2025-02-08
日常のお手入れ
自然素材

オスモカラー公式限定動画で学ぶ!室内クリアー塗料の重要ポイントまとめ

自然塗料で有名なオスモ&エーデル社の公式YouTubeにて、プロ向けに限定公開されていた動画3本を視聴しました。

なかでも特に参考になったのが、『もう迷わない!オスモカラー内装クリアーの使い分け徹底ガイド』という動画です。これは、最も身近で使用頻度の高い室内木部のクリアー塗装(透明塗料)について解説した内容でした。

オスモの室内用クリアー塗料は4種類以上あり、それぞれの違いが分かりにくいため、プロであっても最適な塗料の選択に迷うことがあります。こうした悩みを解消するために、「もう迷わない!」というタイトルが付けられているのです。

動画の中で、特に大切だと感じた部分を抜粋し、ブログにまとめました。

室内自然塗料を選ぶ時の、参考にしてください。

限定公開にしていた理由は、同業他社の名前を出して、違いを説明していたからだと思います。

オスモカラーとは?

オスモカラーは、ドイツのオスモ&エーデル社が製造している木材用の塗料です。室内では、主に無垢の木材か、仕上げべニア材か、カウンターの集成材に塗ります。

この塗料は、特に木材の保護と、木材の自然な美しさを引き出すことを目的としています。

〇オスモカラーの特徴

1. 自然素材: オスモカラーは、植物油を主成分としており、環境に優しい製品です。

2. 耐久性: 優れた耐水性と耐摩耗性を持ち、屋内外での使用に適しています。

3. 色の選択肢: 今回のブログは、クリアー(透明色)の話を書きますが、多彩な色合いがあり、木材の質感を生かしながら、好みの色に仕上げることができます。

4. メンテナンスの容易さ: 定期的なメンテナンスが簡単で、再塗装が容易です。

〇オスモ&エーデル社の成り立ち

オスモ&エーデル社は、1964年にドイツで設立されました。日本では、35年前の1990年から輸入販売開始されています。

当社では、塗料の他にも、窓の外に付ける日射遮蔽「外付電動ブラインド ヴァレーマ」もオスモ&エーデル社のものを使っています。

外付電動ブラインド ヴァレーマ写真

外付電動ブラインド ヴァレーマ

オスモカラーの説明PDF

当社がオスモカラーを採用した理由

造作家具、塗装作業中

10年前の2015年、それまで依頼していた塗装職人が、高齢になり仕事を辞めるので、塗装工事の依頼先を変更しました。

新たに依頼した塗装業者の社長から、「室内の木部塗料は必ずオスモカラーにしてください」とメーカー指定されたため、やや強引な印象を受けました。しかし、良い塗料なのだろうかと考え、オスモカラーを採用することにしました。

その職人は、長年オスモカラーを使い慣れており、塗りやすいと感じているそうです。さらに、オスモカラー専用の刷毛も一通り揃えているとのことでした。オスモカラーは、他のメーカーの塗料と比べて「拭き取り」の作業工程が不要です。 そのため職人の手間が省けるうえに、拭き取らないので塗膜がしっかりと形成されるので、耐久性があります。

