で使用する気密部材。
当社は、「シート気密工法」で気密性を確保しているので、今回初めてPEパッキンを部分的に使用する。
シート気密工法の補強として使います。
使用箇所は、桁上断熱部分の桁と合板の間と、開口部廻りの柱と耐力面材の間である。
断熱天井点検口(JOTO)
寒冷地や分厚いブローイング断熱に対応した点検口。
このように、Q1.0住宅では一般的な木造住宅では使わない気密部材をたくさん使って、冬暖かく夏涼しい家を造っています。
構造見学会のお知らせ
7月末もしくは8月初めに、予約制で構造見学会を予定しています。
特に24.5坪くらいの小さな家を建てたいと考えている方には参考になると思います。
見学希望の方は、下記お問い合わせからご連絡ください。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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