2021-04-08
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)

Q1.0住宅@宇都宮市SH-houseの年間光熱費を大公開

お客様にご協力頂き、宇都宮市で建てたQ1.0住宅の年間光熱費を大公開。

概要と結論を先に話すと、光熱費は電気と都市ガスで、水道料金は入っていません。光熱費の設備内訳は、給湯とキッチンコンロがガスで、その他が電気です。

冷暖房は床下エアコン1台と壁掛けエアコン1台の合計2台。

このQ1.0住宅の年間光熱費合計は、13万1142円。それを12ヵ月で割った1か月の平均光熱費は1万928円となりました。

Q1.0住宅@宇都宮市SH-houseの年間光熱費

Q1.0住宅の住み心地

お住まいになってから、何度もお邪魔していますが、

「冬、暖かくてとても快適」

「家の中の温度差がほぼ無い」

「夏も涼しい」という言葉を頂いています。

冬にお邪魔すると、旦那様は靴下を履いておらず素足ということが何度かありました。床下エアコンを入れていると、床の表面温度は室温+2度くらいになります。室温が21度の場合の床の表面温度は23度くらい、マイルドな頭寒足熱状態となり、とても快適なのです。他のQ1.0住宅に暮らす施主も、男性は冬でも靴下を履かずに過ごすこともあるようです。

エアコンの使い方

床下エアコン

暖房専用で使っている床下エアコンは冬の間、付けっぱなしにするということでお願いしました。特に1年目は基礎のコンクリートをキチンと乾燥させたいからです。エアコンは設定温度になったと感知すると運転が止まる(=サーモオフ状態という)ので、基本的には付けっぱなしが良いと思います。

夏は、南面の窓の外側にある日射遮蔽用のスクリーンを、ほぼ降ろしっぱなしの状態とし、東西面も、昼間は窓内側のハニカムスクリーンを降ろして日射遮蔽してもらうようにしました。

夏は外付ロールスクリーン等で日射遮蔽することが重要

施主は冷房が好きではないので、冷房用のエアコンは、点けっぱなしではなく、どうしても暑い時にだけ付けていたとのことでした。窓の外付けスクリーンと窓内側のハニカムスクリーンは、日射を遮るのにかなり効いたと思います。

収納の工夫により室内が片付きやすいという「住み心地」

丸穴の収納が用途を兼ねた玄関収納。丸穴は靴のカビ防止のための通気用。傘とコート掛けの奥行がある。男性用の靴は48足程度収納できる予定。

当社では、室温の快適性だけでなく、造作家具と収納で室内が片付きやすいという「住み心地」と室内の雰囲気も大切にしています。造作家具や建具は、そのままインテリアの一部となり、室内の情緒を決定するので、その機能と雰囲気は、とても重要だと考えています。

お邪魔すると室内が片付いており、それを見ると安心します。というのも、当社では意識して小さめな家を提案しているのですが、小さめな家の場合は室内が狭いので、造作家具が適切に設けられていないと、モノが片付きにくくなるからです。

小さな家の収納のコツの1つは、用途を兼ねるということです。例えば、玄関収納には靴を入れるだけでなく、玄関に収納したほうが良いコート掛けと傘掛けも付けて、玄関が片付くようにする。男性の靴の幅は、22.5㎝程度なので、ザックリと玄関収納には何足の靴が入るのかを施主と打合せしておく。玄関が片付いていると、その効果が他の部屋にも波及するような気がします。

小さな家の場合は特に、人間と「家具・収納」との距離も近くなるので、家具と建具を同じ材料で造ったりして違和感の無いようにしておきます。造作家具や建具が多いと、建築費用は高くなるのですが、適切に造っておかないと室内が片付きにくくなってしまいます

奥行の深い収納と浅い収納、引違戸と開き戸、ガラス戸で見せる収納にするなど、用途に合わせて様々な収納を設けて、片付く室内としている。

意中の住宅会社があるのなら、まずは室内写真をじっくりと見たほうが良いです。収納や家具が少なく、室内がガランとしている印象なら、建築費用は安めに設定されていることが多いです。しかし造作家具と収納が少なめだと、持ち込み家具が多めに必要になるのですが、寸法と雰囲気が、その空間に合う置き家具を探すのはとても難しい。だから必要十分な収納はあらかじめ造作しておく必要があります。住宅のプロでも、必要十分な収納と家具が設けられているかは、充分な枚数の室内写真が無いと分かりません。

また、室内の収納や家具が少なめな会社や、収納や建具の数は十分だけれども、一部に新建材を使ったりしてインテリアの印象がチグハグ会社は、傾向として太陽光発電等の住宅設備を標準仕様にしていることが多いです。

太陽光発電が標準仕様になっているからお得だと、脊髄反射で考えるのではなく、「だとすると他にシワ寄せが行っているのでは?」と考えるべきだと思います。昔から、太陽光以外でも「アレもコレも標準仕様になっています」と手厚い標準仕様をアピールしている住宅会社は、外観も含めて普遍性が低い印象です。

私は太陽光発電を付けたほうが良いと考えています。 電気代は上がり続けている上に、世界的なCO2の排出削減推進や、 日本でも2030年半ばには新車がすべて電気自動車になりそうだ等、電気を自宅で作れる太陽光発電は、ますますメリットが増しそうだからです。

ただし、Q1.0住宅以上の断熱性能の家にすること、耐震等級3にすること、 外壁と屋根をメンテ費用が多めに掛かりやすい窯業系の材料にしないこと 、造作家具と建具で適切に収納を造ることの4つが出来た上で、太陽光発電を付けたほうが良いでしょう。 再生可能エネルギーを使うことは大切だけれども、それより先に、省エネと耐震性と長く快適に使える建材と収納を優先したほうが、住まい手はお得だと考えるからです。

SH-houseの年間光熱費概要

■年間光熱費:13万1142円。

■1か月平均光熱費:1万928円

■光熱費内訳:電気・都市ガス

■家族人数:2人

■延床面積:24.5坪

■換気システム:第一種全熱交換換気システム

■Q値:1.02

■UA値:0.3

■C値:0.5

SH-house性能計算概要 Qpex3.7.1で再作成
吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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