梅雨の湿気対策、壁紙の上から手軽に塗れる珪藻土リフォームの失敗しないコツ
11年前に個室の増築をしたお宅で、最近LDKの壁と天井の壁紙(ビニールクロス)の上から珪藻土を塗るリフォームを行いました。ビニールクロスの上から仕上げる珪藻土は何度も行っていて、「失敗しないコツ」も分かっていますから、ブログでお教えします。まずは、珪藻土リフォームのメリットからご紹介します。
珪藻土リフォームのメリットは、大きく分けて3つ
1つ目は、珪藻土は湿度を調整しますから、梅雨の時期は過ごしやすく、冬も乾燥しすぎません。2つ目は、消臭効果があります。トイレのリフォームにもうってつけ。3つ目は、左官職人が鏝(コテ)で塗るので、手造り感のある暖かい雰囲気のインテリアになること。
既存クロスの上から塗る珪藻土リフォームの施工上のメリット
既存クロスの上から塗る珪藻土リフォームのメリットは、下地を剥がして貼りかえる手間がなく簡単で、ゴミも出ずコスパが高いです。今までの塗り壁リフォームは、既存の壁を剥がして下地を造り直したり、逆に既存壁の上に下地の壁を造ったりして下地造りに手間と時間が掛かっていました。
しかし、最近はビニールクロスの上から直接塗ることができるものが増えてきて、リフォームやリノベーションで、塗り壁を使いやすくなりました。
珪藻土リフォームは、壁と天井の両方を施工すると効果が高い
珪藻土に調質と消臭の効果があるのは、珪藻土の粒子には木炭の数千倍といわれる1ミクロンにも満たない小さな「孔(穴)」が無数にあり、この小さな「孔(穴)」が調湿や脱臭に高い効果を発揮しているからです。
珪藻土リフォームする場合は、壁と天井の両方を珪藻土で塗ることをおススメしています。例えば8帖の部屋の場合なら、床は、約13㎡なのに対して、壁と天井を合わせると約42㎡と床の約3倍の面積になります。面積が大きいほど調湿と消臭効果があります。
また、左官職人が塗った「手造り感のある壁」が広いと、今までの「ビニールクロス」との対比で、とてもインテリア性が高いものとして認識されるので、リフォーム効果が分かりやすいです。
※珪藻土(けいそうど)は、もともとは「珪藻の化石」や「植物性プランクトン」。これらが海底や湖沼の底などに沈殿して、長い年月を経て粘土状の泥土となった堆積物です。
クロスの上から塗る珪藻土リフォームの失敗しないコツ
クロスの上から塗る珪藻土リフォームの失敗しないコツは、下地のビニールクロスの補修をキチンとすることです。上塗りの珪藻土の厚さは、2㎜程度ですから、下地のクロスの影響をモロに受けます。
下地のビニールクロスが剥がれていたり、シワが寄っていたり、隙間が空いていたら、珪藻土は上手く仕上がりません。ビニールクロスが剥がれたら、珪藻土まで剥がれてしまいます。
ですから、最初に下地クロスのチェックをして、クロスの状態が良くなければ、クロス職人を入れて、クロスのダメな部分を全て貼り換えてから、珪藻土を塗るのが、失敗しないコツです。
珪藻土リフォームのコツは、下地クロスの状態が良いこと←これを覚えておきましょう。
珪藻土リフォームは、照明、コンセント、スイッチの位置を変えたり増やしたりするチャンス
珪藻土リフォームは、コンセントやスイッチの位置を変えたり、増やしたりするチャンスです。コンセントやスイッチの位置を変えたり、増やしたりしたい場合は、クロス補修の前に、電気業者を入れて位置変更や増設を行います。また、珪藻土にすると、壁のテクスチャーも良くなりますから、照明を変えるチャンスでもあります。
照明をペンダントライトに替えたりできるように、天井照明の繋ぎを「引掛けシーリングタイプ」にしてもらい、ペンダントライトタイプでもシーリングタイプでも、施主が自分で交換できるようにしておいた方が良いと思います。
珪藻土リフォームは、特定の珪藻土を使い続けている工務店に依頼するのが良い
自然素材は、使い続けてようやく材料の癖が分かるものが多いです。例えば、珪藻土は自身で固まる性質が無いため、硬化材として「合成樹脂」もしくは「自然素材である石灰」で固めるのですが、「ケイソウくん」は、「自然素材である石灰」で固めるタイプの本格派な珪藻土でだったので、調湿性能・消臭性能・意匠性は高かったのですが、ひび割れが入りやすくて大変でした(12年前に初めて使った時)。
「合成樹脂系の珪藻土」は、ひび割れが入りにくい代わりに、樹脂特有のビニビニした質感で、調湿性能や消臭性能も低かったので使えなかったのです。
最初は、多少割れが入りやすいことを施主に説明して使い続けました。最近は、メーカーでも改良が行われてひび割れが入りにくくなり、材料の癖も分かって上手に仕上がるようになりました。10年以上、珪藻土はこれだけを使っています。他の色を使って失敗したので、色もプレーンな白のみを使っています!
自然素材は特に、材料の伸縮等が起きやすいので、特定の建材を使い続けて癖を理解している工務店(リフォーム会社)が信頼できるのではないかという話でした。
クロスの上から塗る珪藻土リフォームの施工手順
珪藻土リフォームの見積依頼があったら、お宅に伺い既存クロスの状態と、室内の置き家具の様子を確認します。置き家具は基本的に施主に移動してもらいます。コンセント移動や増設、照明の変更、クロス補修が必要であれば、電気工事とクロス工事を先に行う見積もりを作成します。見積が了承されれば契約し、施主と工程を打ち合わせます。
置き家具移動(基本的に施主が行う)→電気工事(必要な場合)→クロス補修(必要な場合)→照明、コンセントプレート撤去→クロス上シーラー塗布(接着剤)→珪藻土上塗り→2~3日で乾燥したら、置き家具移動(基本的に施主が行う)で完成です。施工日数は、20帖程度の壁と天井なら、電気工事1日、クロス補修2日、シーラー塗布から珪藻土塗りの左官工事が2日程度の、合計5日程度だと思います。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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