2025-01-28
防水・雨漏り対策
高断熱・高気密住宅
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珍しい?!「付加断熱住宅の、バルコニーの納まり図」と付加断熱マニュアル12種類を掲載します

先日のブログに書いたように、当社は、付加断熱を基本仕様としていますが、機能やコスト面から、バルコニーは設置していません。

そのため「バルコニーのある付加断熱の家」を施工したことがありません。

しかし、施主から「バルコニーのデメリットは理解したが、どうしてもバルコニーが欲しい!」と要望されたら、造らざるを得ません。

バルコニーを造る可能性は少ないですが、万が一造る際、設計・施工マニュアルとして使える、「付加断熱の家の、バルコニーの納まり図」を、ぼんやりと探していました。

今回初めて、真剣にネット検索をして、「付加断熱+樹脂サッシの家の、バルコニー部の納まり図」を見つけましたので、ブログを書きます。

ネット上には、12のサッシを含んだ納まり図がありましたが、「付加断熱+樹脂サッシの家の、バルコニー部の納まり図」を掲載していたのは、サッシメーカーのYKKの1社のみでした。

※上記カタログは、APW 樹脂窓シリーズカタログ(工法編)。付加断熱工法を紹介したツール。参考納まりを掲載し、付加断熱工法を紹介したもの。発行年月:2017年05月

※納まり図(おさまりず)とは、建築やインテリアデザインで使われる図面の一種で、部材や構造がどのように組み合わさるか、接続する部分を詳しく表した図面です。主な用途は、設計及び施工時の検討用に描いたり、施工時に職人が使ったり、施主への説明時にも使われます。

付加断熱住宅の、バルコニーの納まり図を探していた理由

探していた理由は、「付加断熱の家のバルコニー部分」は、断熱・気密はもちろん、防水(雨漏り対策)も絡んでくる重要箇所なので、付加断熱住宅の一般部と比べて、色んな要素が絡んで、設計・施工が難しい箇所だからです。

比較的難しい箇所である、「付加断熱の家の、バルコニーの納まり図」の、他人が作った模範解答だと思われる納まり図を、見ておきたかったからです。

付加断熱工法の一般部の納まり図は、複数の断熱材メーカーや、業界団体が出しており、何度も見たことがありました。しかし「付加断熱住宅のバルコニーの納まり図」だけは、見たことがありませんでした。

そのマニュアルの表紙が上記です。

最近は、バルコニーのある家が、減少傾向ですが、バルコニー部は、大切な箇所なので、建材メーカー各社が「付加断熱のバルコニー部の納まり図」を掲載していても不思議でありません。しかし、何故か掲載していないという不思議な状態でした。

付加断熱自体が、これから普及していく工法なので、現在はマニュアルも充分でなく、今後バルコニー部が掲載されるのかもしれません。

付加断熱+樹脂サッシの家、バルコニー部の納まり図

樹脂サッシに力を入れているサッシメーカーYKK1社のみが、付加断熱の家の、サッシを含んだバルコニーの納まり図を出していました。2種類掲載します。

バルコニー下が全て部屋の場合の納まり図
バルコニー下の階の一部が外部の場合の納まり図

違いは、バルコニー下が全て部屋の場合と、バルコニー下の一部が部屋の場合です。

YKKの「付加断熱住宅の、バルコニーの納まり図」が載っているカタログはこちら

https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/CatalogDetail.do?method=initial_screen&type=clcsr&volumeID=YKKAPDC1&catalogID=7041100000&designID=pro

断熱・気密と同じように、防水も大切

このカタロのP31には、「高断熱の家を考えると、断熱・気密を優先してしまい(それより同等以上に大切な)、雨漏り対策(防水)を後回しにしてしまうので、そうならないようにすることが大切である」と、とても重要なことが書かれています。

上記に貼った納まり図の赤囲いには、バルコニー部分の、防水とサッシのどちらを先に施工するかも書かれており、この納まり図では、サッシを先に取り付けてから、防水は後と書かれています。

現在の主流は、防水をしてから、サッシを取り付けるという順番なので、次回のブログでは、バルコニーの防水とサッシ、どちらを先に施工するか?を書く予定です。

ネット上の付加断熱マニュアルは12種類

私がネット検索した範囲では、現在12つの会社(団体)の付加断熱の設計・施工マニュアルがありましたのでアドレスを掲載しておきます。

付加断熱マニュアルを出しているとすれば、断熱材メーカー・サッシメーカー・左官仕上げ一体型外張り断熱工法とそれぞれの業界団体、断熱工法研究団体です。

もっと多くの付加断熱マニュアルがあると思っていましたが、数が多い、左官仕上げ一体型外張り断熱工法を割愛すると、現在12のみでした。

付加断熱は、今後普及していく断熱工法だと思います。

付加断熱マニュアルを出している建材メーカーや業界団体は、高断熱・高気密住宅に本気で取り組んでいると思います。

1.フェノバボード(発泡プラスチック系断熱材)バルコニー納まり図ありP22 https://www.fukuvi.co.jp/application/files/2116/0854/1747/phenova-mokuzou-fuka-sekou.pdf