当社はオスモカラーを使うまでは、リボス、ワトコオイル、ナチュラル等の自然塗料を使ってきました。

オスモカラーは、塗りっぱなしで乾くので「拭き取り」不要!薄い塗膜が出来て、木材保護力にも優れるのが最大の特徴

よく考えてみると、自然塗料の「拭き取り」の工程は、非合理的な工程だと思います。

「拭き取り」とは、塗料を塗布した後に、わざわざ塗料を拭き取る作業を指します。

この工程は、余分な塗料を拭き取って除去し、塗料の仕上がりを整え、均一な仕上がりを実現するために行うと言われていますが、デメリットもあります。

拭き取りは、以下のような手順です。

1.塗布: 自然塗料を刷毛やローラーを使って、対象物に均一に塗布します

2.乾燥時間の確認: 塗料がある程度乾燥するまで待ちます。乾燥時間は塗料の種類や環境によって異なります。

3.拭き取り: 乾燥が進んだ後、柔らかい布やウエスを使って、表面に残った余分な塗料を優しく拭き取ります。この際、塗料が完全に乾燥する前に行うことが重要です。

4.仕上げ: 拭き取り後、必要に応じて再度塗布を行ったり、仕上げのコーティングを施したりします。

この「拭き取り」工程によって、自然塗料の持つ特性を活かしつつ、美しい仕上がりを実現することができると言われています。

ただし、「拭き取り」を行うことにより、工程が増える上に、拭き取った塗料は無駄になるデメリットがあります。

木に浸透するよりも多いと思われる塗料を、わざわざ拭き取った上で捨ててしまうのは、勿体ないと思います。

それに対して、オスモカラーは木材に浸透する上に、乾きが早いので「拭き取り」の必要がないのが、最大の特徴であり、メリットです。

オスモカラーは、独自の成分と技術によって、他の自然塗料とは異なる特性を持っています。

植物油(主にひまわり油と大豆油)を主成分としており、溶剤成分は少ない。これにより木材に浸透しやすく、拭き取らないことにより、表面に薄い膜を形成するので木部を保護出来ます。

溶剤(ようざい)とは、主剤を適正な粘度にして、塗りやすくする材料

拭き取り工程が無いので、職人が楽な上に、塗料が無駄になりません。

他の自然塗料は、拭き取りを行うために、薄い塗膜が出来にくいので、木材保護力が劣ると言うことになます。

当社では、フローリング塗料は、4種類のクリアー塗料の中で、上記動画のフロアクリアエクスプレスを使っています。早く乾くので1日で2回塗装出来ます。

室内の木部塗装が多い住宅は、長持ちする可能性が高い住宅である!

無垢材を塗装中。無垢材の多い住宅は、塗装が多く、長持ちする可能性が高い住宅である

現在、多くの家の室内木質建材は、新建材が使われることが多いです。新建材とは、無垢の木材ではなく、合板の芯材に、木目がプリントされた塩ビシートが貼られたようなものです。

新建材は、木材表面が塩ビシートなどで仕上がっているため、塗装工事が必要ありません。かつ、無垢木材のように、製材→仕上げ加工→塗装という工程が無く、買ってきて組み立てるだけなので、早く仕上がり、安く住宅が造れます。

ただし、早く安くできる新建材を使った住宅は、耐久性がなく長持ちしません。

新建材の表層にある、木目の塩ビシートは、15年くらい経つと、劣化して剥がれたりすることがあります。その安っぽい経年劣化は、大規模リフォームや建替えの原因の1つになります。

対して無垢木材や、造作建具や造作家具は、塗装をすることによって完成します。完成するまでに手間は掛かりますが、経年変化で変形しても、表面を削れたりして修理が効く可能性の高い、長持ちする建材です。対して、塩ビシートは削ったり出来ません。室内の無垢木材が多い住宅(木部塗装が多い住宅)は、長い目で見ると、修理が効くことで、大規模リフォームや建替えを避けられるので、お得だと感じています。

新建材のデメリットは以下のブログをご覧ください。

心に響いた!オスモカラー動画で見つけた名言&感動フレーズ15選

1.オスモカラーの一番のストロングポイントは安心・安全であることはもちろんのこと、木材保護力に優れている点です。

2.オスモカラーは乾燥が早いので、他の塗料のように「拭き取り」の工程がなく、浸透と共に薄い塗膜も出来て、木材保護力に繋がる。

3.拭き取りの工程が無いので、塗装職人が楽で、塗料も無駄にならない。

4.植物油脂系の塗料でありながら、耐久性に優れており、床用に設計されたフロアクリアとフロアクリアエクスプレスは、ウレタン塗料と同等のUC適合品になっている。なので、水廻りカウンターにも使える。ウレタン塗料と違い、再塗装する場合は重ね塗りが出来る。

