2016-01-13
MK-house(芳賀町 下高根沢)
日常のお手入れ

【暖冬注意!】窓が開かなくなった原因は、害虫とは思えない蜂の仕業だった

ミツバチjpg

出典

 

思いもよらない昆虫が住まいの害虫になるという話をしたいと思います。皆さんは、住まいの害虫と言うと、スズメバチ、ゴキブリ、白蟻等を想像すると思います。しかし今回は、普段は人間に害を及ぼさない普通の虫の話です。

 

家の窓がなぜか開かない

6年前の2010年3月。お客さんMK-houseから、2階の窓が開かないので、見に来てほしいという電話がありました。開かないのは、出窓の端の縦滑り出し窓です。普通の窓との違いは、外部がアルミで覆われた木製サッシュであること。アメリカのペラ社の木製サッシュ。

ペラ滑り出し窓

 

通常は、窓の下枠についたハンドルをクルクル回すと開くのですが、窓の下の方は開きそうな感じがするものの、窓の上の方はピッタリと閉じて開きません。その他の窓も全てチェックしましたが、開かないのはこの窓のみでした。

 

接着剤で付いたように窓の上の方が開きません。こんな経験は初めてなので、全く原因がわかりませんでした。原因の見当がつかず、何度開けようとしても全く開かないので、頭を整理して、後日、大工と一緒に出直すことにしました。

 

サッシュ業者や、大工に相談して、窓が開かない理由3つを家で考え、大工と一緒に現地で対処してみました。

 

窓が開かない理由を考えてみた
  1. 水密性を取るためのゴムパッキンが熱で溶けて、木枠について取れなくなったので窓が開かない状態になっている。

→細い金物を窓と窓枠の隙間に入れてみたが、ゴムパッキンの解けた形跡はなし。なのでこの可能性は無さそう。

 

 

  1. 建物自体が沈下して斜めになり、窓自体も斜めになり開かなくなっている。

→この理由であれば一大事。しかし、2階部分の出窓なので、窓上に建物は載っていないし、測ってみたら建物も窓も水平な状態でした。東日本大震災の前の出来事でしたが、新築時に、地盤補強もしていたので、この可能性は、ほぼ無いと思っていましたが、正直ほっとしました。後で良く考えたら、家が傾いていたら、窓の下部も開かないです。

 

  1. 木製サッシなので、木部が湿気等で膨らんで開かなくなった。

→窓枠上下につっかえ棒をして、窓を開くように広げてみたが、全く窓は開かなかった。ということで、この可能性も無し。

 

上記3つを試しましたが、全く窓は開きませんでした。

 

窓は開かず、完全なお手上げ状態となりバールでこじ開けた

最終手段で、お客さんに了解をとり、窓に傷が極力付かないように(とは言っても多少の傷は我慢してもらい)、バールを窓枠の隙間に差し込んで、力を入れて窓をこじ開けてみると、ボンドで付けたような物凄い接着力でしたが、少しずつ開いてきました。

 

「やった。やった。開いた―!」

 

窓がやっと開いて、私もお客さんも大工もひと安心です。

 

窓枠の上の方をよく見ると、黒っぽい物体が窓枠にべったりと付いています。

 

これです。

蜂に固められたと思われる窓枠

 

表面のベトついた、固形物。写真のような硬いキャラメルのようなものが張り付いていました。この固形物。バールやカワスキ(金属のヘラ)で取り除こうとしても、粘着力が強くて全く落ちません。木工用ボンド並みの接着力です。

 

蜂の仕業だった

べとついた固形物と一緒に死んだ蜂がいました。窓が開かなかった原因は、蜂の巣と蜜が接着剤代わりとなり、窓と窓枠を固定していたようです。まさか蜂の蜜と巣が接着剤になって、窓が開かないなんて考えませんから、驚きでした。

 

お客さんによく聞いてみると、ほとんど窓を開けたことが無く、気が付かなかったそうです。月1回程度は窓を開けて、虫やゴミが無いか、点検してもらうようにしました。アルミサッシュや樹脂サッシュも月1回程度は、窓を開けて周囲を点検しましょう。

 

自然の多い場所は、住まいも動物や昆虫の影響を受けやすいので注意が必要

昨日、2016年1月12日。MK-houseに年1回の定期メンテナンスに行ってきました。定期メンテナンスの内容は、換気システムの清掃と窓のチェックと清掃です。ご年配になると換気システムの清掃は面倒だし、フィルターは脚立に載らないと掃除できなかったりするので注意が必要になります。

 

また、本日書いたように、6年前に窓を蜂にガッチリ固められてしまい、全く窓が開かなくなってしまったので、それ以来、毎年1回全ての窓枠の点検と清掃も行っています。建物が大きいと、全ての窓を開いて、状況をチェックし清掃するだけでも大変なのです。

 

今年の窓の点検では、暖冬の影響か、窓枠に多くの昆虫が冬眠していました。虫を見ていたら、6年前の悪夢を思い出したので、それを書きました。自然の多い環境は魅力ですが、虫も多いのです。今では笑えますが、原因が全く分からず、ホントに悪夢でしたwww。

窓枠で蜂とテントウムシが冬眠中

窓枠で蜂とテントウムシが冬眠中でした

 

窓枠で冬眠中の蜘蛛

これは蜘蛛。今年は暖冬のためか、窓枠に虫が多かった。

 

窓の虫の死骸をそのままにしてしまうと、特に木製窓の場合は、ゴミが溜まりやすくなります。ゴミに水分が溜まると、窓の木部が劣化しますから、定期的に清掃は必要なのです。

 

動物や虫が住まいに巣を作ってしまい悪い影響がでるのは白蟻が代表的ですが、このように思いもよらない虫が原因ということもあります。

 

特に、林や森が近くにある自然の多い場所は、住まいも動物や昆虫の影響を受けやすいので注意が必要という話でした。

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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