黒いガルバリウム鋼板外壁材に、クモの巣が張りやすいのはなぜ?蜘蛛の巣が張りやすい立地・色・掃除法をプロが解説

「ガルバリウム鋼板外壁材の蜘蛛の巣対策」というテーマでブログを書こうと思います。
最近、蜘蛛の巣が張りやすい住宅の特徴について、立地や外壁材の色、建物の形状などから傾向が見えてきました。
まず結論からお伝えすると、川の近くに建つ家でガルバリウム鋼板外壁材を使う場合、外壁の色は黒・ガンメタリック・濃いグレーといった暗い色の外壁は、蜘蛛の巣が張られやすい傾向があります。一方で、シルバーや白などの明るい色を選ぶと、蜘蛛が付きにくくなります。
なぜこのような差が出るのか、理由を詳しく説明していきます。
目次
ガルバリウム鋼板外壁材は、立地と色によってはクモの巣が付きやすくなることがある
ガルバリウム鋼板外壁材は、雨に対する耐久性が非常に高い建材です。レンガや石を模した窯業系サイディングとは異なり、ハリボテ感がなく、建材メーカー特有の癖も感じさせないため、シンプルで違和感のない、プレーンな外観に仕上がるのが特徴です。
このような理由から、当社では、ガルバリアム鋼板外壁材を、新築住宅の標準仕様として採用しています。
中でも、私が最も評価しているのは「耐久性」です。ガルバリウム鋼板外壁材は、窯業系サイディングと比べて、塗装リフォームまでの周期が長く、結果としてメンテナンスコストを抑えることができます。
また、万一、塗装のタイミングを逃してしまった場合でも、窯業系サイディングより外壁の基材が傷みにくく、劣化の進行が比較的ゆるやかな点も大きな利点です。
ガルバリウム鋼板外壁材は、既存の外壁材をすべて剥がして張り替えるような、大がかりなリフォームになる可能性が低くなり、施主にとっては金銭的・精神的な負担が少なく、”比較的おおらかに暮らせる”外壁材と言えるでしょう。
とはいえ、メリットばかりではありません。過去のブログでも触れたように、ガルバリウム鋼板外壁材は厚さわずか0.4mm程度の鋼板なので、物がぶつかると簡単に凹んでしまう弱点があります。
対して、窯業系サイディングはセメントと繊維質の原料を混ぜ、板状に成形したあと高温で焼き固められており、15mm以上の厚みがあるため、衝撃にも強く凹みにくい特徴があります。
さらに今回のブログで詳しく取り上げるように、ガルバリウム鋼板外壁材は立地や外壁の色によっては、毎年のようにクモの巣が外壁全面に張られてしまうことがあるのです。特に川沿いなど虫の多い環境で、黒やグレーなどの濃い色の外壁を選んだ場合は、クモが巣を作りやすい傾向があります。
このように、どんな建材にも良い面と悪い面の両方があるのが常です。すべての条件を満たす「完璧な建材」は存在しないため、建材選びではメリット・デメリットのバランスを理解しておくことが重要です。
外壁の高所や軒天にクモの巣が張ると掃除がとても大変です

