2018-02-12
リフォーム
高断熱・高気密住宅

「床下断熱リフォーム」をする時は、防蟻再施工と防湿シート敷の同時施工がおススメ【床下発砲ウレタン断熱材施工】

床下の発砲ウレタン断熱材を施工したところ。モコモコが断熱材。

リフォーム済の中古住宅を購入した方から、床下の断熱リフォームと防湿シート敷のご相談がありました。

 

床面が非常に冷たく、かつ床下からの湿気を感じていたようです。

 

床下に潜って調査をしたところ、全く断熱材が施工されておらず、かつ床下が土のため湿気が上がっており、直前にリフォームした木部にもカビが発生していました。

 

工事は、最初に防カビ・防蟻効果のある「青森ヒバ油」を散布してカビを落とし、木部が乾いたところで床下から断熱工事を行い、最後に土の上に防湿シートを敷きました。

 

「床の断熱リフォーム」をする時は、せっかく床下に潜るので、防蟻再施工と防湿シート敷の同時施工がおススメです。通常、防蟻工事と防湿シート敷は白蟻業者が行うので、一緒に行ったほうが2度手間にならずに良いのです。

 

「床下から行う断熱リフォーム」は、床を解体せずに施工できるので、お客さんはお住まいになったままで工事が可能であり、床下の断熱リフォームを行うと、床面からの熱損失を抑えることができるので、足元の冷えが改善されて快適性が上がります。

 

現地調査から工事完了までを見てみましょう。

 

最初は現場調査をして、施主に状況説明と提案

アイシネン断熱材を吹き付ける前。断熱材が施工されていないのが分かる。

アイシネン断熱材吹き付け後。隙間なく断熱材が施工されている。

当社のwebを見てご連絡頂き、白蟻業者さんと断熱専門の工事業者さんと一緒にお客様のお宅に伺いました。床下に潜り床下の写真を撮って、お客さんに状況説明と提案をしました。

 

新築時の図面を見たところ、床下には断熱材が入っている表示がありました。中古住宅として売り出すためのリフォームをした時に、既存の断熱材をすべて撤去してしまったようです。

 

また、最近リフォームを行ったにも関わらず、床下の合板面等の木部に、カビが発生していました。

 

防カビ効果のあるヒバ油を散布してカビを落として、乾燥してから床下から断熱工事を行い、最後に土の上に湿気を上げないための防湿シートを敷く見積を提出することにしました。

 

床下からの断熱工事は白蟻業者でなく、断熱の専門業者に行ってもらうことにした

以前ブログで、床下に潜って行う断熱リフォーム工事は、床下の専門家である「防蟻工事業者(白蟻業者)」が行うのが合理的だというブログを書きました。

 

これから「床下断熱リフォーム」が普及していく理由

 

当時はまだ、付き合いのある白蟻業者さんに床下断熱リフォームの見積依頼はしておらず、今回初めて見積依頼をしました。

 

しかし床下の断熱工事は出来ないということでした。

 

以前、他の住宅会社から依頼されて、床下断熱工事を行ったことがあるのですが、うまく行かなかったとのこと。手間が掛るわりに利益にならず、工事に慣れる前に床下断熱リフォームは行わない判断をしたようです。

 

そこで、断熱工事の専門業者さんに依頼することにしました。

 

様々な断熱工事を専門に行う「断熱の専門業者さん」が居ることは、住宅業界関係者でも、断熱施工に疎い人は知らないと思います。

 

「床下から行う断熱リフォームの断熱材」の見積は、グラスウールと発砲ウレタンの2種類を比較して提案

床下に潜って行う断熱工事の見積は、グラスウールと現場発砲ウレタンの2種類で提出し、メリットとデメリットを説明した上でお客さんに選んでもらいました。

 

結果として今回の、床下から行う床の断熱リフォームは、現場発砲ウレタンで行いました。

 

この2つは断熱材の種類と施工方法が違うのです。

 

現場発泡ウレタン断熱材の一番のメリットは、時間が短縮でき価格が安いこと。このお宅の1階の床面積は20坪程度でしたが、職人2人が床下に潜り、このお宅の場合はザックリ3時間程度で完了しました。

 

床下に潜り、機械で発砲ウレタンを吹き付ける工事なので時間が早く、人件費が少なくて済むので安めなのです。グラスウール断熱材を床下から施工した時と比べると半値以下です。

 

また、木部に吹き付けると膨らむ発砲ウレタンを施工をすると、断熱性と気密性が同時に確保できる利点もあります。

 