※フェノバボード断熱材の施工要領書にはサッシの掲載は無いものの、バルコニー部の納まり図はありました。

2.パラマウント硝子工業(繊維系断熱材)バルコニー納まり図なし

https://www.pgm.co.jp/data/pdf/top_200mmmanual.pdf

3.サーマックス(発泡プラスチック系断熱材)バルコニー納まり図なし

https://www.inoac.co.jp/thermax/download/files/pdf/thermax_dannetsu3.pdf

4.ウッドファイバー(木部繊維断熱材) バルコニー納まり図なし

https://www.woodfiber.jp/dl/pdf/manual2022.pdf

5.エコサーム(木造透湿型湿式外断熱) バルコニー納まり図ありP24→木造透湿型湿式外張り断熱

充填断熱も行うことで付加断熱となる。木造透湿型湿式外張り断熱は、多数のメーカーがあるので他社は割愛。木造透湿型湿式外張り断熱は、私の廻りでは少ないが、付加断熱の一大勢力なのかもしれない。

https://www.catalabo.org/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=CATALABO&catalogId=31157330000&pageGroupId=6&catalogCategoryId=&keyword=

6.アクリアα105(充填断熱:繊維系断熱材)+ネオマフォーム100(付加断熱:発泡プラスチック系断熱材) バルコニー納まり図なし。充填断熱を繊維系断熱材で、付加断熱を発泡プラスチック系断熱材で行う施工例

https://g3way.co.jp/wp/wp-content/themes/akk_lp_wp/pdf/dl-2.pdf

7.YKK APW (樹脂サッシ) バルコニー納まり図あり 一番詳しいP28.29

https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/CatalogDetail.do?method=initial_screen&type=clcsr&volumeID=YKKAPDC1&catalogID=7041100000&designID=pro

8.YKK APW(樹脂サッシ) インセット納まり 、バルコニー納まり図なし

https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/CatalogDetail.do?method=initial_screen&type=c&volumeID=YKKAPDC1&categoryID=5882630000&catalogID=12202220000&sortKey=CatalogMain520000&sortOrder=DESC&position=7&designID=pro&searchMode=manual

インセット納まりとは、サッシを付加断熱の外側に設置するのでなく、充填断熱の外側に設置する納まり

9.断熱建材協議会(断熱材団体)バルコニー納まり図なし

https://www.dankenkyou.com/asset/00032/kousyuukai/20190207_fukadannetsu.pdf

10.硝子繊維協会(断熱材団体)バルコニー納まり図なし

https://www.glass-fiber.net/pdf/dannetu_manual_add.pdf

11.日本ツーバイフォー建築協会(工法団体)バルコニー納まり図なし

https://www.2x4assoc.or.jp/technology/energy-saving/file/fukadan.pdf

12.新住協 Q1.0住宅設計施工マニュアル(高断熱住宅技術研究団体)バルコニー納まり図なし

付加断熱マニュアルとしては一番詳しいですが、何故かバルコニー納まり図なし。有料

付加断熱とは?

付加断熱(外張り断熱)
付加断熱施工前

付加断熱とは、外壁下地の断熱仕様のことで、柱間に設置する充填断熱にプラスして、柱の外にも外張り断熱として、断熱材を付け加える工法です。

充填断熱と外張り断熱を組み合わせたものが付加断熱です。外張り断熱部分のみを付加断熱とも言います。付加断熱は、ダブル断熱(W断熱)とも言われています

付加断熱のメリットとデメリット?

付加断熱のメリットは

  1. 断熱性能が高くなり、熱橋と言われる熱が逃げてしまう部分が少なく出来る
  2. 断熱性が高くなることにより、室内が快適で、ランニングコストも安くなる

付加断熱のデメリットは

  1. 外壁下地が厚くなり、建物のアウトラインが大きくなるので、狭小敷地に建築しにくい
  2. 施工手間と材料が多くなるので、建築コストが上がる

当社の付加断熱仕様

当社は付加断熱を基本仕様としています。

当社の外壁下地の断熱仕様は、充填断熱を高性能グラスウール厚さ105mm+外張り断熱を高性能グラスウール厚さ105mmで、合計厚さ210mmの断熱としています。

当社の壁の断熱仕様は、充填断熱105mm+外張り断熱105mm=付加断熱210mm

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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