クモは、一般的にハエや蚊などの害虫を捕食するため、「益虫」として扱われることが多い存在です。とはいえ、いくら益虫であっても、住宅の外壁がクモの巣だらけになってしまうと、どうしても家全体が汚れて見えてしまいます。
だからこそ、クモの巣をただ取り除くだけでなく、その後にクモが付きにくい環境をつくる対策が必要だと考えています。
上記に掲載している写真は、当社が2016年に施工した住宅のガルバリウム鋼板外壁材です。新築から数年間は外壁の状態も良好でしたが、2022年頃からクモの巣が増え始め、外観の美しさに大きな影響が出るようになりました。そのため、現在は施主と連携して、さまざまな対策を講じています。
手の届く範囲、つまり1階部分の低い位置に張ったクモの巣であれば、箒(ほうき)や水をかけながらブラシでこすれば、比較的簡単に取り除くことができます。
しかし問題となるのは、外壁の高い場所や軒天部分に張られたクモの巣です。これらは地上からでは届きにくく、掃除をするには脚立や長柄の清掃道具、場合によっては足場が必要になります。毎年繰り返し掃除が必要になるとなれば、施主にとっても手間と負担が大きくなります。
2021年までは、施主がこまめにクモの巣を取り除いていたようです。実際、それまでは外壁がそこまで汚れている印象はありませんでした。しかし新築から6年以上が経過した2022年以降は、外壁表面の滑らかさが落ちてきたこともあり?、クモの巣が張りやすくなってきたのではないかと推測しています。
この住宅の外壁に使用されているガルバリウム鋼板の色は黒(ブラック)です。濃い色の外壁は、蜘蛛と背景とのコントラストが低いため、クモが安心して巣を張りやすい傾向があります。さらに、この住宅の立地や、周囲の環境もクモの発生に影響を与えています。立地と外壁色の組み合わせには注意が必要です。
クモの巣がつきやすい家は「立地」にも要注意。川沿いの住宅では特に注意が必要です

この住宅が建っているのは、宇都宮市内でも比較的大きな川である田川沿いです。
川沿いという立地は、実はクモの発生に大きく関係しています。というのも、川の近くではカゲロウと呼ばれる水生昆虫が大量に発生しやすく、そのカゲロウがクモの主な餌になるからです。餌が豊富な環境には、当然ながらクモも集まりやすくなります。
このような背景があるため、川沿いの立地に建つ住宅では、クモが活発に活動する季節になると、ガルバリウム鋼板の外壁材の表面にクモの巣が頻繁に張られるようになります。実際に、このお宅でも年々その傾向が強くなっているのを実感しています。
一方で、川から離れた場所にある住宅では、同じ断面・同じ色のガルバリウム鋼板外壁材を使っていても、ここまで目立ってクモの巣が付くというケースは見かけません。これは、川沿いほどカゲロウなどの虫が発生しないため、クモが集まる条件が揃っていないからだと考えられます。
ただし注意しなければならないのは、川沿いでなくても照明の近くには虫が集まりやすいため、似たような状況になる可能性があるという点です。カゲロウや他の飛来昆虫は、夜間になると外灯や玄関灯、庭の照明などに集まる習性があります。
そのため、照明の近くにあるガルバリウム鋼板の外壁は、川沿いでなくてもクモの巣が付きやすくなることがあります。
住宅の立地条件や、外壁や外構の照明計画によって、クモの巣の付きやすさに差が出るということを、外壁材を選ぶ際や建築時に、あらかじめ意識しておくことが大切です。

