2019-08-28
Q1.0住宅宇都宮の家 SH-house(宇都宮市)
高断熱・高気密住宅

Q1.0住宅宇都宮の家、SH-houseの隙間相当面積C値は0.5㎠/㎡、気密試験結果を公開します

Q1.0住宅SH-houseの気密試験結果

快適な住宅を造る上で、「断熱性能」とセットで考えるべきなのが「気密性能」です。

 

住宅業界で言う「気密性能」とは、「家にどれだけ隙間が無いか?」ということ。

 

「気密性が高いと息苦しいから、隙間の多い風通しの良い家がいいんじゃない?」と考える方もいらっしゃると思いますが、それは間違い!

 

冬に暖房した空気は軽くなり上昇気流が発生するため、隙間の多い家は、暖房すればするほど冷たい隙間風が建物内部に入ることにより、室内が暖まりにくく底冷えするばかりか、花粉等も室内に入りやすくなるので、デメリットが多いのです。

 

「間違いのない高断熱・高気密住宅」にするには、設計時のQ値計算と、建物のC値の実測が必要

断熱性能を表すQ値は設計時の計算で出せますが、「気密性能を表す隙間相当面積C値を出すには、実際の建物を実測する」しかありません。

 

意中の住宅会社が、いくら「高断熱高気密住宅だ」「今まで実測した家の気密試験結果は良かった」と謳っていても、「家の形と担当する職人が違うと気密試験結果も違うのが普通」ですから、隙間相当面積C値を実測しないと「絵に描いた餅」になります。

 

設計時に上記のような「温熱性能計算(暖冷房エネルギー・燃費計算)」をして断熱性能Q値を出した上で、実際の建物を実測して気密性能(隙間相当面積C値)を出して、初めて「間違いのない高断熱・高気密住宅」と言えます。

 

「間違いのない高断熱・高気密住宅」を建てたいなら、「温熱性能計算(暖冷房エネルギー・燃費計算)」と気密測定を行っている会社に依頼して、自分の家もC値を実測して確認するのが良いでしょう。

 

私も設計施工経験があるウレタンパネル工法やウレタンの現場吹き付けは、気密性能を出しやすいのですが、一番コスパと普遍性の高いグラスウールのシート気密工法は経験とコツが必要です。

 

今日のブログは、昨日、気密測定を行った、宇都宮市に建てている小さなQ1.0住宅SH-houseの気密測定結果と、気密性を高くすることのメリットを書きます。

 

Q1.0住宅宇都宮の家、SH-houseの隙間相当面積C値は0.5㎠/㎡、家全体の隙間ははがき1枚の1/3以下でした

SH-houseの気密試験の様子。

宇都宮市の街中に近い、落ち着いた住宅地で建てている小さなQ1.0住宅SH-house。

 

以前にブログに書いたように、様々な気密部材を使用して、大工と電気屋が苦労して、気密性能を高めてきましたが、昨日、気密試験を行いました。

 

実測したところ隙間相当面積C値は0.5㎠/㎡でした。隙間相当面積C値の目標値を0.5くらいに設定していたので、目標達成です。

 

SH-houseの総隙間面積は45㎠。(10㎝×4.5㎝)

 

SH-houseの家全体の隙間は、1枚のはがきの1/3以下という高気密。はがきを1/3にしてみた。

はがき1枚の面積が148㎠なので、建物全体で、1枚のはがきの1/3以下の隙間です。

 

気密部材と気密工事については、こちらのブログをご覧ください。これだけ念入りに気密工事してC値0.5なので、普通の気密工事をしない家は、いかにスカスカで隙間だらけなのか想像できます。

Q1.0住宅で使う「気密部材14種類」と施工動画

PEパッキンでQ1.0住宅の気密性能を補強する!

 

隙間相当面積C値とは

隙間相当面積(すきまそうとうめんせき)は、C値(しーち)とも言い、家の気密性を表す数値で、建物を実測して求めます。

 

家の中の全ての隙間面積(㎠)を機械で実測して、それを延床面積(㎡)で割ったのが隙間相当面積C値になります。

 

隙間相当面積C値の単位は、㎠/㎡になり、この数値が小さいほど気密性が高いということになります。

 

SH-houseの隙間相当面積C値の実測方法

隙間相当面積(C値)は気密測定(密試験とも言う)によって算出されます。

 

上の写真は、昨日のSH-houseでの気密試験の様子。

 

測定方法は、室内の空気を測定器のファンで強制的に外に吐き出して室内を負圧にします。この時の室外と室内の気圧差と通気量を測定することにより、 隙間面積を出します。

 

気密性を高くすることの4つのメリット

 

家の気密性能が高いと、隙間風が入りにくくなるので、室内環境を制御しやすくなるのは共通です。

1.気密性を高くすると、仕上げ工事の精度も高めになることが多い

気密測定を行っている会社は、設計時にその建物の「温熱性能計算」も行っていることがほとんどですから、断熱性能も高いことが多いです。

 

また、隙間相当面積C値は気密工事を細かく行っていないと、良い数値がでません。通常、気密測定を行っている会社は、気密工事を丁寧に行っている会社が多いため、「仕上げ工事の精度」も高いことが多いと思います。

2.気密性を高くすると、計画換気がしやすくなる

建物に隙間が多いと、計画換気は「しにくく」なります。その理由は隙間があると、新鮮な空気の取り入れ口である「給気口」と、汚れた空気の排出口である「排気口」以外の隙間から空気がはいってしまい、換気計画が乱れて、汚れた空気を排出しにくくなるからです。

 

気密性が高いと、隙間風が入りにくくなるので、計画換気が「しやすく」なります。

 

3.気密性を高くすると、室内の温度差を無くしやすい

隙間の多い家で暖房した場合、暖房した空気は軽くなり、上昇気流が発生するため、暖房すればするほど、下から冷たい隙間風が入ることにより、室内が暖まりにくく、底冷えしやすくなります。

 

逆に気密性の高い家は、室内の温度差を無くしやすいです。

 

4.気密性を高くすると、湿度を安定させて花粉の侵入を防ぎやすい

気密性を高くして熱交換換気システムを使うことで、夏の湿度の高い空気や、真冬の乾燥した空気及び花粉の進入を少なくすることが出来ます。

 

気密性を高くするにはどうすれば良いか?

桁上断熱部を下から見る。合板上に断熱材が300mm吹かれている。桁上断熱にすると、気密性が取りやすい上に、天井と合板の隙間に換気システム本体を入れられる。

計画時に気密性能の確保しやすい、設計(施工法)にしておくのが一番大切だと思います。今回は、小屋裏部分を天井断熱とせずに桁上断熱としたので、断熱性と気密性が確保しやすかった上に、換気システム本体を天井裏(天井と桁上断熱の間)に入れられたので、換気システムの施工性も良かったです。

 

実際の気密工事をメインで行うのは大工です。また配線したりして、気密シートに穴を開けることになる電気屋の作業も、その穴を気密テープや気密部材、シーリングで塞いでいくので重要です。

通常、気密工事は、主に大工と電気屋の2者で行われるため、2者の作業の丁寧さが、そのまま気密試験の結果となって現れやすいです。

 

今回は、仕上げ工事に入る前に気密測定を行いました。仕上げ材を施工すると、気密性能は高まることはありますが、下がることはありません。

 

アルネ・ヤコブセンのジェネリック照明ですが、製品はしっかりしていました。

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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