2019-11-19
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)
高断熱・高気密住宅

Q1.0住宅完成見学会@宇都宮市での見学者の感想と、会場となった住宅の温熱環境

室内4か所の温湿度が同時測れる計測器を設置して完成見学会を行った。

先週末は、Q1.0住宅完成見学会@宇都宮市を行い、見学者の方にはわりと長時間、私が設計施工した住宅を見て頂きました。

 

今日のブログは見学者の感想と、会場となった住宅の温熱環境を書きます。

 

Q1.0住宅で暮らす人が、冬でも薄着もしくはTシャツ1枚の理由

金曜日の午後に完成見学会の準備をしました。

 

完成見学会で使う、テーブルや椅子、施工例写真集やパネル等を、会場となるQ1.0住宅に運んだ。

 

その時、室内は日射により19度くらいだったと思う。

 

暖房を付けなくても寒くは無いが、試しに床下エアコンを24度に設定して作業してみた。室温は22~24度くらいになり、長袖シャツ1枚でも少し動くだけで汗が出てくるほど。

 

汗をかくのは嫌なので、Tシャツになって作業した。

 

冬でも住人が薄着もしくはTシャツ1枚で過ごしており、訪れた宅配便の方にビックリされるというのが「Q1.0住宅あるあるの1つ」なのだが、その理由が改めて体感できた。

 

家全体の温度が、1階でも2階でも水廻りでもほぼ均一に暖かく、身体が冷えるような室温の低い場所が無いからTシャツやそれに近い薄着で生活するようになる。

 

対してQ1.0住宅でない、例えばQ値2.3くらいの普通の断熱性能の新築住宅なら、暖房していない廊下やトイレ、洗面脱衣室等の水廻り、各個室は室温が下がるので、そこに行く度に体温は下がり汗をかくということはない。

 

だから普通の新築住宅ではTシャツや薄着になるという現象は起きないのだ。

 

断熱材は新築時に一度入れると、基本的に交換やメンテナンスは必要がないので、新築時に付加断熱してしっかり断熱気密施工しQ1.0住宅にすると、やはりコスパが高いと実感。

 

また、エアコン1台で冬室内の温度がほぼ均一になって暖かいという身体的メリットは、特に年配になった時に身体が楽だということになり、それは心臓や循環器系の病気になりにくいことと、省エネでお金が掛かりにくいことに繋がるので、やっぱりメリットがあるなーと思いながら作業と点検を行った。

 

ちなみにこのお宅のQ値は1.19、C値は1.0のQ1.0住宅レベル2の住宅です。

 

敷地の東西面が広ければ、建物の南面する面積を増やし開口部を調整して、Q1.0住宅レベル3くらいは行っていたと思うが、予定通り充分に暖かいことを体感し安心した。

見学者に家具や建具を説明

小さな家には造り付け家具が必須。その理由は、効率的に収納スペースを確保する必要があるためだが、これは空間をすっきりと整えることにもつながる。

見学会に参加頂いたご家族は、7月末の構造見学会に来て頂いた方だったので、室温の均一さと、無垢のフローリングと珪藻土が醸し出す空気感を体感して頂いた。

 

私は、延床24.5坪という小さな家で、過不足なく暮らせることを目指すための最重要アイテムである、造作家具と建具の「用途・寸法・素材」を説明。

 

分かりやすく言うと「なぜここに、こんな奥行と高さと幅がある家具を造ったのか?」「材料は何故それになったのか?」をお話しした。

 

Q1.0住宅完成見学会@宇都宮市の見学者の感想

 

「インテリアがスッキリして統一感があるし、使い易そう」

 

「収納がセンス良く確保されており、今まで見た他の会社とは室内の密度が違う」

 

「持ち込み家具を買うのは、最小限になりますね」

 

「そしてやっぱり暖かい、空気感が違う」というご意見を頂いた。

 

施主のライフスタイルに合うオーダーキッチンもインテリアの一部。

カウンターと引手を茶色く塗装して落ち付いた雰囲気に。造り付け収納の中に床下エアコンを入れて、床下エアコンも家具化した。

洗面ボウル廻りにキッチンパネルを貼って汚れても掃除しやすい。タオル掛けは取っ手を応用。洗面ボウルも大きく使い易い。洗面台は幅900、奥行は脱衣室が狭くならないように微調整している。

最後の見学者は、近くの同業者のラファエル設計 神長さんと坂下大工さん

プロの視点で内装の納まりをチェックするお2人。

日曜日の午後、最後の見学者は、近くの同業者のラファエル設計 神長さん と坂下大工さん。

 

ちなみに日曜日は終日暖房(床下エアコン)を付けていないのに暖かい。

 

お2人から見学したいと連絡が入り、3時から5時半までの2時間半、各部屋ごとに、私が内装等の説明&3人で建築談義しながらご見学頂きました。

 

お2人の構造現場は見学させて頂いており、もちろん見学OKであるばかりか、坂下さんにはこのお宅の建て方時に大工として参加してもらっている。

 

大工視点で手摺を見る。荷物を運ぶので取り外せる手摺。

 

通称「ヨシダ式玄関収納」に同業者も興味津々

「通称:ヨシダ式玄関収納」の玄関収納の通風穴。これがあると革靴がカビにくいし、インテリアのアクセントにもなる。

 

家具と建具の中でも、特に玄関収納扉の、革靴をカビさせないための通風丸穴と、扉の内側に取り付けた傘掛け金物のコンビの、通称「ヨシダ式玄関収納(名称は今作った)」に興味津々だったようです。

 

玄関収納の扉に「丸い通風穴」を開けておくと、中の革靴がカビにくいばかりか、通風丸穴という機能が意匠にもなることを意図しています。

 

また、玄関収納扉の内側に傘掛け金物を付けておくと、大量の傘が収納できるので、片付く玄関を実現でき一石三鳥になります。

 

玄関収納扉に通風の丸穴が開いてないと、革靴にカビが発生しやすいですし、玄関に傘収納スペースが無いと玄関は片付かないのですが、玄関収納扉に通風口を設けて、傘置き場を考えている設計者は少ないと思います。

「通称 ヨシダ式玄関収納」は施主の不満を解消するアイデアを実現した「施主との共作」

 

玄関収納扉内側の傘掛けも定番。片付く玄関を実現。コートも掛けられる。

 

この玄関収納を見た神長さんからは「この玄関収納ドアの通風穴と傘掛け金物をマネします!」という申し出があったので、

 

ウェブ等に写真掲載する場合は、「゛玄関収納/出典:ヨシダクラフト゛とクレジットすることを忘れずに!」と念押ししておきましたw。

 

この玄関収納扉の丸い通風穴とドア内側の傘掛け金物は、どちらも「下駄箱の革靴のカビをどうにかして欲しい!」「玄関の傘が片付かないのでどうにかできないか?!」という施主の不満を解消するアイデアを実現した、言わば「施主との共作」であるから、web等で似た意匠と造作を発見すると、施主も驚き「吉田さんパクったの?」と思われるからである。

 

また収納内部の「可動棚の棚板を12mmのラワンべニアで反りが出にくく、見た目も悪くなく、ローコストに作る方法」も、私が年配の大工さんから教えてもらった簡単な方法でしたが、あまり見たことがなく、良いと思っていたのでお話ししました。

 

お2人からも色々と教えて頂きました。

 

これは他のお宅の玄関収納。玄関収納扉内側の傘掛けはこんな感じになります。

上記の玄関収納はSS-house。

https://yoshidacraft.net/works/ss-house/

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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