現場監督が行っている「逆雨乞い(ぎゃくあまごい)」について説明しよう
「雨乞い」・・・日照りが続き,農作物の生育が危ぶまれるとき,神仏に降雨を共同祈願する行事。
「逆雨乞い」・・・現場監督が、(特に梅雨の時期に)工事が順調に進むよう、雨が降らないことを祈願して祈ること。建築では雨が降ると出来ない工事が多く、雨が続くと工期が延びてしまう恐れがある。また晴れている場合でも、工事途中、急に雨が降ってきてしまい、良くない施工になってしまうこともある。晴れることを祈願するのでなく、雨が降らないことを祈願するのが、「逆雨乞い」の特徴である。白装束に赤ふんどしで行うと効果的だと言われている。
「逆雨乞い」をする理由
雨が降らず、無事作業が終了するように「逆雨乞い」をします。特に、基礎工事のスラブ(床)、駐車場のコンクリート打設で、そのコンクリートがそのまま仕上げになる場合や、コンクリート上に3㎜程度の薄い塩ビシートを貼って床を仕上げる場合は、雨が降ってしまうと下地コンクリートがボコボコになってしまい大失敗となる。そうなると数十万~数百万の多額の補修費用が掛かってしまうことがある。補修できれば良いほうで、上手く補修出来ないことの方が多いです。梅雨の時期、降水確率0%の日は、ほとんど無く、急な降雨もあるので、ある意味コンクリートを打設するのは「賭け」である。逆雨乞い」の具体的行動は特になく、脳内でのお百度参りをするくらいである。
「逆雨乞い」の基本行動
現場監督は、施工予定日の3日程前から、気象庁の天気予報、ヤフー天気、ウェザーニュース、日本気象協会、ニフティ天気予報など、主要な天気予報をウェブでチェック。降水確率、降水量、降水時間帯をチェックする。なかでも微妙に降雨時間帯は違うので、何種類かを見て平均値を確認しておく必要がある。
そして、施工当日の予定を頭で組み立てる。コンクリート打設なら、お昼までに打設を完了し、午後は左官の金鏝仕上げ(かなごてしあげ)をして、暗くなる6時半くらいまでには、作業を完了させたいと、段取りを組み立てるのである。降水確率0%の日が全くない中で、施工日を決めるのはハラハラものである。
施工日の前日の夕方5時くらいまでに、明日のコンクリート打設を施工するか中止するかを決める。何せ天気のことである。施工するにしても、中止するにしても、100%正しい選択はない。なぜか、雨を確信し中止とすると、翌日は晴れることが多い。前日に腹をを決めたら、あとは当日朝を待つだけである。
「逆雨乞い」のおかげ。雨が降らず良いコンクリートが打てました
今日の基礎コンクリート打設は、雨が降るのではないかと、昨日からハラハラでしたが思い切って施工しました。何とか雨が降らず(パラパラはしましたが)、塩ビタイル下地のコンクリートが上手に完成しました。
雨と寒さは住宅建築工事に影響します
雨の他には、冬の寒さも大きく工事に影響します。外壁の左官工事と駐車場等のコンクリート土間工事は、冬ま寒さに影響されます。寒い時期にコンクリートやモルタルを使うとキチンと固まらないこともあるです。キチンと固まらないと、コンクリートやモルタルの表面が剥離したり、ヒビが入ったりします。
ですから、冬場はコンクリートとモルタルの工事はなるべく行わずに、思い切って暖かくなる春にコンクリートやモルタルの施工をしたほうが良いです。しかし、冬にコンクリートやモルタルの施工を行わないことは、施主の生活や、職人の予定等を考えると難しいことも多い。だから、冬の時期のコンクリートやモルタルの施工は、最初からゆとりある工期を組んでおくことが重要である。モルタル外壁は、雨や寒さに影響されるし、職人の手仕事ということで技量にも影響される。そのため、窯業系サイディングという気温や雨に影響されにくく、職人の技量にも、さほど影響されない建築部材に取って代わられた面もあると思われる。ただし、窯業系サイディングは、売れなくなると必ず廃盤になるので、交換等のメンテナンスが出来ないことが痛手である。建材メーカーとしては、売れない建材を残しておけないのだ。20年後に残っている窯業系サイディングは皆無である。逆に職人の手仕事であるモルタル外壁は、メーカー建材でないために、廃盤になる心配がなく、長期間の補修やメンテナンスができる利点がある。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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