遠くの住宅会社に依頼するのが合理的でない理由
先週8月25日(土)は午前10時から、当社事務所で大規模リフォーム工事の契約でした。K-houseリフォームと言います。設計図面11枚、工程表1枚、契約時打合せ事項1枚、見積書29枚を添付して契約書とした。
9月7日から11月下旬まで約3か月間、宇都宮市八幡台に大規模リフォーム工事のため通うことになります。事務所から車で10分程度の距離なので、現場管理はしやすいです。
今日のブログは、遠くの住宅会社に依頼するのが合理的でない具体的な理由を書きます。
その理由は「住宅の最大特徴の1つが、家が土地に固定されており、持ち運びが出来ないこと」にあるのですが、その具体的な影響に気が付いている消費者は、あまり居ません。
住宅の最大の特徴の1つは、家が土地に固定されており、大きく持ち運びが出来ないこと
住宅の最大の特徴の1つは、持ち運びが出来ないことです。
家が土地に固定されており、かつ大きすぎるので、持ち運びすることができないことが、住宅の特徴の1つです。
当たり前のことですが、意識して考えると、コレがかなり重要なのです。
例えば、住宅が宅配便で配達できたり、カバンに入れて持ち運びができるような小さなモノであれば、遠く離れた住宅業者でも、近くの住宅業者と同じような状況で施工に臨むことが可能になるので、遠くの、例えば他県の住宅業者に依頼するメリットが出てきます。
しかし住宅は土地に緊結されており、大きすぎるので、それは無理なのです。
だから、どう考えても住宅を新築する場合やリフォームする時は、地域の、できればより近くの住宅会社に依頼するのが合理的です。
では具体例を挙げて説明します。
遠くの住宅業者に依頼するデメリットは、築後15年以降のメンテナンス時に分かってくるという話
遠くの住宅会社に依頼することが非合理的なことは、新築や大規模リフォームが完成した直後には分かりません。
例えば、請負金額が2000万円~3500万円くらいの新築工事やリフォーム工事だと、ある程度粗利益を取れるので、交通費や往復時間が余分に掛かる遠くの住宅会社でも頑張れます。請負金額が大きいので、遠くの現場に行ける程度の粗利益は確保できるからです。
しかし問題は、新築後もしくは大規模リフォーム後の15年目以降くらいに現れてきます。
15年以降になると、外壁塗装等の外装メンテナンスにプラスして、少額のメンテナンス工事も発生してきます。
どういうことが起きてくるかと言うと、例えばキッチンの水栓が壊れたり、給湯器が壊れたりします。また網戸の張替等も発生します。
各工事は、少額なメンテナンス工事になりますが、それらは、一気に発生するのでなく、1つか2つずつ、継続して起こります。
近くの住宅会社に依頼していれば、すぐ対応してもらえるので、問題はありません。
しかし、片道1時間以上1.5時間程度も掛かるような、他県の住宅会社に依頼していた場合は、少額のメンテナンス工事でも、往復だけで3時間。現場にいる時間も含めると、ほぼ1日仕事になってしまうかもしれません。
近くの住宅会社なら、ちょっと出かけて1万円程度で済む工事も、遠くの業者だと2万円とか3万円になってしまうでしょう。
近くの業者なら他の現場と掛け持ちができますが、遠くの現場だと往復で時間が掛ってしまうので、通常のように他の仕事と掛け持ち出来ません。交通費以外の人件費でも、高めの値段に設定せざるを得ないのです。
さらに住宅会社の社長や社員さん1人だけなら良いのですが、建築工事は多数の職種・職人が現場に行って作業して成り立つ仕事です。数多くの職種の、職人の人数分の交通費や人件費も、新築時と違い割増になります。
職人の人数分と、さらに現場に行った回数分が、延べ人数で割増になりますから、近くの住宅会社に依頼した時と比べるとメンテナンス及びリフォーム費用が高くなることは避けられないでしょう。
このことは「住宅の最大の特徴である、家が土地に固定されていること」に由来しています。
「それなら新築や大規模リフォームは遠くの会社に依頼して、メンテナンス工事だけは近所の住宅会社に依頼すればいいじゃん!」と考えるかもしれませんが、完成後の保証期間内に別の住宅会社が部材をいじってしまうと、自動的に保証が切れますから注意が必要です。
他県の住宅会社に依頼した場合は、下請けとして地元の住宅会社が奴隷的に造っている場合が多いと思う
また、新築や大規模リフォームを請け負った他県の業者は、その地域の知り合いの住宅会社を下請けとして雇い、完成させることも多いです。
元請住宅会社は頻繁に遠い現場に行かなくて済むので便利なのです。
しかし、1軒の住宅を完成させるのに、住宅会社が2社入ってしまうと、現場管理費が高めになることは避けられません。
ですから現実には、下請け住宅会社は、元請住宅会社に「猫なで声」を出されてお願いされw、通常より安い値段で下請けとして使われます。そうしないと、相場の見積金額に納まらないからです。