クモの巣が増えるのは夏から秋。カゲロウの発生時期と重なることで外壁に蜘蛛の巣が張りやすい

ガルバリウム鋼板外壁材にクモの巣が目立ち始めるのは、毎年8月から10月にかけての時期です。この時期になると、外壁の広い範囲にわたって、クモの巣が多く見られるようになります。11月になると、クモの姿そのものはほとんど見かけなくなり、蜘蛛の巣だけがそのまま残っています。
私たちは、クモの巣の掃除を11月に実施しています。これは、クモが活動を終えたあとに行うことで、効率よく除去作業ができるためです。
毎年8月から10月ににクモの巣が多く見られるのは、ちょうどカゲロウの発生時期と重なるからです。カゲロウの発生は、種類や地域によって多少差はあるものの、早ければ5月頃から現れ始め、ピークは8月から9月ごろです。このタイミングが、クモの活動と完全に一致しており、餌が豊富なことでクモも活発に巣を張るようになるのです。
つまり、カゲロウなどの飛来昆虫の発生と時期が、外壁にクモの巣が集中して張られる大きな原因と考えられます。
外壁の美観や掃除の負担を考えると、カゲロウとクモの関係を理解しておくことは、非常に重要です。
クモの巣が張りやすい家の特徴とは?外壁材の色・形状・立地に要注意
チャットGPTに「蜘蛛の巣が張りやすい家の特徴と、蜘蛛の巣の予防方法」について聞いたところ、下記の表と文章が出てきました。
張りやすい条件 | 予防方法 |
---|---|
濃い色の外壁 | 清掃や忌避剤で対処 |
凹凸のある外壁 | 凹凸部分を重点的に清掃・忌避処理 |
軒・庇がある | こまめに巣を取り除き、忌避剤を使う |
虫が集まりやすい照明 | 電球色LEDに交換 |
植栽が近い | 剪定・配置を見直す |
1.外壁の色が濃い(黒・グレー・ブラウン系など)と、蜘蛛の巣は張りやすい
クモは巣を張る場所として、背景とのコントラストが少ない落ち着いた場所を好む傾向があるそうです。
- 黒や濃いグレーなどの外壁は、クモの体色と同化しやすく、ヤモリやアマガエルなどの天敵に見つかりにくい「保護色」となります。
- クモにとって「目立たずに安心できる場所」となり、巣を張りやすい条件が整ってしまいます。
- 一方で、白や銀、ベージュ、明るいグレーなどの明るい外壁色は、同化しにくく、天敵に見つかりやすいため、クモが避けやすいとされています。
- 明るい色の外壁であれば、たとえ蜘蛛の巣が張られても目立ちにくいという利点もあります。
※なお、「クモが住処の背景色を識別して、巣を張る場所を選んでいる」という説には、科学的には一部のクモに当てはまる可能性があるものの、すべてのクモに当てはまるわけではなく、まだ研究段階にある。とのことです。(チャットGTPより)
2.外壁材に凹凸があると、蜘蛛の巣は張りやすい
- スパンドレルや縦リブなど、断面に凹凸のある外壁材は、クモにとって足場が取りやすく、巣の支持点になりやすいです。
- 実際、スパンドレル形状のガルバリウム鋼板外壁材では、リブの谷部分にクモの巣が張られているのをよく見かけます。
- 反対に、平滑でフラットな外壁材の方が、クモの巣は張りにくい傾向にあります。
3.軒や庇が深いと、蜘蛛の巣は張りやすい
- 軒が深く出ていたり、庇がある住宅は、外壁に直射日光や雨が当たりにくくなります。
- 軒や庇が深いと人にとっては外壁が劣化しにくくなるという利点がありますが、クモにとっても「雨風や日差しを避けられる快適な空間」となってしまい、巣を張る格好の場所になります。
4.照明が多く、虫が集まりやすいと、蜘蛛の巣は張りやすい
- 玄関灯やセンサーライト、外構照明などが多い家では、照明に集まってくる虫を狙ってクモもやってきます。
- 結果として、照明周辺にクモの巣が張られやすくなる傾向があります。
5.植栽や庭木が外壁に近いと、蜘蛛の巣は張りやすい
- 外壁の近くに庭木やツル植物などの植栽があると、虫が寄りやすくなり、それを目当てにクモも集まります。
- 植物が外壁に触れるような位置にある場合は、特に注意が必要です。
6.川沿いなど、虫が多く発生する立地は、蜘蛛の巣は張りやすい
- このブログで紹介している住宅も、宇都宮市内の田川沿いに建っており、カゲロウなどの水辺特有の虫が大量に発生します。
- クモにとっては、餌が豊富な理想的な環境となるため、川沿いの立地ではクモの巣が非常に張られやすくなります。
項目 | 推奨される選択 |
---|---|
色 | 白・ベージュ・淡いグレー |
デザイン | フラット・凹凸の少ない外壁 |
素材 | ガルバリウム鋼板(平滑)・吹付仕上げ塗装壁 |
付帯部 | 軒天や窓まわりの凹凸を減らす |
クモの巣を防ぐ、4つの予防策
1. 照明の色を変える
- 外灯や玄関照明などを、虫が集まりにくい「電球色LED(オレンジ色)」に変更するのがおすすめです。多少は集まりにくくなると思います。
- 白色や青白い光は、虫を強く引き寄せる性質があるため、結果的にクモも集まりやすくなります。
- 特に玄関や外構照明など、人がよく出入りする場所では効果が期待できます。
2. 外壁や軒天をこまめに清掃する
- クモの巣や卵、虫の死骸が残っていると、クモが再びその場所に巣を張る可能性が高まります。
- 雨だけでは落ちにくい汚れや巣は、水洗いと一緒に中性洗剤で軽くこすり落とすと効果的です。
- 定期的な掃除によって、「ここは住みにくい場所」と認識させることができます。
3. クモ専用の忌避剤を使う
- 市販されている「クモ専用忌避スプレー」などを使うことで、クモが嫌がる成分によって巣を張るのを防ぐことができます。
- ただし薬剤の効果は一時的なため、雨が当たる部分では流れ落ちやすく、1〜2か月ごとの再施工が必要になります。
- 高所など届きにくい場所は、脚立や長柄のスプレー道具を活用しましょう。
4. 植栽の配置と剪定を見直す
- 外壁や軒先に近すぎる植栽は、虫のたまり場となりやすく、クモも集まりやすくなります。
- 壁から距離をとって植える、あるいは枝をこまめに剪定して風通しを良くすることで、虫・クモの発生を抑えることができます。
- 特に、ツル植物や背の高い樹木が外壁に触れている場合は注意が必要です。
日々のちょっとした工夫とメンテナンスで、クモの巣がつきにくい住まいを維持できます。目立つ場所に巣が張られる前に、早めの対策を心がけましょう。
外壁の高い場所や軒天にクモの巣が張ったときの掃除方法