グラスウール断熱材を使う場合は、外壁と間仕切り壁下で行う「気流止め」という、「床下から壁の中に冷たい上昇気流が上がらないようにする気密工事」も行う必要がありますが、現場発泡ウレタンの場合は、吹き付けるだけで気流止めも床下断熱も同時に出来てしまいます。

 

ちなみに、床の断熱リフォームをしただけで、気流止めを行わないと、断熱材がキチンと効きません。

 

対してグラスウール断熱材を床下から施工する場合は、3人で2日間程度の時間が掛る見積になりました。これは現場発泡ウレタンに比べて人件費が掛かるということ。

 

「床下から行うグラスウール断熱材の施工方法」は、カットしたグラスウールを床下に運び、床下で仰向けになった職人が、1枚づつグラスウール断熱材を木の間に充填施工していくので、職人も作業が大変であり時間も掛ります。気流止めも、床下から行いますが、発砲ウレタンのように吹き付けるだけでは完了しません。壁の下全てに、手作業で気流止めとなるグラスウール断熱材を入れていきます。

 

一方、現場発泡ウレタンのデメリットは、木部に断熱材が「へばり張り付いてしまう」ので、万一白蟻が出た時に、必要とあればその部分の断熱材を剥がして白蟻を防除するのが、手間が掛ることだと思います。

 

現場発泡ウレタンは、新築時の壁の断熱材としても断熱と気密を同時に施工でき、値段が安めなので採用されることが多くなっているようですが、コストメリットに対するデメリットは認識しておく必要があると思います。

 

「床下断熱リフォームの発砲ウレタン断熱材」はアイシネンを使用

床下から行う「床下断熱リフォームの断熱材」は、発砲ウレタンの中でも実績のあるアイシネンを使用しました。

 

利点は、一般的な発泡ウレタンと比べて柔軟性や形状安定性が優れていること。地震などで躯体が動いても構造体に追従するため剥離や脱落する心配が少なく、断熱欠損による結露やカビの発生を抑制します。高い断熱性と気密性を長期に渡って実現できる現場発泡ウレタン断熱材です。

 

最初の工事は床下の防カビ・防蟻効果のある「青森ヒバ油」を散布

お客さんが購入した中古住宅は、既存の床材及び床下地を撤去してリフォームされており、リフォーム時に防蟻工事も完了済で、白蟻の保証書も出ていました。

 

しかしリフォーム直後なのに、床下の木部でカビが発生していたので、今回防カビ・防蟻効果のある「青森ヒバ油」を散布することで、防カビ及び防蟻の補強をしています。

 

「青森ヒバ油」は、一般的に施工されることが多い農薬系の防蟻材ではないので、シックハウスや化学物質過敏症の心配は、ほぼありません。

 

次は床下から行う床の断熱リフォーム工事

発泡ウレタンを吹く前に床面を汚さないように養生

床下収納を開けて床下に入ります。

「青森ヒバ油」を散布した後で、10日間ほど乾燥期間をおき、木部が乾いた後で現場発泡ウレタンによる床下の断熱リフォームを行いました。

 

最後に床下の土の上に防湿シートを敷く

床下の断熱材と、土の上に防湿シートが施工されたところ

現場発泡ウレタンは直ぐに硬化するので、翌日白蟻業者さんにきてもらい、床下の土面全てに防湿シートを敷いて、固定をしました。

 

防湿シート敷を最後にする理由は、現場発泡ウレタンの前に施工すると、防湿シートの上で職人が這いまわることになるので、シートがよれてしまうこと、またウレタンが滴り落ちてシートが汚れてしまうからです。

 

今日のわかった

床面の「冷え」は不快であるだけでなく、長期間「冷え」が続くと健康にも悪影響を及ぼしかねない。「床下から行う断熱工事」は床を壊すことなく、お客さんが住みながらでき、快適性も上がる断熱改修工事である。

 

この断熱リフォームを行うと、床面からの熱損失が少なくなるので、室内の熱を床下に逃がさず、足元の冷えを改善することができる。

 

床下から行う「床の断熱リフォーム」をする時は、防蟻再施工と防湿シート敷の同時施工がおススメです。

 

また他の断熱工事、例えば既存窓の内側に断熱内窓を設置する工事と一緒に行うと、どこも壊すことなくより高い断熱効果を発揮し、快適性も上がり省エネになります。

 

これ買って毎日腹筋鍛えています。値段が安い割に膝に敷くクッションも入っており、腕廻りも鍛えられておススメ。

 

吉田武志

有限会社ヨシダクラフト 代表取締役・一級建築士栃木県宇都宮市を中心に、手作り感のある「暖房を止めて寝ても朝寒くない快適な注文住宅」と既存を生かした「リフォーム・リノベーション」を手掛けている。創業118年の工務店(2017年現在)。

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