桁上断熱の部分にまで、「斜め天井断熱」と同じように垂木下に通気用タイベックを取り付けて失敗した話
SH-houseの2階、リビングと書斎の天井は勾配天井になり、断熱方法は「斜め天井断熱」である。
「斜め天井断熱」のメリットは、屋根下地の防水材であるルーフィングまでの工程を建て方当日、もしくは翌日までに完了できること。ルーフィングまで葺ければ、屋根から雨水が室内に入らないから安心である。「斜め天井断熱」の場合、断熱材は屋根を葺き終わった後で室内側から入れる。今回は300mm以上のセルローズファイバーブローイングだ。
対して「屋根断熱」の場合は、屋根側から垂木間に断熱材を入れるのが一般的なので、屋根下地の防水材であるルーフィングを葺くまでに、「斜め天井断熱」よりも時間が掛る。屋根面にブルーシートで養生しても雨が降れば室内に入ってしまうので、室内が雨に当たる可能性が高くなる。
特に雷都(らいと)と呼ばれる宇都宮市は、急に激しい雷雨に襲われるので、素早く屋根の防水までは終わらせたい。そのため雨が降る前に、屋根の防水材であるゴムアスファルトルーフィングまで終わる可能性が高い「斜め天井断熱」が無難だと言える。
屋根にも外壁と同じようにタイベックを貼った
この「斜め天井断熱」部分の通気層は、建て方の時に、母屋(もや)の上に「タイベック」を通気部材として敷いてから屋根垂木を打つことで、垂木間の垂木高さ90mmを通気させるようにした。
タイベックとは
タイベックとは、デュポン株式会社の透湿防水シートで、主に外壁の下地材として使われます。
木材及び壁体内の湿気は外部に排出し(透湿という)、タイベックより外側の湿気や雨は、室内側にいれない(防水)するので、透湿防水シートと言われています。透湿と防水の機能がある特殊なシートです。
デュポン社のタイベックは、3m巾の製品が有り、外壁に使っています。今回屋根に貼ったのは、幅1mのタイベックですが、次回は3mのタイベックを貼って、より繋ぎ目を少なくしたいと考えています。
2階天井の断熱方法は2種類
2階には居室であるリビングの天井と、部屋ではない小屋裏がある。小屋裏部分は部屋ではないので、1階の天井の桁上で行う「桁上断熱」とした。
2階の天井部分の断熱(正確には1階の桁上断熱だが)方法は、「斜め天井断熱」と「桁上断熱」の2種類がある。
桁上断熱の部分まで、「斜め天井断熱」と同じように垂木下に通気用タイベックを取付けたら、タイベックがバタバタと音をたてた
建て方前までは、予定どおり居室となる「斜め天井断熱」部分のみ、垂木下にタイベックを敷いて通気をさせて、小屋裏部分は、垂木下にタイベックを敷かない予定でした。
しかし建て方中、大工から桁上断熱となる部分にも、「斜め天井断熱」と同じように垂木下に通気用タイベックを取付けてしまったほうが、作業性が良いという提案を受けてタイベックを設置するのを了承した。
この時は桁上断熱の空気は、タイベック上の通気層に上がり、棟換気から出ていくので問題ないと考えた。
これが良くなかった。
良くなかった理由は、軒天井を貼っていない時点の話ではあるが、風の強い日は、軒側から上がった空気がタイベックをバタバタと音を立てて鳴らすほど通気するのだ。そのバタバタ音は室内にも響いて、時には話声も聞きとりにくいほどでした。
居室の斜め天井断熱部分は、断熱材であるセルローズファイバーブローイングが吹き込まれて、通気材のタイベックと密着するので、通気層も確保された上で、バタバタ音は無くなる。
しかし桁上断熱部分は、断熱材が桁上で天井と水平に約300mm以上納まるが、屋根垂木下で通気のために取り付けたタイベックとの間に空間があるので、通気層を空気が流れると、バタバタ音が止まず騒音となり、施主が生活してから支障があると考え、桁上断熱部分のタイベックは、当初の予定どおり行わない(撤去する)ことにした。
2階の天井断熱仕様が、「斜め天井断熱」と「桁上断熱(天井断熱)」で、タイベックを通気材として使う場合、「桁上断熱(天井断熱)」部分には、垂木下にタイベックを貼ると、通気によりタイベックがバタバタと音を立ててるという話でした。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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