2025-12-17
冷暖房・換気システム
高断熱・高気密住宅

「床下エアコンが効かない」というご相談に対して、実例を交えてお答えしました~その2~

WEBの問い合わせフォームに、関西在住のMさんから「床下エアコンが効かないので相談したい?」という連絡がありました。相談者Mさんとの、メールのやりとりの続きです。

その1からの続きです

【お問い合わせ内容2】間違いなくコレや!と思ったのは、「ショートサーキット現象が起きている」ということ

今までは床下エアコン周りを塞がずに使っていた。それが暖房の効きが悪かった原因の1つ

寒い、わが家について、ご相談をさせて頂いたMでございます。

熱意のこもったご回答を頂き、大変感謝しております!

ありがとうございます!

吉田さまからのレポートを拝読し、基礎情報を追加しますと、

わが家は、

  • UA値0.43
  • Q値1.82
  • C値0.2
  • ηAC 1.6
  • ηAH 1.5
  • 床ガラリは6つ。
  • 第3種換気にしました。
  • エアコンは2階に1つ、床下に1つ
  • 床下エアコンは、三菱ルームエアコンMS2-2W5617S-W 定格電圧200v
  • 2階は小さいエアコンです
  • エアコンは1.2階で合計2台です。

日中、リビンクは日射取得が出来ている家です。寒い本日でも22℃くらいまで室温が上がりました。そういう日は夜でもあまり下がらず、就寝時には18℃か少し下がるくらいです。

吉田さまのレポートで間違いなくコレや!(関西弁ですみません)

と思ったのは、「ショートサーキット現象が起きている」ということ。

床下エアコンの給気と排気が混在していることは、間違いないと思いました。

昨年の冬、工務店の建築士さんが年末の挨拶に来られた時に、「(エアコン周りを)塞いだら寒さがマシになるかもしれない」と言っていたのを思い出しました。

貴社のように、床下エアコン周りの気密部材を木製にするというのは女手では難しいので、発泡スチロールか何か買ってみて、来週末にでも塞いでみます。

ワイヤードリモコンについても興味深く、このブログ記事を読んでお話をお聞きしたかったこともあり、近々コストをかける覚悟をしないと!と思っています。

現在はショートサーキットしており、室内が全然暖かくなっていないのに、エアコンが温めたと勘違いしている状態だと思います。

ブースターファンまでついていれば、後々老後に使用しようとしている寝室まで暖気が届きそうですが、後付け施工はお金がかかりそうですね……

それにしてもレポートのデータ量には驚きました。私がお世話になった工務店はたぶん専門外なんじゃないかと思います。吉田さまが建てられたお家のように、そこまで住環境にこだわれば最高だと思いました!

またブログを読んで、床下掃除まで自ら行っているのを拝見し、びっくりしました。

思わず、わが家の床下を、まじまじと覗いて見てしまいました。施工はとても丁寧にしていただきましたが、床下を掃除機かけるところまではやっていないと思います。敬服いたします。

まずは来週、塞ぐところからトライしてまいります。

ありがとうございます!

わが家の床下エアコン周りの写真12枚を送ります。

M様のお宅の床下。ちゃんと基礎断熱になっていました

【私からの返答2】床下エアコン周りの現況写真を拝見してアドバイス

M様

送って頂いた、床下エアコン周辺の12枚の写真を拝見いたしました。

写真を見たところ、エアコン周りを全く塞いでおらず気密性が取れていないので、給気と排気が混ざってショートサーキットが起きていると考えられます。暖房の効果が出にくい原因の1つだと思います。

そのため、床下エアコンのリフォーム(DIY含む)を進めるにあたっては、以下の2点に注意すると良いと思います。

1. エアコン周辺の気密性確保(給気と排気の分離)

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_7852.jpg
エアコン周りの気密性の確保 マーベックス社 涼暖資料1

M様がおっしゃる通り、現在はエアコン周りの給気と排気が分離されておらず、ショートサーキットが発生しているのは間違いないと思います。暖気が十分に床下に送り込まれず、エアコンが自らの暖気を感知して早めに停止している可能性があります。

ご自身でDIYする場合は、エアコン周囲を発泡スチロールなどで囲って気密性を高めることで、給気(リターン)と排気の経路が明確になり、ショートサーキットが起こりにくくなります。

