2016-12-13
高断熱・高気密住宅

注文住宅を建てる前に「窓の選択基準」が勉強できる良記事「断熱窓メーカー3社座談会」

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注文住宅を建てる前に、勉強のため読むべき良記事があるのでご紹介します。

 

「断熱窓メーカー3社座談会」です。

 

「窓」が住宅の快適性、省エネ、健康に与える影響は大きいので「窓の選択基準」を事前に勉強する必要があります。

 

記事内容は、YKK、三協立山、LIXILという高断熱窓メーカーの開発担当者が、

 

  • 自社一押しの窓仕様
  • 樹脂窓(樹脂サッシ)とアルミ樹脂複合窓(アルミ樹脂複合サッシ)の出荷比率を今後どうしたいのか?
  • 樹脂窓は劣化しないのか?

 

など、家を建てる前に知っておきたい情報を、一問一答式で、分かりやすく語っています。

 

「窓の選択基準」の勉強が大切な理由は、暑さ・寒さを解決するには、窓の性能を良くするのが最も合理的だから

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どんなに高性能なエアコンや暖房機を付けても、家の断熱性能が低いと、エネルギーは垂れ流し状態になります。この絵を見ると、冬は窓から逃げていく熱が50%以上と大きく、夏も窓から入ってくる熱が70%以上と大きいのが分かります。

 

窓は熱の出入りが一番多い場所なので、暑さ・寒さを解決するには、窓の性能を良くするのが最も合理的だということが分かります。窓の断熱性能を良くすれば、夏涼しく、冬暖かくなり快適で省エネ・低燃費な家になります。

 

断熱と遮熱の違いを理解して、夏と冬の窓を制御すると快適になる

住まいの「断熱」とは暖かさが逃げるのを防ぎ、寒さが入ってくるのも防ぐこと。「遮熱」とは太陽の日射熱を遮る(さえぎる)ことです。

 

夏に日当たりの良い窓があると、太陽の日射で蓄熱しますから、日射熱が家に当たる前に、窓を、すだれ等で熱が入らないように「遮熱」した後で、エアコンの冷気が逃げ出さないように合わせて「断熱」します。夏は「遮熱+断熱」するのが重要なのです。

 

日射遮蔽についてブログ書いています。

「すだれ」と「よしず」の違いを知っていますか? 日本伝統の日射遮蔽材で猛暑対策エコグッズです。

「すだれ」や「よしず」で日射遮蔽して栃木の夏を涼しく過ごそう!

 

冬は、夏とは逆に太陽の日射を窓から積極的に取り入れます。窓を暖房機として使い日射を取り入れて室内を暖め、室内の暖かい空気が逃げないように「断熱」を行うのが合理的で省エネにつながります。

 

「樹脂窓を一押し」しているのはYKKのみ

 

各社オススメの高断熱窓はこちら

 

 

一押しの高断熱窓は何ですか?という質問に対して、「樹脂窓です」と答えているのはYKKのみです。

 

三協立山、LIXILはアルミ樹脂複合サッシを一押ししています。樹脂窓のほうが下の説明のように断熱性も高く、値段も高いです。

 

*樹脂窓…サッシ(窓の枠部分)が全て樹脂製。断熱性能は、アルミ窓の2~3倍。

 

*アルミ樹脂窓…LIXILでの呼称はハイブリッド窓。サッシがアルミと樹脂の複合。断熱性能は、アルミ窓の約1.5倍。「断熱窓メーカー3社座談会」

 

高断熱住宅を造っている住宅会社の多くが、アルミ樹脂窓でなく樹脂窓を採用しています。当社も樹脂窓が標準仕様。断熱性能差よりも値段の差が少ないため、アルミ樹脂窓でなく樹脂窓がおススメです。

 

ちなみにアメリカの木製ペアガラスサッシ、スウェーデンの木製トリプルガラスサッシも使ったことがあります。木製サッシは、自分でメンテナンスできるや人や不具合も楽しめる人なら採用候補になりそうです。

 

断熱窓の出荷比率目標でもYKKの樹脂窓シフトが目立つ

 

