コンクリート土間に、あらかじめステンレスレールを埋め込んで引違戸を造る方法
先日、土間コンクリートを打設した車庫(ガレージ)の中には、収納を設けて、細々(こまごま)したモノを収納する予定である。収納扉は引違戸とした。引き戸や引違戸は、開き戸と違い開閉に場所を取らないので、小さな家でも大きく暮らせる必須アイテム。私は小さな高性能住宅を造ることが多いので、住宅のドアは、造作の引き戸と引違戸とすることが多い。
当然、車庫(ガレージ)でも、引き戸と引違戸はスペースを有効活用できるアイテムとなる。今日のブログは、コンクリート土間に、あらかじめステンレスレールを埋め込んで引違戸を造る方法について書きます。
コンクリート土間に埋め込むステンレスレールは、一般の建築金物店やジョイフル本田等のホームセンターには在庫していない「珍しい建築金物」です。
まずは、引き戸と引違戸には「吊り戸」と「従来の引き戸(床面レール引き戸)」という、2種類のドアの設置方法(移動方法)があるので、そのメリットとデメリットから説明し、なぜ「今回は吊り戸にしなかったか」を書きます。
引き戸にする場合、ドアの移動方法は2種類
車庫内の収納扉も引違戸として、スペースを有効に使っている。引違戸や引き戸にする場合、ドアの設置方法(移動方法)は2種類ある。
1つは住居部分でも採用した「吊り戸」。もう1つは床面に金属レールを設置して、レール上をドア下に付けた戸車で移動させる「従来の引き戸(床面レール引き戸)」。
引き戸の移動方法には大きく分けて、この2つがある。どちらにもメリットとデメリットがあるので比較し、今回どうして「従来の引き戸(床面レール引き戸)」にしたのか理由を書きます。
「吊り戸」のメリットとデメリット
目次
吊り戸のメリット
- 吊り戸の一番のメリットは、床面に金属レールや、敷居と呼ばれる溝を掘った木材が無くなるので、床面がスッキリして、部屋同士に連続性がでること。室内がシンプルに見えることにもつながる。
- 床面にレールや敷居の凹凸がなくフラットになるので、より歩きやすい。
- 床面にレールや敷居の溝が無いので、ゴミが溜まることがない。
- 吊り戸は文字通り吊られた戸であり、「従来の引き戸(床面レール引き戸)」のように上下2面が他の建材に接していないので、ドアが反りやすいのかと考え採用を躊躇していたが、今のところ建具の反りは出ていない。
- SH-houseの住居部分は全て吊り戸にしており、上記のメリットが実感できたので、今後は吊り戸が標準仕様となる。
- 小さな家は、室内をよりシンプルに広く感じさせたいので吊り戸を採用するのが良いと思います。
吊り戸のデメリット
- 吊り戸専用のレールと金物が必要なので、「従来の引き戸(床面レール引き戸)」より少し値段が高め
- 外部で使う場合、吊り戸は床に接していないので、風により動きやすく音がしやすい。その点、「従来の引き戸(床面レール引き戸)」は、ドア上端の鴨居と床面レールの上下2面が接しているため、風が吹いた場合でも吊り戸より動きにくいので音がしにくいと考えた。今回はこの点を重視して吊り戸でなく、「従来の引き戸(床面レール引き戸)」としました。鍵も付けるので、よりドアは動きにくくなるはずである。
- ガラス戸にする場合は、ドアが重くなるので、ベアリング付の戸車にするなど、普通の吊り戸車より、少し値段が高くなる。
「従来の引き戸(床面レール引き戸)」のメリットとデメリット
「従来の引き戸(床面レール引き戸)」のメリット
- 吊り戸より金物が少ない分、値段が安め。
- 敷居や床レールを埋め込むと、それが「区切り」となり、それぞれの部屋の床のリフォームを行いやすい。
- 外で使う場合は、風による音がしにくい(と思う)。
「従来の引き戸(床面レール引き戸)」のデメリット
- 床レールにゴミが溜まりやすいく、吊り戸と比べると少し掃除がしにくい。
- 床面にレールがあるので、室内がシンプルに見えにくい。
土間コンクリートに埋め込んだ、ステンレス甲丸レール(こうまるレール)とは?
コンクリートに埋め込んだ「ステンレース甲丸レール」はコレ。名前は、オールステンレス甲丸プラントレール足付。
「甲丸(こうまる)」の意味は、楕円形を半分にカットしたような、凸型断面の形のこと。「プラント」の意味は「植える・埋め込む」。オールステンレス甲丸プラントレール足付の意味は、「全てステンレスの楕円形の足付埋込レール」となる。これは引違戸用でレール2本だが、引き戸用のレールが1本のモノもある。
コンクリート土間に、あらかじめステンレスレールを埋め込んで引違戸を造る方法
今回は、車庫土間のコンクリートを打設する前、伸縮目地を入れた時にステンレスレールも設置した。引違用はレールが2本なので、あらかじめレール間の寸法を建築金物店に伝えて設定してもらいます。この引違戸の場合のレール間寸法は36ミリに設定した。引き戸1枚のドア厚さ33ミリ+ドア同士の隙間3ミリで36ミリ。
珍しい建築金物なので、一般の建築金物店やジョイフル本田等のホームセンターには在庫していないから、早めに手配しておく必要がある。
埋め込む前に、引違戸がどのような寸法で納まるかを、仕上げ材から追って計画し、図面を描いてドア枠廻りの形状と寸法を決めておく。そうしないとレールの注文が出来ないし、コンクリートの埋込位置も分からない。
また、引違戸の両側の建具枠とレールには隙間を設けて、ドアの戸当たり枠とレールに隙間ができるようにした。収納内に水が入った場合でも、その隙間から水が抜けるようにしている。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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