※ウレタン塗料とは、ウレタン樹脂を主成分とする化学的塗料で、強い塗膜を形成するが、室内耐用年数である約15~20年を過ぎると、再塗装が必要。再塗装は、強い塗膜を全て剥がして行うので、手間が大変である。既存塗膜を剥がすので、とてもメンテナンスコストが掛かる塗料とも言えます。

※UC適合品とは、国土交通省建築/木造工事標準仕様仕様のUC塗り品質規格適合品

塗料の「UC適合品」における「UC」は、ウレタンコーティングの略です。UC適合品は、特定の基準や規格に適合した塗料を指し、さまざまな用途や環境に対応できる特性を持っています。これにより、塗料の選定や使用がより効率的かつ安全に行えるようになります

オイル塗装とウレタン塗装の違いは?選ぶ際に見るべきポイント

5.オスモカラーは、主剤のひまわり油と大豆油が55~70%と多く、溶剤の量は少ないのが特徴

6.オスモカラーは、塗料成分表が添付されている塗料である。他のメーカーは成分表が出ているか確認をしたほうが良い。

オスモカラー成分表

6. オスモカラーは、刷毛(はけ)やこて刷毛だけでなく、ローラー塗装も出来るので、より施工が時短になった。ローラーの種類は、大塚刷毛(おおつかはけ) のマイクロエース毛丈6ミリとマイクログランデ毛丈7ミリが良い。エクストラクリアは、溶剤が多く塗りやすいので、マイクロエース毛丈6ミリを使う。他の塗料はどちらでも良い。

※大塚刷毛は、刷毛のトップメーカー

8.フローリングとカウンターは、歩いたり、水が掛かったりしてハードに使われるので、フロアー系塗料(フロアークリアかフロアクリアーエクスプレス)か、カウンタートップオイルを2回塗りする。その他の部分に塗る室内塗料は、1回塗りで良い。

9.室内塗装がほぼ無い新建材を多用した住宅であっても、カウンタ天板くらいは、塗装の必要な集成材や無垢材などを使うことがある。その場合、カウンター専用塗料のカウンタートップ専用オイル(テーブル天板専用オイル) は、0.5L缶で少量売りされているので、使いやすい。

カウンタートップオイル

10.ローリング塗料仕様について。フロアークリアは塗った後、通常12時間しないと乾かないので、施工は2日掛かりとなる。対して、早く乾くフロアークリアエクスプレス♯3362を使うと3~4時間で乾くので、2回塗りしても、1日で完了する。2種類の床塗料に、耐久性と仕上りの差はない。

11.当社の室内塗料仕様について。床と水廻りカウンターは、フロアークリアエクスプレス♯33622回塗りしている。2回塗りしても、1日で塗装が完了するので良い。

12.当社は、室内のドア枠・窓枠・巾木・ドア・家具は、ノーマルクリア♯31011回塗りで仕上げている。ノーマルクリア♯3101は、エクストラクリア―♯1101よりも、粘度が強めで、少し塗りにくいが、木材保護力が強いのが良い。エクストラクリア―♯1101は溶剤が多いので塗りやすいが、ノーマルクリア♯3101に比べて、木材保護力が弱い。

13.フロアークリアエクスプレス♯3362とノーマルクリア♯3101の2種類が、当社の室内ベストバランス塗料で間違いない。今まで通りの塗料で良いことが確認できた。

14.オスモ仕上げの肌触りが良い理由は、動摩擦係数0.39で、他の種類と比較して、一番低いためである。山形大学と共同研究

15.テーブル天板やカウンター天板に塗れる、フロアクリアーエクスプレス、フロアクリア、カウンタートップオイルの3種類は、ウレタン塗装に比べて、テーブル上の液体や熱変性による、輪染みが出来にくい。

オスモカラーは、主に植物油とワックスを基にした自然な仕上げ材であり、ウレタン塗装とは異なる特性を持っています。以下の理由から、オスモカラーはテーブル上の液体や熱変性による輪染みが出来にくいとされています。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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