2021-12-19
Q1.0住宅 宇都宮昭和の家(宇都宮市)
高断熱・高気密住宅

Q1.0住宅 宇都宮昭和の家「出勤前と帰宅後のルーティンワークを、収納と動線で楽にする」

外観パースだけでなく、必ず模型を作って外観の確認を行う

このwebを見てお問い合わせ頂き、設計契約した「Q1.0住宅 宇都宮昭和の家」。

基本設計が完了したので、ブログで紹介します。

豊富な収納と回遊式動線で、出勤前と帰宅後のルーティンワークを、より楽に行えることを目指した延床面積26.75坪の小さな家です。

宇都宮市の中心市街地、街中の準防火地域内に建つ、間口3.5間×奥行4間のコンパクトな総2階のQ1.0住宅。

吹抜・小屋裏・玄関ポーチを入れた施工床面積は30.5坪です。

※準防火地域とは?

準防火地域は、郊外よりも住宅などの建物が密集している、火災が起きた場合に延焼しやすい、中心市街地に設定されています。そのため外壁・窓・玄関ドア・軒天・換気フード等を、郊外の住宅よりも、燃えにくい仕様で造る必要のある地域です。

出勤前と帰宅後のルーティンワークを、収納と動線で楽にする

忙しいご夫妻の出勤前のルーティンワークを、ペニンシュラキッチンを中心に回遊式動線を作り、豊富な収納と水廻りを配置して、なるべくスムーズに行えるように計画しました。

朝起きて時計回りに動くと、朝食を食べて身支度してから出勤できるような動線にしています。

逆に、帰宅後は反時計回りに動くと、荷物を置いて→手を洗い→服を脱いで、ダイニングキッチンに行くような動線になっています。自然と各所にモノが片付き、リラックスできるような間取りにすることを意識しました。

回遊式動線は、お互いの動線が重なっても回避しやすい

外観パース

家事は大抵、並行して作業をすることが多くなります。特に、共働きの平日の朝は忙しい。回遊式の行き止まりの無い動線は、動線が重なっても回避しやすいというメリットがあります。

設計前の要望書のやり取りと、お宅訪問が重要

設計契約後は、「住宅調書」という要望書を書いて頂き、私がそれを読んでから、疑問点等を施主とメールでやり取りします。

その後、敷地が決まっている場合は、現在のお宅を訪問して、暮らしぶりや、要望書のリストに上がっている持ち込み家具等を見せてもらいます。

新築後に、暮らし方が180度変わる人は居ません。新築後の生活も、現在の生活の延長になる部分が殆どなのです。平日と休日の1日の具体的な流れを聞いた後で、一緒に現在のお宅の各部屋を廻り、雰囲気と収納等を見ておけば、大いに設計の手掛かりになります。

要望書を読んでやりとりし、住まい手と造り手が、ある程度考えを整理できた上でお宅に訪問すると、より具体的な話が出来ます。ですから、要望書のやりとりと、お宅訪問は重要視しています。

Q1.0住宅 宇都宮昭和の家では、要望書とお宅訪問から「出勤前と帰宅後のルーティンワークを、収納と動線で楽にする」ことが、プランのメインテーマになりました。

敷地特性と住宅性能

南西から建物を見る

断熱はいつもの210mm付加断熱のQ1.0住宅+省令準耐火仕様。

宇都宮の中心市街地の住宅ですが、広い南道路に面しており、冬の日射取得は充分出来る環境です。住宅が密集しがちな街中の住宅では、真南から充分に日射取得できることは多くありません。

真冬の夜に20度以上に暖められた室内は、断熱性能の高さから翌朝無暖房でも18度以上の室温が保たれており、暖房せずとも日の出と共に、19度・20度・・と室温が上っていく予定です。

夏は、逆に大きな1階南窓の庇に外付スクリーンを組み込む工夫をして、日射遮蔽を的確に行えるように計画しています。2階の吹抜け窓にも電動ブラインドを設置して日射遮蔽を行い、夏はエアコンを連続運転して涼しい室内を保ちます。

南側の吹抜けを介した開放的な間取りになっており、暖房用の床下エアコン1台と、主に冷房用の小屋裏の壁掛けエアコン1台の、合計2台で全館暖冷房が可能。今回、初めて床置エアコンを床下に半分入れる方法でなく、壁掛用エアコンを床下エアコンとして採用する予定です。

普通の家のように、建物の外にLDKと個室分の室外機が多数並ぶような、殺風景なことがありませんし、エアコンは2台のみなので、買い替えの頻度も減らすことが出来ます。

ちなみに、下のアドレスは、当社設計施工のQ1.0住宅のブログです。両隣を3階建てのビルに挟まれた、真南からの日射取得が「しずらい」街中の住宅の真冬の温度変化の記録です。朝は無暖房時でも室温は18度以下にはなりにくく、日射取得できれば暖房せずとも、自然と室温が上がっていくことが分かると思います。

https://yoshidacraft.net/blog/11619/

省令準耐火仕様&許容応力度計算による耐震等級3として、火災保険料が安く、地震にも強い住宅となる予定。

断熱性能や耐震性能だけではない、豊富な収納+間取りの工夫による自然に片付く室内と、施主好みのインテリアにすることによる、情緒的な心地よさも目指す住宅です。

白とゴールドとグレーのインテリア

施主が、白とゴールドとグレーのインテリアが好きなことから、珪藻土の白・真鍮(しんちゅう)金物のゴールド、一部のドアをグレーとして、意中のインテリアに近づけます。

低い天井は2.1~2.2Mとして、吹抜と勾配天井でメリハリを付ける

高さ2.2Mの天井

施主の希望により、1階の天井高さは全て2.2Mと低く設定。履き出しサッシの高さに、室内ドアと天井の高さを合わせてドア上と窓上の「下がり壁」を無くし、部屋同士が連続するようにして欲しいという施主からの要望でした。畳スペースの天井高さは2.1Mです。

