屋上に、後から建物を建ててはいけない理由は、雨漏りしやすくなるからだ
屋上に物置などの建物を、後から建ててはいけない理由は、雨漏りの原因になるからである。
防水リフォームは、物置等の建物を解体撤去してから行うしかないので、屋上には建物を建ててはいけないという結論になる。
ただし、昔は屋上に建物を建てざるを得ない理由もあったのである。屋上に造った建物と防水の関係について考えてみよう。
屋上の防水リフォームは、10年前後に1度は必要
屋上の床は、防水が施されており、10年前後に1度(実際には10年から15年の間に1度)、屋上の防水リフォームをしなければならない。リフォームを行わないと、劣化して雨漏りするからだ。
勾配のついた瓦屋根、金属屋根、コロニアル屋根も同じで、10年前後に1度は何らかのリフォームが必要である。
街中の家は、敷地が狭いので屋上に建物が必要だった
40年くらい前の、街中の住まいは庭が無いので、物置を屋上に設置することが多かった。
昔は家族も多かったので、屋上に子供部屋を増築したり、物置を造る必要があった。また、おじいちゃんの趣味が盆栽の場合、屋上に鉢がいっぱい並んで、道具を入れる小屋も屋上に造った。
現在は、家族の人数が少なくなり、荷物も減る方向なので、屋上に建物を造ることは、ほぼ無くなっている。
また、これからお話する「屋上に後から造った建物が防水に与える悪影響」が分かってきたことも、屋上の建物が少なくなったことの理由の1つだろう。
敷地が広ければ、物置、子供部屋、盆栽小屋は庭に造る。したがって、屋上に後付けの建物がある家は、ほぼ例外なく、街中で庭の無いお宅である。
屋上の物置が防水に与える悪影響
イナバ物置のように、屋上と一体化せず、置いておくタイプなら、何とか素人でも解体出来るので、撤去して防水リフォームが出来る。
しかし、屋上にコンクリートブロックで基礎を造り、家を造るように、物置等の建物を造ってしまうと、簡単には解体撤去できない。上の写真はイナバ物置のような物置だが、基礎をブロックで造り、建物と一体化している。
物置の基礎は、コンクリートブロックで造られていることが多く、基礎に通風口が空いていたりして、防水が出来ないことが多い。
また屋上の建物の位置が、屋上の端にあったりして、建物と手摺の隙間が狭すぎて、防水職人が入っていけないので施工できないことも多い。
この写真は、一枚目の写真にある物置の裏面の基礎部分。コンクリートブロックで出来た基礎の防水が剥がれているのが分かる。
この物置は1階の庭に設置するタイプであり、屋上に設置することは考えられていない。
また、屋上に後からこの物置を造ったことにより、雨水が流れなくなり、ゴミが溜まり防水を痛めている。土が溜まっているのは、雨水が流れていない証拠だ。
元々、屋上の床には、雨水が排水口まで流れるように、勾配が付いている。そこに建物が建つのだから、建物が邪魔して雨水が流れなくなり、防水が劣化するのは当然のことである。
このように屋上に建物を造ると、雨水が流れなくて防水が傷むばかりか、きちんと防水リフォームもできないので、そこから雨漏りが発生していることがほとんどです。
何度もこのような事例を経験していますが、結局、建物を解体撤去しないと防水リフォームできなくなります。
屋上の建物を壊すときに何が大変か?
建物を解体する前、施主は結構大変である。物置の中の必要なものを別の場所に移動し、いらないものを処分しなければならない。
処分は工務店に依頼するとしても、整理と移動は基本的に施主が行う。屋上だから遠いし、今の季節だと寒い。
また、住宅密集地だと、屋上で解体した建物を下に降ろすのが大変である。
隣の敷地を借りて、足場を架けて降ろしたり、ロープで下に降ろせれば良いが、隣地を借りられないと、解体物を持って室内階段を使うことになる。
階段と床と、傷が付きそうな壁は養生するが、埃は多少室内を舞う。
一度、屋上の建物を壊すと施主は大変さがわかるので、イナバ物置の場合でも、防水工事の後に再設置したことはありません。
屋上やベランダに物を置くと、雨水が流れにくくなるので、劣化の原因になったりします。なるべく物は置かないほうが、防水のためには良いです。
先日見つけたこちらの記事では、美しい”世界の建築”が紹介されている。広い敷地の住宅が多いが、都会の街中では、日本と同じように、屋上に物置等の建物のあるお宅もあるかもしれないと想像した。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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