中古住宅の断熱性能は年代別にどうなっているのか?一番簡単でお金の掛からない中古住宅の断熱リフォーム方法教えます
何となく、「中古住宅って寒そう」な感じがしませんか?中古住宅を断熱性能を基準に選ぶ場合の目安と、中古住宅購入後に一番簡単に安くできる断熱リフォームをご紹介します。
年代別中古住宅の断熱性能
年代別の断熱仕様です。上の表は昭和で分かりにくいので、西暦に直してみました。ザックリと年代別の断熱材の厚さと断熱性能が分かります。
目次
■昭和54年以前(1979年以前) 無断熱
■昭和55年~平成3年(1980年~1991年)旧省エネ基準
■平成4年~平成10年(1992年~1998年)新省エネ基準
■平成15年(2003年)換気システム義務化
■平成11年~平成25年(1999年~2013年)次世代省エネ基準
■平成25年~平成32年(2013年~2020年)改正省エネ基準
おすすめな中古住宅の築年数と断熱材の確認方法
冬暖かい中古住宅を買いたいなら、平成15年(2003年)以降に建てられた、築10年前後の中古住宅がおすすめです。平成15年(2003年)換気システムが義務化されて、断熱性能も今の建物とほぼ同水準です。断熱性能だけで考えると、築10年前後の建物がおすすめです。
しかし、住宅会社(設計者)によっては、断熱材の厚みが薄かったりするので、中古住宅購入前に、個別に確認することが必要です。購入前に、中古住宅の断熱仕様を図面で確認しておきましょう。
意中の建物であれば、現地を見る前に、不動産業者に「中古住宅の断熱仕様を確認したいので、現地を見るときに、矩計図等の図面を持ってきてください」と言えば良いです。そして、図面を見て上の表と対比してみましょう。図面の中の「矩計図(かなばかりず)」には、断熱材がどのように入っているかが、記入されていることが多いです。
できれば、中古住宅の購入前には、一級建築士、現場監督、大工等の建築のプロに図面と建物を見てもらい、プロの意見も聞いた方が、より良い判断が出来ると思います。
ちなみに当社では、中古住宅 内覧同行サービスを行っています。このサービスは当社でリフォームを行うことを前提に無料で行います。
断熱性能だけで判断すると、平成15年(2003年)以降の築10年前後の中古住宅が良さそうだということになりますが、築年数の浅い、新しい中古住宅は郊外にあることが多く、古い中古住宅こそ便利な街中にあることが多いです。新しい中古住宅は価格も比較的高めです。
また、新しい中古住宅は、新建材と呼ばれる廃盤になると交換の効かない既成建材で造られていることが多いのに対して、古い中古住宅は、無垢の床材や造作建具等の職人が修理できて長く使える建材で造られていたりしますので、古い中古住宅のほうが表層の仕上げ材は長く使えることもあります。
断熱性を重視するのか、場所なのか、建材なのか。価値をどこに置いて判断するかですが、そこそこ便利な場所の古い中古住宅を買って、冬暖かいお家に断熱リフォームをするというのが有力な回答だったりしますので、その中でも一番簡単で安くできる方法を以下に書きます。
家が寒い場合の対策!中古住宅の断熱リフォームは、コスパの高いこれがおすすめ
断熱材が入っていない中古住宅の場合は、冬寒く結露する可能性が高いので、断熱材を床、壁、天井に入れたいところです。しかし、壁にキチンと断熱材を入れるには、既存の壁を壊して断熱材を入れ直す必要があり、多額のお金が掛かります。
お金の無い場合は、一番安く効果的にできる工事を最初にすべきです。一番最初にすべき断熱リフォームは、二重窓(断熱内窓)リフォームになります。もともとの窓の内側に、もう1つ新しい窓を取り付けるという簡単な工事です。家の中で熱の出入りが、最も大きいのが「窓」。「窓」からの熱の出入りを抑えるのが、家の断熱性能を高める一番効果的な方法です。
既存の窓の内側に取り付けるということで、何も壊すことがなく工事出来ます。当社は二重窓(断熱内窓)の施工例は多いです。個室に二重窓(断熱内窓)を付けた方が、あまりの快適さ(暖かさ)から、他の部屋も二重窓(断熱内窓)にしたという例も多いです。
当社の二重窓(断熱内窓)施工例はこちらをご覧ください。
結露防止のために和室の障子部分に断熱内窓を付けた施工例、連続写真でご覧あれ
二重窓(断熱内窓)の効果は寒さ対策だけじゃない
二重窓(断熱内窓)の効果は寒さ対策だけではありません。結露防止と防音にも効果を発揮します。二重窓(断熱内窓)により室内の断熱性能が上がると、外の冷たい空気は室内に伝わりにくくなるので、窓の結露は大幅に減り解決することが多いです。
また、外部の騒音が室内に入りにくくなり防音効果も高いです。既存窓がガラス1枚のサッシでも、二重窓(断熱内窓)のガラスをペアガラス(2枚ガラス)にすると合計3枚のガラスになります。街中の住宅で防音対策により二重窓(断熱内窓)を付けた経験も何度かあります。二重窓(断熱内窓)は、断熱+結露防止+防音の効果があります。
二重窓(断熱内窓)の気になる予算は?