そうなると、各職人へも安めの金額で工事が発注されることになりますから、現場が殺伐として、手抜き工事が発生しやすくなるかもしれません。
その上、15年目以降のメンテナンスも安く下請けとして使われる運命になりますから、まさに奴隷。下請さんは仕事が無いので、安い仕事をキッパリ断れないのです。
地元の住宅会社が下請けとして使われる場合は、このように下請け住宅会社の怨念の上で新築され、新築後15年以降のメンテナンス工事は、下請け住宅会社の諦念の上で工事されていくことになるでしょう。ラップのように韻を踏みました。
ご自宅を他県の住宅会社が請負う場合は、上記のように普通の請負形態では無い可能性もあると認識すべきでしょう。
遠くの住宅会社より、近所の住宅会社に依頼するのが合理的
ですから、新築やリフォームをする場合は、どう考えても敷地に近い住宅会社に依頼するのが合理的です。
「近所に自分の考え方と合う住宅会社が無い」という消費者もいらっしゃるのですが、話を聞くと考え方や方向性が凝り固まっており、冷静に探していない方が多い印象です。
大規模リフォーム工事も施工範囲を30分程度としている理由
リフォーム工事は新築のように更地に基礎から造るのではなく、既存建物を上手に、ある部分まで解体して造ることになります。タイル浴室の解体を含む大規模リフォームの解体工事は、大工が行うのではなく、解体業者に依頼するとこが多いです。
タイル浴室は、重いモルタルや浴槽を解体撤去することになり、かつ地面の土砂も掘り返して処分するので、普通の大工さんだと疲弊してしまいます。
解体業者に依頼する理由は、解体業者は解体に使う道具を沢山持っており、産業廃棄物として処分まで依頼できるのでスムーズに現場が進むからです。かつ大工よりも、解体業者のほうが職人も若いです。
造作ができる大工になるにはキャリアが必要な為、大工の年齢は高い傾向なので、解体のように割と簡単にできる重労働は専門業者に依頼するのが良いのです。ちなみに水廻りを含まない一部屋とか二部屋程度の小規模な解体なら、大工に依頼するほうが良い場合も多いです。
リフォーム工事は解体しすぎたり、逆に解体が不足したりすると、工事がスムーズに進まなくなるので、現場の状況を見ながら判断します。リフォーム工事中、私は解体工事の時が一番現場にいる時間が長いです。
「解体した部分と新規部分との取り合いをどうするか」を現場で判断する必要があるので、新築よりもリフォームのほうが、現場監督(現場管理者)は現場に滞在する時間は長くなる傾向です。
宇都宮市宮の内で4月中旬から行っていた大規模リフォームが8月初めに完了しました。このリフォームも工期が約3か月間だったのですが、ほぼ毎日現場に通いました。
解体工事と大工工事の大切な部分を除くと、現場に居る時間は、1日あたり1時間程度のことが多いですが、毎日のように現場に行くことが大切です。大工さんは図面を見ずに感覚で造ってしまうことがあるので、間違う前に修正しする必要があります。
30分程度で行くことができる近い現場でも、往復時間・滞在時間・職人や材料の手配等を入れると、毎日半日程度は時間が掛ることになります。
ですから大規模リフォーム工事でも、事務所から車で30分程度の距離を施工範囲とすることにしています。遠い現場を請け負うと、他の仕事が、ほとんど出来なくなりますから。
宇都宮市八幡台K-houseリフォーム
9月7日から始まる宇都宮市八幡台の大規模リフォームは、かなり大きな建物のため、1階のLDKを中心に水廻り、廊下、玄関等の共用部のリフォームを行います。
LDKと水廻りは、他の部屋と区画して高い断熱性と気密性を確保する予定。
劣化を進ませないためには、外装のリフォームは不可欠です。大きな建物なので、外装リフォームもかなりボリュームがあります。ベランダの防水を下地からやり直して漏水を止めてから、内装リフォームを行います。
ブログにも登場予定。
宇都宮市八幡台近辺で、リフォームもしくは新築をお考えの方は、メールにてご連絡ください。
コンテナが世界中のモノの値段を下げているというのは有名な話ですが、住宅は地面に固定されており、大きすぎるのでコンテナ理論は使えません。上海から東京まで30tの荷物を運ぶとコンテナではだいたい30万円だそうです。安い。評判の高いこの本もまだ読めていません。
この映画、とても良かったです。LGBTの映画ですが恋愛関係がとても普遍的。ブルー・ジャスミンのケイト・ブランシェットとドラゴン・タトゥの女のルニー・マーラが主役を務めており、どちらも素敵です。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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