2016-12-23
Q1.0住宅宇都宮三番町の家 SI-house(宇都宮市 三番町)
インテリア・家具・収納
犬・猫と暮らす家

【キッパリ】「猫のための家づくり」では、木材を現場造作することが必須なので、依頼先は手づくり系工務店の1択。ハウスメーカーのペット共生住宅の実態は凡庸でした

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昨日、本屋の非常に目立つ棚に、猫の写真のこの本が立て掛けてありました。最初はペット雑誌かと思いましたが、よく見ると建築知識!2017年1月号猫特集「猫のための家づくり」。あの建築知識が猫特集をするのか?とビックリしました。書店も、一般の方に売れそうだというので、建築雑誌コーナー以外の一般紙の棚にも置いたのだと思います。

 

出版元は、おそるおそる実験的に出したのかもしれませんが、この猫特集号、いつもより売れているのではないかと勝手に想像しています。というのも、猫のための建築のニーズがありながら、ほとんどの設計者や住宅会社は、猫のための建築の造り方が分からないので買うでしょうし、「猫と暮らす家」に住みたい一般消費者も買う可能性があるからです。私も「猫と暮らす大屋根の家 SI-house」の設計をしたときは、猫の生態がよく分からず、施主と対話しながら2冊の猫建築本を手掛かりに設計したのでした。

建築知識は「造るという実務に特化」した建築雑誌

月刊建築知識は、家具やドアを自社オリジナルで造っている手造り系工務店や設計事務所のバイブル的雑誌です。既製品のメーカー建材を使う住宅会社が多い中、造作家具、造作建具を自社の責任で造る住宅会社は珍しい存在です。

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建築知識バックナンバー

私も必ず毎月本屋で立ち読みして、興味ある特集の時は買っています。インテリア・エクステリアはもちろん、構造・断熱・地盤・雨漏り・植栽に至るまで、非常に詳しく毎月テーマが決められて雑誌が創られています。

 

具体的にどんな雑誌かというと、家具・建具(ドア)の特集号であれは、図面が詳しく掲載されており、それを参考に造ることが出来ます。言わば造るという実務に特化した建築雑誌。

 

建築知識は、住宅会社を選別する踏絵(ふみえ)の役割もする雑誌

建築知識は「踏み絵」の役割もします。この雑誌が事務所に数冊以上ある会社は、手造り系の住宅会社もしくは設計事務所の可能性が高いです。部材を自分の会社で造っている住宅会社は設計するために、ほぼ必ず目を通す雑誌だからです。

 

反対に、この雑誌が事務所に無ければ、既製品建材を主に使用する量産型住宅会社です。全ての建材が既製品なので、部材を設計する必要が無く建築知識を読む必要がありません。ここで言う量産型住宅会社とは、ハウスメーカーとローコストビルダーは言うに及ばす、一般的工務店と設計事務所も入ります。

 

建築知識2017年1月号は猫特集「猫のための家づくり」は消費者にとっても保存版となる本

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出典

その建築知識が1冊まるごと「猫のための家づくり」と題して、「猫と暮らすための家」の特集をしたので、マニアックすぎてビックリしたわけです。ざっくり立ち読みしましたが、今月号は保存版とも言える内容です。

 

「猫のための家づくり」をする設計者、施工者は勿論、「猫のための家づくり」「猫のためのリフォーム」をしたい施主も勉強のために1冊持っていたら良いと思います。そして、設計者にこの雑誌を見せて、こんな感じで「猫のための家づくり」をしたいとリクエストするネタ本にします。

 

Webに掲載されている建築知識2017年1月号猫特集「猫のための家づくり」の内容・概要を見てみましょう。

空前の猫ブームともいわれる昨今、建築主から「猫もくらしやすい家にしてほしい」という依頼を受けている人も多いのではないでしょうか。でも、猫は気ままな動物だから・・と、猫のための設計を放棄してはいませんか?

