Q1.0住宅「小幡の家」夏の温湿度実測結果── 下屋があり・吹き抜けが端にある住宅でも、室温が均一に近づいた高断熱住宅の実例 ──

概要（調査目的・期間）

真夏の温湿度変化を実測して、快適な室内環境になっているのか?検証しました。

2025年7月19日（土）～8月30日（土）の42日間、真夏のQ1.0住宅「小幡の家」における温湿度を実測。

その中でも特に暑かった1日、8月23日を選び、室内各所の温湿度推移をグラフ化して詳細に分析を行いました。

実測結果を初めに書いておきます。

いずれも一般的に快適とされる夏の温湿度です。冬季測定と同様に、快適な状態となっている理由も書きました。

室温を均一にするなら、平面が真四角の総二階にするのがベストです。その理由として、上下階が揃うシンプルな形のため、空気の流れや断熱・気密の性能を安定させやすく、冷暖房が家全体に均一に届きやすいからです。

しかし、このお宅では「1階で全てが完結する」という間取りによる快適性を重視した為、1階が2階より広い、下屋のある住宅になりました。

下屋があると、総二階と比べて内外観が複雑になり、外皮面積も広くなり熱の出入りも多くなります。かつ総二階と比べて、下屋のある家は、空気が滞留しやすい室内形状のため、冷暖気が家の隅の部屋に届きにくいのです。

また、「吹抜け」も日射取得しやすい東端に配置したので、建物中央に「吹抜け」がある場合に比べると、空気を家の隅々まで届けにくく、室温を均一にしづらい環境でした。

しかし、上記グラフのように家全体の平均室温は26.2℃で、各部屋の温度差は、±1℃以内に納まる温度差の少ない家になりました。

42日間の測定データから、もっとも外気温が終日高かった8月23日を取り出し、1日の温湿度変動を解析しました。

この日を選んだ理由は、一日中晴れで雷雨もなく、外気温が22時まで30℃を超えていた、猛暑日だった為です。

外気温は9時くらいから上がり、12時半に39.1℃となり、この日の最高気温を記録。18時に34℃、22時にまだ30.9℃、深夜23時45分でも28.8℃の猛暑日でした。

一番暑さが厳しい1日を選ぶことで単純化して、視覚的に分かりやすくお伝えします。

夏、涼しく過ごすためには、窓からの日射熱を遮ることが大切です。これを日射遮蔽(にっしゃしゃへい)と言います。

東・南のFIX窓に電動外付ブラインド、南の引き違い窓に手動シャッター設置
窓内側にはすべてハニカムサーモスクリーンを装備
外付けの電動ブラインドとシャッターを全て降ろしてしまうと、エアコンがサーモオフしてしまうことがある。そのため、東側2階のブラインドを開けるなどして、晴れた日の午前中など、あえて日射取得する時間を確保してエアコンを運転させて、なるべく湿度を下げる工夫もしている

※サーモオフとは、設定温度に達してエアコンの冷暖房運転が一時的に止まっている状態のことです。室温が上がった、または下がった時に、自動的にコンプレッサーが再稼働します。