新築注文住宅の平均坪単価は年々上がって83万円になっていた!選択理由は「高断熱・高気密」と「デザイン」でした
住宅市場動向調査とは、毎年、国が行っている住宅関連の市場調査のこと。
調査対象は、注文住宅・分譲住宅・既存(中古)住宅・賃貸住宅及び、リフォーム住宅全般と、全ての住宅建築を対象に調査され、住宅政策の企画立案に使われています。
この調査を見ると、新築注文住宅と戸建中古住宅が、それぞれ、いくらで建てられ、いくらで購入されているかという価格の平均値が分かります。
結果から言うと、消費者が考えているより新築注文住宅は高い価格で建てられ、戸建中古住宅も、漠然と考えているより高い値段で購入されていると思います。
これから新築や中古住宅を購入してリフォームする方は、依頼先を探し始める前に、この住宅市場動向調査を読んで、「住宅市場の概要と金額の相場」を理解しておくと、無難な判断ができると思います。
今日のブログは、平成29年度の住宅市場動向調査結果の中から、新築注文住宅の坪単価やその選択理由、及び中古住宅の価格やリフォームについてを貴方に代わってお調べしました!
住宅市場動向調査とは
住宅市場動向調査は、住宅に住む家族の状況及び住宅取得に係る資金調達の状況について把握し、今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的として、毎年実施されます。
この調査は、注文住宅、分譲住宅、既存(中古)住宅、賃貸住宅、リフォーム住宅全般を対象に行っている調査です。
この調査から得られる購入資金と自己資金比率や住宅ごとの選択の理由などは、国の住宅政策の企画立案だけでなく、民間企業の市況把握や国民の住まい探しの際の参考としても利用されています。
新築注文住宅と中古戸建住宅の選択理由を比較してみた
新築注文住宅の選択理由と、分譲住宅・中古住宅の選択理由を比較してみると、明らかに選択理由が違っており、興味深いです。
新築注文住宅の選択理由は、「高断熱・高気密住宅だから」と「住宅のデザインが気に入ったから」がそれぞれ60%近くを占めて2強状態。
注文住宅を建てたい方は、高断熱・高気密とデザイン重視なのが分かります。高断熱・高気密を知らない人に説明すると、それは文字通り断熱性能と気密性能が高い住宅になる。高断熱高気密にすると、冬暖かく、夏涼しい家になるから、住み心地と燃費と健康状態も大きく向上する。また、家の隅々まで温度差が無くなるので、小さな家でも広く使えるのも利点である。
それに対して、分譲住宅・中古住宅の選択理由の1位は、「間取りや部屋数が充分だから」。「高断熱・高気密」は低い選択理由になっています。「とにかく部屋数重視」で、「高断熱・高気密」という「住み心地」まで考える余裕はないという現状が分かる。
高断熱住宅に住みたいなら、新築の場合は注文住宅の1択なのが分かる。
注文住宅は総額いくらで建てられて、坪単価はいくらなのか?
土地代金を含まない、新築注文住宅の建築資金は、新築世帯は3061万円、建て替え世帯は67万円多い3128万円が平均値です。
新築世帯3061万円の平均延床面積は、121.8㎡(36.8坪)になります。3061万円には、外構工事代金等の建物以外の付帯工事も入っていると思われます。敷地の大小や仕様で外構工事代金も大きく違いますが、分かりやすくするために、3061万円を延床面積で割って、強引に坪単価を出します。
3061万円÷36.8坪=83.1万円(新築世帯の平均坪単価)
新築世帯の平均坪単価は83.1万円になります。これはあくまでも平均坪単価であり、表を見てもらうと分かるように、年々注文住宅の住宅建築資金の総額は上がっています。
ちなみに仕様が同じで延床面積が小さくなると、総額は安くなりますが、坪単価は上がります。
注文住宅の総額が、年々上がっている理由は、断熱性や耐震性の高い住宅を建てて、長く使うという国の意向による部分が大きいです。
消費者の方が、漠然と考えていた坪単価よりも、かなり高いのではないでしょうか?
坪単価50万円程度で、注文住宅が建つと漠然と考えていた人は、ビックリかもしれません。
新築注文住宅の平均坪単価が83万円ですから、仮に自分の家を坪50万円で建てる場合「安くてお得だ!」と考えるよりも、「それなりの理由があるから、平均よりも安いのだ」と考えたほうが良いと思います。
平均的な坪83万円の住宅でも、高断熱住宅の先進的モデルである200mm付加断熱のQ1.0住宅や、内装材に無垢材や造作建具・造作家具は使用している可能性は少ないです。断熱レベルが高いと、住み心地・燃費・健康状態が向上し、仕上げ材の品質が高いと、内外装が良く見える上に、リフォーム費用も抑えられます。だから、それらが基本仕様になっており、坪単価が平均同等か、少し高めな家を建てている住宅会社が近くにあれば、依頼先としてはかなりお得だと思います。もちろん、当社はその中に入っています。
新築する場合の土地の購入資金はいくらか?
新築する場合の土地の購入資金は、全国平均で1374万円。三大都市圏だと土地は1586万円します。
新築注文住宅を建てた場合の、土地と建物の合計金額
新築注文住宅を建てた場合の、土地と建物の合計金額は、土地1374万円+建物3061万円=4435万円が全国平均値になっています。
中古戸建住宅がいくらで購入されて、どの時期にリフォームされているか?
中古戸建住宅の全国平均の購入価格は、2857万円です。購入される時の、中古戸建住宅の平均築後年数は20.2年です。
売り主によるリフォームが40.4%。購入後のリフォームが42.5%です。平成29年度 住宅市場動向調査報告書P157
家族4人程度までなら、延床面積は30坪前後あれば十分なので、大きな中古住宅は絶対買わないことが重要です。
リフォーム費用は(新築見積も同じですが)、「面積×単価」で算出されるので、大きな家はリフォーム費用も高額になるから。
また、外装リフォームは1度だけでなく、定期的に行う必要があるので、「不必要に大きな家は、絶対に買わない、建てない」ことが大切です。
リフォームの動機は、「家を長持ちさせるため」が増加傾向だが、ホントは新築時からコレをすると長持ちするよ!
リフォームの動機では、「家を長持ちさせるため」のリフォームが年々増えているのが特徴ですが、「家を長持ちさせるため」に、一番コスパが良いのは、実はリフォームすることではありません。
リフォームで、必要な場所を定期的にメンテすることも重要だが、実はイニシャルコストが掛かっても、新築時に長期使用できる材料で作っておいたほうが、リフォームコストは少なくできる。
しかし、この事実を知っている消費者は少ない。
長期使用出来る材料とは、例えば内装材は地域の無垢材と、地域の職人による造作建具、家具で造られる廃盤になりずらいものを指す。年月を経るほどに味わいが増して、修理も効きやすく長く使えます。
いずれ廃盤になって交換できなくなったり、接着剤の寿命が来ると表面の木目シートが剥がれるような新建材と言われている、大手建材メーカーの工業製品は採用しないことが重要だ。
また、外装材は、無垢の木製外壁材や、ガルバリウム鋼板、左官外壁など、これまた廃盤にならずに更新性の高いものを使うのが良い
内・外装の仕上げ材は、大手ハウスメーカーに標準装備される新建材住宅とは逆の、無垢材と造作部材で構成するのが長く使えるコツである。
地産地消の住宅は、修理が効きやすいので更新性が高く、新建材住宅と比べると基本的にリフォームコストは下がります。
相変わらず磯田先生の本は面白いです。ご自身の面白エピソードも入った歴史エッセイです。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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