低い天井のみだと室内が狭く感じてしまうので、低い1階の天井→吹抜け→2階の勾配天井と、部屋を進むにつれて、徐々に空間のボリュームが大きくなるように計画しました。

低い天井と高い天井で空間にメリハリが付き、平均的な2.4mの天井高さの家よりも、広く感じることを期待しています。施主好みの名作照明が何個か付くことになるかもしれません。

低い天井と吹抜けを組み合わせると、逆に室内が広く感じるという話は、こちらのブログをご覧ください。

造作洗面化粧台の配置と使い勝手が、出勤前の時短と化粧に影響する理由

南東から建物を見る

要望書の段階から、奥様が洗面化粧台の配置と使い勝手に拘っていたのが印象的でした。

洗面化粧台を「出来れば玄関とトイレの間にして欲しい」という超具体的な配置の要望と、これくらいの寸法のカウンター上のスペースが欲しいという、これまた具体的な要望があったのです。

要望書上では、「なぜ洗面化粧台の配置に拘るのかが分からなかった」のですが、お宅に訪問して平日の具体的な洗面化粧台の使い方をお聞きしたら、手に取るようにその意味が理解できました。奥様は出勤前と帰宅後に必ず使う洗面化粧台を、朝の動作の中で使いやすい所に配置させようと考えていたのです。

文字通り、「洗面化粧台」とは「洗顔や化粧、髪の毛のお手入れといった身支度をしやすいよう、洗面ボウルに収納や小物置きがある鏡台の機能が追加されたもの」です。

平日の朝、洗面化粧台の前で化粧をする方の場合、普通の3面鏡では、「どうしても照明の位置が悪くなりがちで、顔に影が出来てしまい、とても化粧がしづらい」ことが理解できました。私は男なので化粧をしたことが無く、「照明と鏡の位置関係の悪さに由来する、化粧のしづらさ」を全く知らなかったのです。

今後、洗面化粧台前で化粧をする方には、「化粧しやすい、鏡自体にLEDライトが内蔵された、顔が影になりにくく、化粧がしやすい3面鏡」を提案する予定です。これだけでブログ1本書ける内容なので、後日ブログにします。

毎日の出勤前の忙しい時間に、短い時間で合理的に化粧ができれば、値段が多少高くても施主にメリットがあります。この造作洗面化粧台にも使えるLED3面鏡は、当社の標準仕様になるかもしれません。とても勉強になり、施工中の施主にも提案しました。

小さめで坪単価が高い家を目指すべき

南から建物を見る

家の大きさは、一番建築費用に影響します。ですから、初めてメールで問い合わせがあった時に、当社で造ることが多い広さの住宅の、ザックリした価格をお知らせして、方向性と価値観が合いそうな方とお会いするようにしています。

ちなみに、初めての問い合わせで、「35~40坪の住宅で考えている」など、広さの要望を真っ先におっしゃる方や、「どうしても平屋が良い」と、初めにおっしゃる平屋信仰の方とは、今のところ、予算の関係から契約になった記憶がありません。平屋は、屋根と基礎の面積が総二階の倍になるので、広い家と同じように金額が高めになります。

当社は、新築のみを行う住宅会社ではなく、リフォーム工事も行っているので、他社で新築した方も含めて、様々なお宅の、その後の様子を見て知っています。

子供が居ても、何年後かには夫婦2人になり、最終的には1人になります。大きめな家の場合、住まい手の身体が動かなくなると管理しきれず、毎週のようにお子さん等(お子さんの年齢も60歳台以上が多い)が掃除や片付けに来ることになりがちですし、大きめな家は庭も広い場合が多く二重に大変です。ですから、大きな家と比べて、新築費用が掛かりにくく、維持管理もしやすいという点から、人数にもよりますが、広くても30坪前後の小さな家をおススメしています。

冬暖かく夏涼しく身体が楽で、メンテナンス費用が掛かりにくく、長持ちする家を建てたいなら、「結果として小さく坪単価が高めな家」になるはずです。私が「小さな坪単価が高い家が良い家だ!」と言うと、一部の方からは、脊髄反射で反発されそうですが、上記の家が希望なら、よく考えると、自然とそうなることが分かります。

35坪のプランを30坪に絞り込む

大いに話がそれましたが、Q1.0住宅 宇都宮昭和の家の場合、要望からプランを作る前に広さを検討したところ、吹抜等を入れた、施工床面積で35坪になりました。設計契約書に書かれた、予算と状況から割り出した建物の広さは28坪程度の予定だったので7坪もオーバーです。実際にプランしてみたら、案の定35.07坪になりました。

それではプラン提出が出来ないので、大切な要素を壊さないように、まずは31.56坪まで絞り、その後、なんとか28.5坪まで絞りこんで、絞り込む過程のプランも全て提出しました。

いつもは、最終プランの1つのみを提出するだけで、過程のプランは施主には見せないのですが、今回はプラン作成の過程も見て頂いたほうが、余分な部分を削って、大切な要素を残したことが分かると感じてお見せしました。

プラン提出後に、勾配天井の要望が出て、ロフトの2坪が増えて30.5坪で基本設計完了となりました。

「Q1.0住宅 宇都宮小幡の家」と「Q1.0住宅 真岡の家」も基本設計が完了したらブログを書く予定です。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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