初年度は、私が、写真のアズマ クモの巣取り棒4.7mを使い、掃除しました。クモの巣取りスペアも必要です。
クモの巣取リ4.7m1本と、6尺脚立2本と足場板があれば、足場を作って2階建ての軒天井まで掃除出来ます。
延床40坪くらいの家なら、取った蜘蛛の巣を捨てながら作業すれば、クモの巣取りスペア (5枚入)は1セットあれば充分です。


窓枠も、蜘蛛や虫で汚れているということで、2年目以降は、クリーニング業者に依頼して、外壁と窓廻りの掃除をしています。
ガルバリウム鋼板外壁材に、蜘蛛の巣を作らせないようにする方法
1.くも用の忌避剤の使用

毎年、ゴールデンウィークくらいと7月初めくらいの2回、施主に、蜘蛛用の忌避剤、プロケミ クモルスストレートを、基礎立上りに噴霧してもらっています。
蜘蛛は羽根が生えているわけではないので、飛んで来て、直接外壁に付くわけではありません。地上を歩いて、基礎から外壁材に登って来るのだと思います。ですから、基礎に蜘蛛用忌避剤を噴霧しています。
2.蜘蛛の巣除去

https://www.earth.jp/products/kumosyoumetsu-450/
まだ使ったことはありませんが、クモの巣消滅ジェット(アース製薬)も効果がありそうです。ただし、外壁に直接噴霧すると、変色等の恐れもあるため、外壁材の一部で「試し吹き」をしてから噴霧するように使用説明に書いてあります。
3.蜘蛛の巣を定期的に除去
蜘蛛の巣を見つけたら、アズマ クモの巣取りなどを使って、すぐに除去しましょう。放置すると、蜘蛛が定着して巣を張りやすくなります。
クモの天敵となる生物
クモの天敵となる生物は、鳥類、ハチ、カエル、ヤモリ、他のクモ、そして一部の昆虫など多岐にわたります。
これまでに私が新築やリフォームを手がけた住宅で、実際に起きた「生き物による被害」についてご紹介します。
その他には、天井裏のネズミを捕獲したこともありました。

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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