何ということでしょう!?『大改造!!劇的ビフォーアフター』で、工事代金未払いされた工務店が番組を訴えた!ビフォーアフターの摩訶不思議7選も掲載
テレビ朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』(朝日放送)のリフォーム工事を請け負った工務店が、朝日放送と番組製作会社に対し、追加発生した工費など約2900万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴していたことがわかりました。
『大改造!!劇的ビフォーアフター』訴えられる
テレ朝『ビフォーアフター』がまた裁判沙汰! リフォーム費の“捏造”疑惑で、ついに打ち切りか
岐阜市の築50年の2階建て店舗兼住宅を名古屋市の建築士の指示に従い、改修する内容。
建設会社の代理人弁護士によると、リフォーム代金は当初、2200万円の予定だったが、建築士や制作会社から追加工事を指示されたため、約2,700万円が加算。代金は約5000万円に膨らんだものの、追加工事費は支払われなかった。
契約時の覚書では、工事代金が予算を超過する恐れが生じた場合は制作会社や施主と協議するとしていたが、追加工事に対する相談はなかったという。
建設会社社長は、「番組では予算2,500万円と表示されたが、事実と異なる。視聴者をだましている」として、放送倫理・番組向上機構(BPO)にも申し立てる意向を示した。
朝日放送は「制作会社と密接に連絡を取り丁寧な対応をお願いし、制作会社もこれまで民事調停を含め適切な対応を取ってきたと承知しています」としている。
建設会社が工事を請け負ったは2014年7月27日放送 「孫がハイハイできない家」
施主を訴えずに、テレビ局を訴えた住宅業界事情
通常のリフォーム工事請負契約では、施主と工務店が直接契約するので、工務店は請負代金を貰っていないなら、施主を訴えるはず。しかし工務店は、朝日放送と番組製作会社を訴えています。
このことから、テレビ局主導・施主不在のリフォームが毎回行われているのが分かります。施主も、安くリフォームしてもらっているのだから、文句は言えないということだと思います。番組に出てくる施主は、『ビフォーアフター』に依頼する時点で、安く、素敵にリフォームして欲しいという強い盲目な思いで応募します。その思いと、テレビ局、匠、工務店の思惑とが相まって、金銭的無理や、工期的無理が生じていたと思われます。
物づくりで無理が生じると、一番被害を受けるのは、「一番水下に位置する存在」になることが多いです。今回の一番の水下は「工務店」になります。テレビ局と匠にだけスポットライトが当たり、工務店は番組に自社の名前も出ない上に、工事代金まで持ち出しになったので裁判で逆襲に出ました。工務店は、メリットとデメリットを比較し、メリットはほとんど無いのにデメリットだらけで、改善の余地が無いと判断して裁判を起こしたのです。
「ビフォーアフター 失敗」と検索すると情報多数
ちなみに、「ビフォーアフター 失敗」と検索すると様々な失敗情報が出てきます。トラブルは今回だけでは無かったようです。
ビフォーアフターのリフォーム価格が安い理由
『ビフォーアフター』では、番組の最後にリフォーム金額が放送されますが、この金額は「何としても市場価格よりも安い値段」でないと、視聴者の共感が得られません。「安い値段」だと、「うちもリフォームできるかも」と共感を呼びます。そして応募者も出てくるわけですが、まともな値段(市場価格)だと、「私には無理」となり、共感が得られず視聴率が取れないので、番組打ち切りとなるでしょう。「番組内で安いリフォーム工事金額を提示すること」は、ビフォーアフターの生命線なのです。
番組で行われているリフォームの価格が、割安な点については、番組HP内にも下記のように記されています。
ビフォーアフターの番組HPを整理すると以下の3点が確認出来ます。
目次
・匠役の設計者は無償(ハッキリ明記されています)
・番組スタッフが清掃や運搬等で人件費削減(ハッキリ明記されています)
・匠の知り合いの工務店は、「匠がテレビに出て売れたら、仕事を貰えるかな!?」と期待して、原価もしくは持ち出しで施工(と想像)
他にもこの番組には、可笑しな点が多々あります。まとめてみました。
『大改造!!劇的ビフォーアフター』の摩訶不思議7選
1.匠のキャッチフレーズがプロレスラー顔負け
黒い呪術師=アブドーラ・ザ・ブッチャー
光の魔術師=大塚正彦
ブレーキの壊れたダンプカー=スタン・ハンセン
バリアフリーの熱血講談師=天野 彰
狂乱の貴公子=リック・フレアー
安らぎの空間療法士=大瀧珠乃
2.設計者の匠が、毎回現場作業をするのはオカシイ
番組では匠が主役。毎回、匠が現場で家具を造ったりするのが定番になっており、仮面ライダーのライダーキックと同じです。(古い)
匠は、専業の建築設計事務所の建築士です。図面を描いて、現場監理するのが仕事なので、普段は現場作業はしません。現場で作業をするのは基本的に職人です。
普通のリフォーム現場でも、設計者が現場作業すると思っている視聴者も居るんじゃないでしょうか?
3.バカ工務店が縁の下の力持ち
工務店が番組に出ても、デメリットはあれどメリットは、ほぼ無いと思います。今回のように、実はリフォーム代金は支払ってもらえず、持ち出しで施工している工務店も多いのではないかと想像しています。持ち出しの上に、工務店は社名さえ紹介されません。紹介されてるのかもしれませんが、視聴者が全く覚えてないというのは悲惨ですね。
4.リフォームに感動して号泣は、リフォーム内容を把握してない証拠
番組の最後に、施主が初めてリフォームされた自宅を訪れて、「えー、こんな家になったんだー!」「ここが階段なの?」とか言って、感動して号泣します。自分がお金を支払っているリフォーム工事で、間取りも理解していないって、よく考えたらおかしくないですか?
これは完成するまで、図面をほぼ見ていない証拠です。平面図も見ていないのかもしれません。正規にリフォーム代金を支払って契約していたら、図面も確認するし説明も求めます。リフォーム工事中の現場も見たいはずです。
施主はテレビ局との約束で、安くリフォームするのだから、よく図面を見ずに契約すること、また工事中は一度もリフォーム現場を訪れてはいけないということが、約束もしくは暗黙の了解になっているのだと思います。施主は、リフォーム内容を把握していないので、完成した家を見て号泣なのです。リフォーム内容を事前に把握していたら、号泣しません。番組とはいえ、これはトラブルになりますよ。
5.騒音と埃が舞う強引な解体工事シーン
実際のリフォームの解体工事は、なるべく周囲のお宅に迷惑を掛けないように、埃や騒音を最小限に抑えた工事を心がけます。対してビフォーアフターでは、わざと埃を立てて、解体しているのが分かるように天井を解体したりします。テレビ映え用。分かりにくいとテレビじゃない。
6.後で壊れそうな、アクロバティックな家具や収納多数。
複雑な動きをする造作家具や収納が多いです。複雑な動きをする家具は、分かり易くテレビ映えしますが壊れやすいです。
7.これだけ語れるということは、面白い番組だからでしょう。www
以上が『大改造!!劇的ビフォーアフター』の摩訶不思議7選です。ニュースピックスでも、取り上げられて様々な意見があるようです。私もピックしました。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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