2017-04-10
本・映画

住宅屋から見ると、ヒッチコック監督の「鳥」はあり得ない設定の映画

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ヒッチコックファンの皆様、こんにちは。

 

映画の中に登場する住宅とインテリアをザックリ解説するシリーズ。

 

今回は、動物パニック映画の原点と言われているアルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥」です。

 

ヒッチコック映画は日常でのサスペンスを描くので、室内の描写が多く、住宅屋のブログに取り上げやすいです。

 

例えば以前取り上げた「裏窓」は、主人公の住むアパートの裏窓から見える他人の部屋がキーワードになっている映画ですし、「ロープ」では摩天楼を見渡せる高層アパートの一室で殺人が行われ、室内のみの撮影で一歩も外に出ません。また「サイコ」はモーテルとその隣にある洋館が殺人の舞台です。

 

今回取り上げる超有名な「鳥」も、サンフランシスコ郊外の小さな週末住宅(多分30~40坪)が舞台の1つになります。鳥に追われて週末住宅に逃げ込み、家が鳥に攻撃されてボロボロになるという、建築屋から見たらあり得ない設定も、何故かヒッチコックファンは、女優が素敵だからとかいう、わけの分からない理由で評価したりします。

 

カモメやカラスに突かれたくらいで、家の外壁に穴が開いたりしません。

 

ヒッチコック映画の女優は魅力的

母親と息子とは思えないルックス。ジェシカ・タンディは後に「ドライビングMissデイジー」

 

ヒッチコック監督の女優セレクトには間違いがなく、どの映画に出てくる女優も非常に魅力的です。

 

それも若いから魅力的ということでなく、年配女優も配役によって魅力的に見せます。

 

今回の「鳥」では、ヒロインの母親役のジェシカ・タンディが、息子役のロッド・テイラーとあまり年が変わらないように見えて、母親と息子とは思えないのも魅力。

 

ヒロインのティッピー・ヘドレンは勿論美人です。また息子役のロッド・テイラーの、年の離れた妹の小学校の先生が元カノで、ヒロインは元カノの家に一泊したりします。そういう微妙な設定も魅力的。

 

ヒッチコック「鳥」のあらすじ

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お金持ちのお嬢様メラニーは、サンフランシスコの小鳥屋で謎の男性・ミッチと出会います。ミッチはメラニーのことを知っていましたが、メラニーにはミッチのことを覚えていません。

 

ミッチに興味を持ったメラニーは、車のナンバーからミッチの住所を割り出し、カリフォルニア州ボデガ・ベイにあるミッチの週末住宅に、ミッチが妹にプレゼントしようと探していた、つがいのラブ・バードを置いてきました。ボートで帰る途中、1羽のカモメがメラニーの額をつついて去っていきます。これが事件の予兆でした。大量のカラスやカモメが街を襲い始めます。

 

住宅屋から見ると、ヒッチコックの「鳥」は、あり得ない設定の映画

弁護士のミッチはサンフランシスコで働き、週末のみ母親と妹の住む郊外の住宅に帰ってきます。そこが鳥に襲われる舞台になります。

 

鎧張りの木製外壁材にペンキの塗られた30~40坪の大きくない住宅は、とても簡素です。

 

鳥の襲来に備える為に、窓や玄関に板を打ち付けますが、カモメとカラスに突かれて崩壊寸前。屋根から侵入した鳥にヒロインは大怪我を負わされます。

 

建築屋から見ると、鳥が外壁材や屋根材を短時間で喰い破るなんてありえないです。キツツキならともかく、カモメやカラスのクチバシのほうが先に破損します。

 

ヒッチコック監督、「鳥」でのカメオ出演

カメオ出演とは、自分の作品にちょっとだけ出演すること。ヒッチコック監督はカメオ出演することが多く、見つけるのも楽しみの1つです。

 

「鳥」でのカメオ出演は、冒頭でヒロインが小鳥屋に入る時に、2匹のテリア犬を連れて店を出る太った男性がヒッチコック監督です。

 

この本、私も持ってます。ヒッチコックファンには定番本。

 

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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