小さな家でも大きく暮らせる工夫。小さな家では1つの部材を多用途に使うのが合理的
今週末の11/16(土)と11/17(日)に、完成見学会を行うQ1.0住宅@宇都宮市。
24.5坪と小ぶりだが、大きく暮らせる工夫をした家である。
今日のブログは、「小さな家でも大きく暮らせる工夫」をザックリ書きます。
小さな家が時代に合っている理由
小さな家で質を高くすると、メンテナンス費用も抑えられるため、少子高齢化時代にも合っている。
一般的な窯業系サイディング外壁+カラーベストコロニアル屋根のお宅の場合。15年程度に1度、繰り返し訪れるメンテナンス時の費用は、基本的に面積×単価で算出されるので、大きな家だと、よりお金が掛かるのだが、そこまで考えて新築するエンドユーザーは少ない。
だから、他人と同じ大きめな家を「建てがち」であり、結果として15年ごとに訪れるリフォームの時期に、費用を捻出できないことも多いのだ。例えば外壁塗装の時期を逃すと、外壁材自体が傷んでしまい、全て壊して貼り替えになることもある。
それに対して、小さな家で質を高く造っておくと結果として坪単価が高くなるが、小さくてかつ長期使用できる材料で構成されるので、リフォーム費用(メンテナンス費用)が掛かりにくくなるのは、当たり前の話である。
Q1.0住宅の断熱性能にして、小さな家で大きく暮らす
30坪以下の小さな家とQ1.0住宅のような超高断熱仕様は、とても相性が良い。
建物全体がワンルームのように広くなっても、家全体の温度が均一に近くなるため、小さな家を隅々まで広く使えて、各部屋の稼働率が上がるのだ。
その上、光熱費も掛かりにくい。
例えば逆に40坪以上の大きめな家で、断熱性能が「イマイチ」な場合、実際に使えるのが冷暖房の効いた20坪程度の「LDKと各個室のみ」だとすると、外観は大きくても、実態は稼働率の低い部屋の多い20坪の小さな家である。
実はこのような家は多い。
前述したように、大きな家は15年程度の周期で訪れるメンテナンス時のコストも多くかかるから、断熱性能が「イマイチ」である場合、毎年の冬の寒さと光熱費の多さと共にメンテナンス費用が、ダブルパンチならぬトリプルパンチを受け続ける状態となる。
家の断熱性能の基準はQ1.0住宅にするのが良いと考える理由
家の断熱性能の基準はQ1.0住宅にするのが良いと考える理由は、当社で建てたQ1.0住宅の夏と冬の室温の変化と光熱費を測り、施主の感想も聞いたからだ。
Q1.0住宅の室温変化、光熱費、施主の感想はこちらのブログをご覧ください。ブログのお宅はQ値1.35である。
【更新】栃木県宇都宮市で建てたQ1.0住宅の年間光熱費と、冬と夏の室温の計測結果を公開
高断熱高気密Q1.0住宅は「夏は暑いのか?涼しいのか?」室温を実測し考察してみた
だから、栃木県で新築をする場合は、Q1.0住宅レベルの断熱性能が必要だと考え提案している。
この表を見て頂くと、今週末に完成見学会を行うSH-houseはQ値1.19であり、Q1.0住宅のレベル2である。
小さな家では、1つの部材を多用途に使うのが合理的
小さな家には造り付け家具も必須だ。
その理由は、効率的に収納スペースを確保する必要があるためだが、これは空間をすっきりと整えることにもつながる。
また、小さな家では室内の広さが限られるので、1つの建築部材を多用途に使って、限られたスペースを有効利用するのも合理的。
具体例を見てみよう。
例えば、洗面脱衣室の引き戸に「タオル掛け兼手摺」を付けてドアを壁のように使ったり、引き戸に衣類が掛けられるフックを付けておく。小さな家はドアを壁としても使った方が暮らしやすい。
玄関収納のドアに鏡を設けて姿見にする。この位置に付けると廊下側から使えるし、鏡の付いたドアを開くと、玄関の土間からも使える。扉には、革靴のカビを防ぐ丸い通気孔を付けるのがヨシダクラフト流。
トイレの壁に向かって、右側には手摺、左側には茶色の手掛けを付けた。その手掛けは紙巻き器と兼用されている。手掛けは、便器に座ったり、立ったりする時に使う。
トイレの階段下は収納になっており、その中に換気扇が仕込んである。
玄関収納は、下駄箱とコート掛けと傘掛けの3つ用途を兼ねる大きめの収納を提案した。小さな家の玄関は、窓からの採光よりも収納を優先する。採光は玄関ドアのガラスから採る。
この住宅で唯一の開き戸であるトイレのドア。床のマグネットのドアストッパーを辞めて、扉上にドアストッパーを付け、床面の金物を無くしてスッキリさせた。
リビングの飾り棚と床下エアコンを兼用した家具。片付く室内を目指した。
キッチンにはパントリー(食品庫)を設けるスペースがないので、幅900mm×奥行600mmの天井までの収納を設けて、パントリー的収納とした。
キッチンは造作キッチン(オーダーキッチン)で施主の生活に合うように造った。
階段手摺は、家具の搬入出に備えて、取外し可能。
本棚は低くして圧迫感を無くした。
また、LDKに7帖のウッドデッキを設けて、デッキをLDKの延長として広く使えるように計画した。
以上が24.5坪の小さな家で行った、家具と建築部材等の工夫である。
今週末のQ1.0住宅の完成見学会。土曜日の13時からが空いています
今日のブログで説明した今週末のQ1.0住宅の完成見学会。
11/16土曜日の13時からが空いています。
ご希望の方は、以下のブログからお申込みください。
11/16(土)・17(日) 小さなQ1.0住宅完成見学会のお知らせ@宇都宮市
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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