JOTO基礎断熱工法 「しろあり保証1000」で使う、「シロアリ返し付断熱気密パッキン」の施工上の注意点
床下エアコンを採用するには基礎断熱にする必要がある。基礎断熱は床断熱と比べて気密性能も確保しやすいメリットもある。
しかし基礎断熱にした場合は、断熱材の配置が、シロアリの居る地面に近くになるので、床面下に断熱材が配置される床断熱よりも、シロアリの被害に注意する必要がある。
当社では、下記写真のように基礎スラブ上全面に、断熱材を敷くことを標準仕様にしているから、よりシロアリに注意が必要。
JOTO基礎断熱工法 しろあり保証1000は、新築時、最低2種類の基礎パッキンの使用だけで竣工後10年以内のシロアリ被害に対し、累計1000万円を限度に保証が付くというものです。
今回、初めて採用しました。
JOTO「シロアリ返し付断熱気密パッキン」は、通常の「基礎パッキンロング」とは違う点があるので、施工上の注意点を書きます。
最初に言っておくと、シロアリ返し付断熱気密パッキンは、現場に行く前に施工説明書を読んでおく必要があり、あらかじめ準備しておく部材もあります。
目次
Joto基礎断熱工法「シロアリ保証1000」で使う基礎パッキンの仕様は2種類
基礎パッキンは、基礎立ち上がり外周部に使う シロアリ返し付断熱気密パッキン と、外周部以外の基礎立ち上がりで使う、通常の基礎パッキンロングの2種類の指定部材を使います。
基礎内張断熱はもちろん、基礎外張断熱でも躯体部分の蟻害に対して保証がでるようになっている。当社では新築時には使用しないが、基礎の吹付断熱材も保証対象となっている。
シロアリ返し付断熱気密パッキンを使う場合、基礎立ち上がり部の断熱材の厚さは75mmが上限
基礎幅が150mmの場合は、基礎立ち上がり部の断熱材の厚さは75mmが上限である。それ以上の厚さだと、シロアリ返しの幅20mm以上が確保できない。
基礎立ち上がり部の断熱材厚さ100mmを使いたい場合は、指定部材が増えて4部材使うプランとなる。指定4部材の仕様も検討しましたが、部材と施工手間が増えてシンプルでなくなるので、採用しませんでした。
基礎外周部の入隅と出隅には専用部材が必要
基礎立ち上がりの外周部の基礎パッキンは、気密パッキン・断熱ブロック・シロアリ返しが一体化した「シロアリ返し付断熱気密パッキン」を使うが、基礎平立ち上がり部の入隅と出隅には、それぞれ専用部材が必要となる。
現場に行く前に施工説明書を読んでおくことが必要
シロアリ返し付断熱気密パッキンは、普通の基礎パッキンとは施工方法が違うので、現場にいく前に施工説明書を読んでおいた方が良いと感じた。
説明書は分かりやすく書かれている。しかし、頭の良い人でないかぎり、合計8ページに渡る施工説明書を、手足がかじかむ寒風吹きすさぶ真冬の現場で、初めて読んでも頭に入らない可能性が高いからだ。
施工説明書は本体段ボール箱の中に入っているが、WEBでも読める。
施工説明書を読んだら、コンクリート釘と専用の調整版が必要なことが判明
施工説明書を読んだところ、墨だしの後、最初に上記した入隅と出隅の専用部材を取り付けるのであるが、それはコンクリート釘♯12(2.7mm×25mm)で基礎天端に取り付けることが分かった。
また、土台とシロアリ返し付断熱気密パッキンの間に隙間が生じる箇所には、「気密パッキン105幅用調整板」という、一般の建材店には、現在のところ在庫していない可能性が高い、調整板が必要であることもわかった。
この2つの部材が必要であることは、私の持っているA4サイズのシロアリ返し付断熱気密パッキンのパンフレットには書かれていない。
施工説明書を読まずに現場に来てしまった場合、コンクリート釘を持っていないなら、買いに行く必要があるから、時間が無駄になる。また、一般の建材店には在庫していない調整板は、事前に購入しておく必要があるので注意が必要だ。
この2つの部材が必要なことは、採用前の段階で分かるように、パンフレットやwebに明記しておいた方が良いと感じた。
玄関内部にタイルを貼る場合は、施工時にシロアリ返し付断熱気密パッキンのカットが必要
玄関廻りの施工も注意が必要である。
基礎内張断熱で、玄関内部の床と巾木がタイルの場合は、外周内側のシロアリ返し部を、あらかじめカットしておかないと、タイル巾木を貼ることが出来ない。
これは城東の営業担当様より事前に教えてもらえて助かった。
言われてみたら納得だが、知らずに施工してしまうと、タイル施工時に、壁が仕上がった状態でシロアリ返し部分をカットすることになる。そうなると玄関内部の仕上がった内装を汚す可能性があり、割と大変な作業である。
シロアリ保証1000のコンセプトブックが分かりやすい
シロアリ保証1000に登録すると、専用ページにログインできるようになり、シロアリ保証1000のコンセプトブックというPDFが読めるようになる。
内容は、シロアリの発生しやすい場所とその対策が書かれている。良く知られた内容であるが、非常に分かりやすくイラスト入りで書かれている。
例えば、施主に対して、家の基礎周りは、物陰になるとシロアリが発生しやすくなるから、基礎と外壁にはモノを立てかけないようにすることが大切だと口頭では説明しているが、このコンセプトブックはとても分かりやすい。
その他にもシロアリの発生しやすい、玄関廻りやウッドデッキについて、シロアリ対策方法が具体的に書かれている。
施主とプロ向けに一般公開したらどうだろうか?新築のみを行う住宅会社なら、シロアリの被害を実感していない場合が多いから、これを読めば家の造り方(主に納まり)が変わるかもしれない。
ベタ基礎一体打ち工法にして給排水を基礎立ち上がりで配管する
この現場から、新築木造住宅の「ベタ基礎一体打ち工法」を採用した。また給排水管を基礎ベース部でなく、基礎の立ち上がり部から抜いている。これで、かなりシロアリが基礎部分から侵入しにくい家になったと言える。
JOTO基礎断熱工法 「しろあり保証1000」でも、基礎は一体打ちにするか、もしくはスラブと立ち上がりを2度打ちにする場合は、立上りを打つ前に、外周部には「基礎止水プレート」を設置して、打ち継ぎ部からのシロアリの侵入を防止することが保証の条件になっている。
新築木造住宅の新築木造住宅の「ベタ基礎一体打ち工法」と床下エアコンに必須な基礎断熱との関係は?と床下エアコンに必須な基礎断熱との関係は?
まとめ
気密パッキン・断熱ブロック・シロアリ返しが一体化した「シロアリ返し付断熱気密パッキン」は、一度施工すれば慣れる部材である。しかし、現場に行く前に施工説明書を読んで、コンクリート釘と、今のところ一般の建材店には在庫していない調整板を買っておく必要がある。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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