暖気が床上に漏れてしまい、床下に圧力がかかっていない状態なので、エアコン周りを密閉すれば、暖気が床下にしっかりと送られ、暖房効果が高まるはずです。

また、リターン口(給気口:エアコン上部)からしっかりと給気できるようにすることも重要です。エアコン前の格子戸の開口面積が不足しているように見えるため、運転時は格子戸を外すことをおすすめします。

エアコン前の格子戸の開口面積は、エアコン上部の給気口面積よりも、広い開口面積が必要です。

床下エアコン周りの気密性確保と給気と排気の分離の参考図を添付しておきます。

エアコンへの給気の確保 マーベックス社 涼暖資料2

添付した2つの絵は下記のブログに掲載しているものです。このブログはマーベックスという換気メーカーの「涼暖という床下エアコンシステム」について書きました。

「涼暖」の床下エアコン周りの仕様は、良く出来ていると思いますので参考にしてください。

2. 床下エアコンを交換する際は、適切な容量の、ワイヤードリモコン付きの機種を選定する

現在ご使用のエアコン(三菱ルームエアコン MS2-2W5617S-W)は、以前のお宅から移設されたもので、2016年製のため約9年が経過しています。そろそろ交換時期とも考えられます。

また、現在付いている三菱ルームエアコン MS2-2W5617S-Wの暖房能力は、6.7KWで18畳くらいを想定しています。大きめなのだと思います。

交換する場合は、新築した工務店にエアコンの容量計算(負荷計算)を依頼し、お宅にとって最適な能力のエアコンを選定することが重要です。


容量が大きすぎても小さすぎても、効率が悪くなるため、計算は必須です。

ワイヤード(有線)リモコン仕様のエアコンを選ぶと、室温設定が安定しやすく、室内の温度管理がしやすくなります。


その際の設置手順は、以下のようになります:

  1. 工務店にエアコンの負荷計算と見積り依頼
  2. 工事決定
  3. エアコン業者による機器設置(ワイヤードリモコン配線含む)
  4. 工務店によるエアコン周辺の気密工事

エアコン交換する際、ワイヤードリモコン用の配線は、露出せずに壁内に通す隠蔽配管も可能だと思います。

これらの工事は、専門業者への直接発注ではなく、新築した工務店に一括で依頼するのが安全で確実です。

工務店に連絡するのではなく、まずはM様ご自身で、発泡スチロールを使ってエアコン周りの気密性を改善されるとのことですが、効果が現れた場合は、ぜひご報告ください。

【お問い合わせ内容3】相談者がDIYを行い、少し改善した

今まではエアコン周りの気密無しで運転していた
エアコン周りの気密DIY
さらに床面との隙間を無くすDIY

吉田さま

いつもお世話になっております。


床下エアコンについて、ご相談させて頂いているMです。

先日のアドバイスを受けて、土曜日に発泡断熱材と格闘しながら、できる限りエアコン周辺を密閉してみました。

写真のように断熱材を養生テープで仮止めしています。

その状態でエアコンを稼働させたところ、各部屋の床ガラリから空気が上がってくるのを感じ、「おぉ!これか!!」と感動しました。

…が、感動はそこまででした。

エアコンの暖房能力が弱くなっているのか、期待していたほど室温が上がりません。

設定温度はリモコンで28度にして、風量は電気代が気になるため自動モードに。その状態でつけっぱなしにして就寝したところ、今朝の室温は18度でした。

ちなみに、以前の同じ時間帯の朝の室温は14度でしたので、多少は効果が出ているようです。

日中に晴れ間が出た時には21度まで上がりました。

現在は、エアコン前の格子戸を開けたままにし、リビングの床ガラリも外して様子を見ています。

室内の空気が柔らかくなったように感じ、少しホッとしています。

外に出ると北風が非常に冷たかったため、エアコンがある程度効いているのは確かです。

本当は「室温がしっかり上がりました!」とご報告したかったのですが、やや中途半端な結果となってしまい、申し訳ありません。

しばらく様子を見て、必要であれば新築した工務店に連絡してみようと思います。

この度は本当にありがとうございました。

【私からの返答3】床ガラリ上にサーキュレーターを上向きに置いて、床下の暖気を床上に上げたらどうか?