できれば、お家の全ての窓を二重窓(断熱内窓)にしたほうが快適です。窓からの熱の出入りを家全体で少なくしたほうが効果的だからです。しかし、最初にリビングなどの一番長く滞在する部屋の窓を全て二重窓(断熱内窓)にして、効果を見てから、他の部屋も行っても良いかもしれません。二重窓(断熱内窓)は、高さ90㎝×幅170㎝程度の引違い窓で1箇所あたり数万円~施工可能です。窓1箇所あたり、1時間程度で施工出来ます。
有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。
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初めまして。記事を拝見させて頂き、質問させて頂きたいのです。自宅は平成3年築の中古物件を購入しましたが、断熱らしいのがなく。冬寒いです。そういう場合でも窓を二重にしたりすると変わりますか?暖房器具を消していると。息は白くはなりませんが、寒いです。床下は私と知人で下に潜り、断熱をしたのですが。
はじめまして。 ペアガラスの内窓を付けると、全然違います。 ブログに書いた通り、冬は窓から大量の熱が逃げるので、まずは窓を断熱化するのが合理的なんです。 内窓なら、何も壊さずに取り付けられますから。断熱リフォームで一番先に行うべきなのが内窓です。 よかったら参考にしてください。https://yoshidacraft.net/11256/
お返事ありがとうごさいます。 とりあえず、プラダンで窓を覆ってみました。予算がないので、DIYで応急で作ってみたいと思います。床下は、リビングとキッチンに断熱をいれましたが、廊下にはいれておらず(T^T)屋根裏も確認したら断熱はありませんでした。土壁の家なので壁はないと思います。お聞きしたいのですが、床下になんとかシートを張り付けるために(友人が言うには風止めみたいなシートらしいです。)、また潜るんですが、その際に出来たら気流止めもしておいた方がよいのでしょうか?また、廊下も断熱を入れた方がよいのでしょうか?
お返事ありがとうごさいます。 屋根裏もですね。1度、友人に見てもらいやってみます。友人も仕事で忙しいらしく、いつになるかわかりませんが、廊下は早くお願いしたいと思います。ありがとうごさいます。気流止め、できたらしたいですが、わかるか不安ですが、何で気流止めをしたら一番よいでしょうか?業者さんみたいにはできないと思うので、参考にさせて頂きたいのですが。よろしくお願いいたします
「気流止め」は袋に入ったグラスウールが売っています。 コレ。http://www.pgm.co.jp/items/product_tome.html もしくは、自分で作るなら、袋に入ってないグラスウールを買ってきてカットし、袋に詰めて掃除機で空気を 抜いて、隙間に入れてから切れ目を入れると、膨らんで気流止めになると思います。 「気流止め」で検索するといろいろ出てきますよ。
頑張れ。
初めまして。 本記事を読み、中古住宅の断熱性向上を非常に簡潔にまとめられており、理解が進みました。 実は私も築10年ちょっとの大手ハウスメーカーの中古住宅を購入し、全ての窓にLowEペアガラスの内窓を施工しました。 Ua値は0.62から0.49まで向上しましたが、雪国ですので、まだまだ冬は寒く、更なる断熱向上を目指しています。 最近リクシルのウォールインプラスという商品を見つけ、グラスウールの20倍の性能を持つ真空断熱材に大変興味を持っています。家中の外壁に面した内壁の内側に真空断熱材を施工するのは性能向上及び費用面で考えてコスパは良いでしょうか。 なお、私の考えも以下のサイトでまとめております。 https://happyfamily5.com/1316/ ご専門の方からのご意見も是非お聞かせいただきたいです。 どうぞよろしくお願いいたします。
ウォールインプラスというリフォーム建材は、初めて知りました。他社のリフォーム建材にも同じように後から室内壁に貼るものがあり、検討したことがあります。 結論としては、価格に対して、性能と室内環境がずば抜けて良くはならないと認識したので、採用しないほうが良いということになりました。 一番簡単で効果があるのは、内窓を付けるリフォーム。2番目は床下からの断熱リフォーム、3番目が2階天井裏からの断熱リフォームという認識です。 一般的なお宅なら、建物を壊したりせずに断熱リフォームできる可能性が高いからです。 ブログ読みました。「かなり割安になっている築浅の中古住宅のうち、比較的高気密高断熱の住宅を見つけ、 内窓をつけて暮らすのが一番費用面では安く済みます。」という文章。間違ってはいないと思います。ただし、予算があるなら「新築で小さめな坪単価の高い家を建てて快適に暮らす」という選択肢も良いと思います。日々の快適性と将来のメンテナンスコストをできだけ減らすということから、新築の場合は、当社はそのような仕様にしています。 家族2-4人程度なら、30坪前後の住まいにしても、高断熱高気密の特徴であるワンルーム化しやすいので、室内の温度差が少ない。だから小さな家でも室内を広く使えます。また、当社で建てているQ1.0住宅などの超高断熱住宅の一番のメリットは身体が楽だということ。長期使用できる可能性の高いガルバや杉板の外装材と、室内も造作建具、造作家具と無垢の木材で造れば、坪単価は高くなりますが、最小限のリフォームで長く使える可能性が高いからです。