野田元総理の二世帯住宅(三世帯同居)に対する認識がおかしいので、私が教えて差し上げます
第95代内閣総理大臣 野田佳彦様のかわら版 No.1025 『豪邸支援のバラマキ』 を読みまして、3箇所違和感がありました。違和感のあった文章を書き出して、不肖私なりに検証したいと思います。
違和感1つ目は、野田元総理は「福井モデル」のこと知らんの??
野田元総理は、三世代同居が出生率アップにつながらないとして以下のように書いています。
確かに、世代間で助け合いながら子や孫を育てたいと希望する人もいるでしょう。そういう暮らし方の選択肢を否定するものではありません。しかし、私も三世代同居の経験者ですが、出生率アップに直結するとは思えません。税金を投入してまで推進するほど政策効果があるのでしょうか。
これについては、二世帯住宅にして、爺ちゃん婆ちゃんに孫の面倒を見てもらえると、出生率アップしやすいだろうし、女性も働きやすくなるなるだろうと、三世代同居の私なら想像出来ます。私の場合、不測の事態の時に、爺ちゃん婆ちゃんに子供の面倒見てもらえて助かっていることは多いです。で、二世帯住宅(三世帯同居)のロールモデル(お手本となる事例)をネット検索してみました。
ありました。「福井モデル」です。「福井モデル」は、福井県に根差した、働く母親が祖父母の支援を受けながら、子育てするライフスタイル。国もマネをするほど有名な福井のライフスタイル。全国を福井県のようにしたくて、「三世代同居を推進するための良質な木造住宅の整備促進事業」の補助金は予算されたようです。野田佳彦元総理は、「福井モデル」を知らなかったみたいです。
「そういえば子育てで成果をあげている『福井モデル』が注目されているって聞いたわ」。福井県の同居率は全国2位、共働き率は同1位、出生率は同8位。明日香が福井県に電話すると、「働く母親が祖父母の支援を受けながら、子育てする環境が整っています」と説明してくれた。
「政府はこれを全国にも広げたいのね」。明日香が納得していると、何でもコンサルタントの垣根払太が「自治体の方が先行しているらしいよ」との情報を持ってきた。
出典:日経新聞
「福井モデル」で検索するとたくさん出てきます。
本も出てます。
野田元総理が「福井モデル」を知っており、「福井モデル」について問題点もあるのなら、それについて書いて欲しかったです。批判のための批判はわざとらしく思えてしまいます。
出生率を上げた三世代同居(二世帯住宅)の有名なライフスタイル「福井モデル」を野田元総理は知らないんですか?という違和感と疑問が1つ目。私も知りませんでした。ぺこり。
2つ目は、野田元総理は、住宅のこと全く知らないんですか?という疑問
出典:鉄筋コンクリート造
野田元総理は、今回、鉄筋コンクリートの住宅に補助金が出ないのを以下のように書いています。
木造でなければ補助が受けられません。何で木造の三世代住宅ならば出生率が上昇し、鉄筋の三世代だと出生率が上がらないのでしょうか。全く意味不明です。
これは、出生率の問題ではなく、補助金の対象になっているのが主に戸建住宅であり、戸建住宅の構造の9割以上は、木造住宅であるので、鉄筋コンクリート造は補助金の対象になっていないという話。
出典: 建築・住宅における木材利用の現状と方向性(国土交通省)
鉄筋コンクリート造等の非木造は、戸建住宅全体の1割もないことを知らないので、この発言になったのだと思います。非木造住宅である鉄筋コンクリートの住宅は、数が少なく一般的な住宅でないので、補助の対象になっていないだけの話。鉄筋コンクリート造の住宅は、造るのに手間が掛かり、値段が高いので一般的でないのです。安くて一般的なら、もっと普及してないとおかしい。
3つ目は、世間に「二世帯住宅は豪邸だ」という間違った認識をさせる発言
以下の文章を読むと、二世帯住宅は豪邸だと勘違いしてしまう方もいらっしゃると思いますので、しっかり訂正しておきたいと思います。
子育て支援といいながら、トイレや浴室等が複数あれば補助を出すのですから、「豪邸建築支援」と同じです。格差を助長する予算であり、税金の使い方として間違っています。
世間には二世帯住宅は豪邸だという間違った認識があるように思います。何で二世帯住宅=豪邸ということになったのかはわかりませんが、二世帯住宅は、家が大きめになるので、二世帯住宅=豪邸だという間違ったことになったのかもしれません。
住宅屋の視点で言わせて頂きますと、「二世帯住宅(三世帯同居)は豪邸ではありません。節約をしたい人ほど(分かりやすく言うと貧乏人ほど)、二世帯住宅に住むべき」だと思います。ちなみに、私は二世帯住宅に三世帯同居で住んでいます。
特に、栃木県を含め敷地の広いた地方は、二世帯住宅(三世帯同居)にしやすい土地柄です。それでも、二世帯住宅にしないのは、嫁姑問題や、実の親子同士で仲が悪い等の人間関係があるからだ!ということも分かった上で書きます。
親と別居して、土地を買って新たに住宅を建てるより、親が持っている土地に二世帯住宅を建てた方が、新たに土地を購入するお金は必要ありませんから、どう考えても、土地分は安くなります。同じ金額をかけるなら、二世帯住宅にして良い仕様にする(坪単価をあげる)ほうが、長持ちして暮らしやすい家になります。これは住宅屋でなくても、分かる話だと思います。
また、メンテナンス面から、二世帯住宅と親子別住宅を比較させて頂きます。家を建てると、10年に1度程度は、外装のメンテナンスが必要になります。親と別居して、2軒の住まいがあると、当然メンテナンス費用も2軒分になります。
二世帯住宅のほうが家が大きくても、2軒分の住まいよりは、外壁や屋根の面積は小さくなります。二世帯住宅は足場費用も1軒分。親子別居の2軒分のメンテナンス費用よりも、二世帯住宅1軒分のメンテナンス費用のほうが大幅に安いのは明らかです。
また、二世帯住宅だと光熱費も節約できる。なんと行っても外皮(外壁)面積が小さくなるので、光熱費もかかりにくい。
そう考えると、親子で土地の無い場合も、土地を別々に購入して家を2軒建てるよりも、二世帯住宅にして1箇所に集まって住んだほうが、コストは掛からないことが分かります。二世帯住宅にして三世帯同居で集まって住むことは、弱者の生存戦略なのです。二世帯住宅は豪邸でないことが、分かったと思います。
もう1つ。親子別居の場合、親子の住まいが遠いと、移動にお金と時間が掛かるので、無駄なことが多いです。近くに住んで居るのであれば、二世帯住宅にしたほうが、お得なのがわかると思います。
野田様は野党なので、自民党を批判したいのは分かります。しかし、批判するなら、読む人が納得するようにデータを出して、かつ独自視点を入れた解説も書いてもらいたいです。元総理は、趣味が格闘技観戦で私と同じなので頑張ってもらいたい。とはいっても、私はプロレスが好きなのではなく、ボクシングと総合格闘技が好きなのでした。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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