本特集では、猫の気持ちを熟知した設計者による、猫と一緒に暮らす住宅を設計するうえで役立つ情報をお届けします!さらに、動物行動学者監修の、知っておきたい猫の習性などの基本知識を紹介。

 

「猫のための家づくり」が得意なのは、ハウスメーカーとローコストビルダーでなく、手造り系の工務店もしくは設計事務所の1択

建築知識が特集することからも分かるように、「猫のための家づくり」が出来るのは、ハウスメーカーとローコストビルダーでなく、手造り系の工務店もしくは設計事務所の1択です。

 

ハウスメーカーのペット共生住宅は、実際にはとても凡庸な様子です。ハウスメーカーで猫と暮らす家を造った方が、「猫と暮らす大屋根の家 SI-house」の完成見学会に来たので、どのような仕様なのかを聞いてみました。その方に聞いたところ、大手ハウスメーカーで建てたご自宅のペット共生住宅の仕様は、ドアにペットグールを付けて猫ドアにしたことと、消臭タイプのクロスにしたという2点のみでした。

 

多くの部材を工場で造り、現場でそれらを組み立てて仕上げる大手ハウスメーカーの住宅は、それぞれのケースに応じて猫の仕様を計画・カスタマイズするのは、ほぼ不可能で、現実にはありきたりな猫ドア程度しか、出来ないことが多いのかもしれません。

 

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現場造作した猫柱(キャットツリー)。猫のための家の依頼先は、現場で木材加工できる手作り系工務店が一番適している

 

猫ドアだけということは、建築知識2017年1月号「猫のための家づくり」に出てくる猫柱・猫ステップ・猫窓・猫壁等の猫のための建築化は全く行いません。「猫のための家づくり」は、現場で木材加工出来ないハウスメーカーには、手を出しにくい分野だと思います。「猫のための家づくり」は現場で木材加工できる工務店が一番適しているのではないかと思います。

 

実際、大手ハウスメーカーで「猫のための家づくり」をした方、実際どのような感じなのか?ご意見を聞かせてください。

 

「猫のための家づくり」は吹抜けと相性が良いので、高気密高断熱住宅が必須
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猫と暮らす家には、吹抜けがマストアイテム。寒い室内にならないように、断熱スペックのチェックは必須だよ!

また、猫は上下運動が好きなため、猫柱や猫ステップを使って吹抜けを介して室内を移動すると人間も楽しいです。吹抜けがマスト要因になると、なんちゃって高断熱住宅では寒くて辛いです。「猫のための家づくり」は、レベルの高い高気密高断熱住宅と相性が良いということになります。

 

吹抜けのある猫のための家の断熱スペックは、栃木県宇都宮市だと床下エアコンにして失敗しない温熱性能のQ値1.5程度は必要かと思います。

猫建築本の中から消費者におススメな1冊は、今、本屋に並んでいる建築知識2017年1月号「猫のための家づくり」です 

私が「猫のための家づくり」の参考にした書籍は、「へぐりさんちは猫の家」と「ペットと暮らす住まいのデザイン」ですが、建築知識2017年1月号のほうが、猫の行動特性等の情報が、より分かり易く書いてあり、情報も新しく勉強になりそうです。

この3冊の中から、消費者の方が1冊だけ買うなら、一番上の建築知識2017年1月号は猫特集「猫のための家づくり」をお勧めします。

 

設計者には「ペットと暮らす住まいのデザイン」と建築知識2017年1月号「猫のための家づくり」の2冊をお勧めします。「ペットと暮らす住まいのデザイン」を設計者にお勧めする理由は、具体的な猫建築の造り方が図面入りで、建築知識2017年1月号より詳しく掲載されているからです。

 

猫と暮らす家については、こちらのブログもご覧ください

 

猫と暮らす家の猫柱(キャットツリー)の造り方を連続写真でご紹介

 

猫と暮らす家、設計の注意点

 

犬と暮らす家と猫と暮らす家は、どこが違うのか?

 

猫のトイレスペースを造る工事は、システムキッチン工事と一緒に行うと合理的ですよ!

 

次は、「猫のための家づくりを設計から施工まで振り返る」と題して、「猫と暮らす大屋根の家」の猫建築について具体的に書きます。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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