2016-12-28
Q1.0住宅宇都宮三番町の家 SI-house(宇都宮市 三番町)
インテリア・家具・収納
犬・猫と暮らす家

「猫と暮らす大屋根の家」で造った、猫のための仕掛けと猫アイテムのメリット・デメリット

「猫と暮らす大屋根の家」では、施主と打ち合わせし猫建築本を参考にしながら、様々な猫のための建築アイテム、仕掛けを造りました。今日は、造った猫建築アイテムのメリット・デメリットを語ります。

猫柱 (キャットツリー)

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これが猫柱(キャットツリー)です。猫柱のメリットは狭い床面積で猫が上下移動できるところ。猫科の動物は上下移動するのが好きであり、その様は最大の見せ場です。「猫と暮らす大屋根の家」では、猫柱(キャットツリー)→猫ステップで2階のキャットウォークと1階LDKを行き来できます。

 

猫柱のデメリットは場所を取ること。今回は、ピアノの脇に柱を設けて猫柱としましたが、猫柱を造ってからではピアノを入れるのが難しいため、引越し後、ピアノを入れてからステップを設置することになりました。施主が手配する置き家具と猫柱の関係性を設計段階から考えておく必要があります。また、ピアノが猫柱の隣にあるので、一旦ピアノに飛び載ってから、猫柱に登っています。ですから、ピアノより低い猫柱のステップは利用していないようです。猫柱の隣に足場となる家具等がある場合は、低いステップは省略できます。

 

猫柱は非常に目立つので、1家1本で十分だと思います。これが室内に何本もあるとゴチャゴチャうるさい印象になります。

 

キャットツリーの造り方はこちらをご覧ください。猫柱ステップの寸法の書いてあるスケッチも掲載しました。

猫と暮らす家の猫柱(キャットツリー)の造り方を連続写真でご紹介

 

猫は個体差が大きいので、部材取付高さを考慮する

これは全ての猫建築アイテムに共通ですが、人間の個人差より猫の個体差のほうが大きいです。例えば、上記の猫柱。ステップの高さは、猫建築本に一番使用頻度が高いと書いてあった34㎝ピッチにしました。しかし施主の飼っている黒猫は非常に運動能力が高く35㎝では低すぎて登りにくいようです。(慣れれば違うのかもしれませんが)

 

猫が元気な間の猫ステップ間隔は、45~55㎝でも良かったのかもしれません。ただし、猫も老化してくると34㎝くらいが登りやすい高さになるのかも。この高さ方向の寸法は、自分の猫を一番知っている飼い主の意見から決めるのが良いかも知れません。

 

猫窓(ねこまど)と猫ステップ

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施主から猫に関する要望で最初に伺ったのが猫窓でした。猫窓とは猫が外を見るための窓のことです。猫は窓から外を見るのが大好き。猫窓の場所は日当りの良いところとして、猫が横になって寛げるように窓枠の幅も30㎝としています。

 

壁から突き出たステップを猫ステップと言っています。キャットウォークの窓下にも付けて窓に登りやすくしました。高さは31㎝間隔としましたが、45~55㎝程度と、もっと高くても良いと思いました。

 

キャットウォーク

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キャットウォークの意味は2つあります。1つは高所での猫の通り道。もう1つは人間用で、点検や窓の開閉等のための作業通路を意味します。「猫と暮らす大屋根の家」のコの字型のキャットウォークは、猫と人間の共用。吹抜けの壁一面の本棚には、脚立を立てたりするのに、安定した通路が無いと人間が怪我をするかもしれません。そのためキャットウォークを造りました。

 

本棚と吹抜けの関係についてはこちらもご覧ください。

吹抜けの壁一面本棚にはキャットウォーク(通路)が無いと、実際には使いにくいという当たり前の話

 

キャットウォークの一部の床は太陽光を1階に落とすために木製の格子にしています。この格子間隔も人と猫が歩き易いものになっています。詳しくはこちら。

木製格子床の隙間は何センチが最適なのか?

 

猫ドア

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猫ドアとは、ドアを閉めたままでも猫が通れるペットドアのこと。開き戸と引き戸に猫ドアを付けています。当社では、造作建具にアトムのペットグールを付けています。

 

猫ドアの図面と仕様は、こちらのブログの最後をご覧ください。

室内が旭山動物園状態!?「猫のための家づくり」を実践した施主から、躍動感とほのぼの感あふれる猫写真が届きましたのでご紹介します

 

猫壁(ねこかべ)とは?
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仏壇を置くスペースの裏まで猫壁としてシナべニアを貼っている

 

猫壁(ねこかべ)とは、猫の爪とぎで壁や柱がボロボロにならないように対策された壁。猫壁の材料は2種類、シナベニア厚5.5㎜とキッチンパネル4㎜。両方とも表面がすべすべしており、猫の爪が掛かりにくい素材です。

 

猫が入ることが出来る、全ての部屋の床から90㎝の範囲は石膏ボードの上にシナベニア厚5.5㎜を貼っています。また、猫が飛び載れるピアノの裏面や仏壇スペースは天井までシナベニア貼り。

 

冷蔵庫裏は天井までキッチンパネル貼りとして、爪とぎ防止と掃除しやすさを両立しています。

 

猫トイレ

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猫のためのトイレは、掃除しやすいように床と壁をキッチンパネルで造りました。この上にトイレ用トレイを置いています。水を通さず、猫のオシッコやウンチがこぼれても掃除しやすい素材です。壁のキッチンパネル高さは、90㎝としています。

 

猫ストップ引き戸

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施主の希望で、猫が玄関から脱走しないように、玄関ホール手前にドア(引き戸)を付けました。猫は非常に素早いので、脱走させない必要があるとのこと。

 

この引き戸を猫が手で開けるようになってしまい、金物を取付ました。犬や猫が引き戸を開けてしまう時は、この金物を付けると引き戸が開きにくくなります。人間の通路となる引き戸は、いちいち鍵をするのが面倒なのでこの金物は使えます。猫が引き戸を開けにくくする金物は、後日紹介します。

 

猫ドア鍵

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WIC(ウォークインクロゼット)の入口引き戸には、通路側に鍵(鎌鍵)を付けました。猫にクローゼット内部に入られない為の対策です。

 

猫用生花ショーケース

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猫の背後に映る本棚の一部に、ガラス框戸が付いています。この中に生花を飾ります。花瓶に生花を挿しておくと、猫が花を食べてしまうようです。その対策としてガラス開き戸の中に生花を入れます。ドア上下は換気のため1㎝ずつ開けています。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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