こんにちは。

床下エアコン周りの写真を拝見しました。

床下エアコンがショートサーキットしないよう、DIYでエアコン周囲に発泡断熱材を取り付け、気密性を高め、給気と排気のルートを分離されたのですね。

その結果、朝の室温が以前より4度くらい上がったとのこと。


以前は夜間エアコンをつけっぱなしでも朝の室温は14度だったのが、現在は18度まで上がったとのことから、効果が出ていると感じました。

これまでは、エアコン周辺の気密性が確保されておらず、ショートサーキットが発生していたため、エアコンが正常に動作せず、室温が上がりにくかったのだと思われます。

今回のDIYで、確実に状況は改善されています。


とはいえ、これ以上の気密性の向上や給排気の完全な分離は、DIYでは難しいかもしれません。

将来的に「ワイヤードリモコン付き」のエアコンに交換される際には、床下エアコンまわりの気密工事も含めて、新築した工務店に依頼されるのが良いと思います。

また現状は、既存エアコンの暖房能力が弱くなっているのではなく、今の床下エアコンは容量が大きく風量も強いため、ある程度気密性の確保は出来たけれども、暖かい空気がエアコン周囲に漏れている可能性があります。すると、温度が上がったとエアコンが感知して停止しやすい傾向があるのかもしれません。

■改善に向けたポイント(工務店に依頼する時)

  1. ご自宅の状況に合った容量の、ワイヤードリモコン付きエアコンに交換すること
  1. 工務店に依頼して、エアコン周りの気密性を高める部材を作ってもらうこと

■現在お試し頂きたいこと

床下から出た冷気は、サーキュレーターにより2階まで冷やしていた

エアコン交換を工務店に依頼する前に、試して頂きたいことがあります。

添付した写真は、今年の7月末に当社のお客様宅で撮影したものです。

そのお宅では、真夏に2階の冷房用エアコンが壊れたため、交換までの間、床下エアコンを冷房に使いました。2階建て延床25坪ほどの、開放的な間取りのお宅です。

床下エアコンで冷房して、床下エアコン前方の床ガラリ上にサーキュレーターを上向きに設置し、床下の冷気を室内に持ち上げました。吹抜けから冷気が2階に上がり、階段から冷気が下がって「家全体の空気(冷気)の流れ」が出来ていました。扉をすべて開けていたことで、2階も含めて、室内隅々まで冷房が効いていました。

サーキュレーターで床下の冷気を1階床上及び2階に上げた

M様のお宅でも、床下エアコンで暖房して、1か所床ガラリ上にサーキュレーターを上向きに設置してください。

暖気は冷気よりも上昇しやすいため、M様宅でも写真のようにサーキュレーターを使えば、床下の暖気が床上に上がり、空気の流れが出来て室温は上がると思います。

床ガラリの上にサーキュレーターを置いて、上向きにするだけなので簡単です。

サーキュレーターの設置場所はエアコンの前が良いと思いますが、設置場所とサーキュレーターの風量は、実験的に試してみてください。

また、別のお宅では、サーキュレーターを床下に入れて、床下エアコンの暖気を拡散させたこともあります。一定の効果はありましたが、床上に置いて効果が出るなら、そのほうが手軽でおすすめです。

なおサーキュレーターを新たに購入される場合は、DCモータータイプがおすすめです。ACモーターよりも静音性が高く、消費電力も少なく長持ちすると言われています。

【お問い合わせ内容4】 暖かくなったが、ほぼ現状維持

吉田さま

お世話になっております。


いつも、素人の私にも分かりやすいアドバイスをいただき、ありがとうございます。

今朝は、空気が少し暖かく感じられて嬉しくなり、思わずニヤニヤしてしまいました。


とはいえ、まだフリースを着てモコモコのスリッパを履いている状態なので、もう少し改善の余地がありそうですね。

工務店に連絡することに致します。失礼のないよう、うまく伝えられるように頑張ります。

また、サーキュレーターを使ってみようと、旧宅から持ってきた箱を久しぶりに開けたのですが、ホコリが溜まりすぎていてボロボロでした(泣)。


こちらは、また改めて検討することにします。

ありがとうございました。

【私からの返答4】再度、サーキュレーターを勧めてみた

M様

承知しました。

床ガラリの上にサーキュレーターを設置すると、床下の暖気が床上に上がりやすくなり、室内は暖かくなると思います。

試しにやってみてください。

※今後やりとりがあれば、続きます

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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