各社3年後の2020年までに、断熱窓を7~8割にしたい様子。ただし各社、樹脂窓とアルミ樹脂窓の出荷比率目標が大きく違っており興味深い。

 

YKKの樹脂窓シフトが目立つ

 

  • YKK AP→2020年までに、樹脂窓40%、アルミ樹脂窓40%を目標としています。

 

  • 三協立山→ 2020年までに、樹脂窓12~13%、アルミ樹脂窓50%を目標に挙げています。2020年というのは、建材トップランナー基準を2022年に控えた中期的な目標値です。

 

  • LIXIL→ 同じく、2020年までに、樹脂窓、アルミ樹脂窓あわせて70%を目標としています。樹脂とアルミ樹脂は分けていません。2013年度の実績では、樹脂窓が6%、アルミ樹脂窓が30%でした。「断熱窓メーカー3社座談会」

 

樹脂窓(樹脂サッシ)関連については今までもブログを書いています。

 

住宅を断熱化するメリットを消費者に説明するには、省エネより健康面が分かりやすい

 

樹脂窓は劣化しないのでしょうか?という問いに対する各社の答えと私の経験

YKK、LIXILの2社が、築20年の樹脂サッシにほとんど劣化が無いと証言。YKKの担当者は、自宅で20年間実際に使われた樹脂窓をサンプルとして持って来て、劣化の少なさをアピールしている。

 

私も16年前に初めて樹脂窓を採用した。多少の色落ちはあるが劣化しているという印象は少ない。

 

樹脂窓に使われているPVC(ポリ塩化ビニル、塩ビ)という素材は、土の中に埋められている水道管と同じです。洗濯バサミやポリバケツなどに使われているPP(ポリプロピレン)とは耐久性が違います。実際に赤道付近のアジア圏でも使用されています。「断熱窓メーカー3社座談会」

 

栃木の住宅会社を比較する際は、窓仕様、断熱仕様、仕上げ材仕様、デザインの4項目を見る

住宅会社を比較する際は、坪単価を聞いて高い、安いを判断しても意味がありません。

 

窓仕様、断熱仕様、仕上げ材仕様、デザインの4項目で比較すべきだと思います。

 

栃木は冬寒く夏暑い内陸地。まず、窓はアルミ樹脂窓でなく樹脂窓が標準仕様になっていることが大切。断熱仕様は、Q値1.5以下・C値1以下になっていると、エアコン1台程度で、冬暖かく温度差の少ない快適で低燃費な家になる可能性が高いです。

 

次に仕上げ材の仕様ですが、造作建具、無垢材の床で造られている家は、イニシャルコストは高いですが、ランニングコストが少額で修理しながら長く使える可能性が高く、インテリアも違和感がありません。

 

実際に40年以上前の住宅でも、造作建具なら地域の建具職人が修理出来ることが多く、無垢の床材なら貼り換える必要が無いことが多いです。

 

逆に、室内のドアや床材がメーカー建材の既製品になっていると、商品が廃盤になる10年後には、部材が手に入らないことが多く、様々な箇所が壊れてくると大規模に修理するしかなくなり、建替えの可能性が高くなると思います。

 

また書店に並ぶ建築雑誌・インテリア雑誌を見てください。大手ハウスメーカーの家をはじめとする、メーカー建材の既製品を使った家は掲載されていません。理由は、既製品の建材を使うと、「ありきたり」に見えるので、「どちらかと言うとダサイ家」として、住宅業界人・建築雑誌編集者・感度高めな一般人に認識され、そのような家を雑誌掲載しても雑誌が売れないからだと思います。

 

最後に外観デザインですが、真四角なキューブ型の家は造らないほうが良いと思います。

 

日本は雨が多いので、勾配の付いた屋根を架けて雨を排出しやすくし、外壁に雨が掛かりにくくなるように軒も出しましょう。勾配の少ない屋根は、雨が排出しにくくなりますし、軒の出ていない家は、人間が傘を差さずに外に立っているなもの。漏水の可能性が高くなるからです。「四角い家=おしゃれ」と考えるのはヤンキー的短絡脳だと思います。

 

私が「軒ゼロ住宅」を建てられない理由。「軒ゼロ住宅」が抱える5つの雨漏りリスクという記事について考える。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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